あいまいみー -10-
「……がっは」
「痛ぇ……」
後方に倒れる助っ人の二人組のうめき声を背に、目の前で顔面を腫らし、涙を流しながら腰を抜かして地面に座る佐藤を俺は見下していた。
「な、何なんだよ……お前……」
佐藤からすれば想定外の出来事だったのだろう。だけど、俺にとっては充分に予想通りの結果だった。
複数人相手かつ武器を持った相手は俺としては能力で対処できるのか、経験しておきたかった。佐藤に屈辱を与えれば復讐を目的にそのような状況を作ってくれるのではないか、と期待していんだが――まぁ、期待通りだった。
そして、複数人が武器を持った状況でも、俺の能力は充分に対応できた。適当に振り回す素人の武器はプロを目指す拳や蹴りよりも軌道が雑で対応しやすかったし。
避けたあとは的確に顎やみぞおちに拳を打ち込めば容易で優位に状況を持ち込むことができた。
課題点があるとすれば――
「ゆ、許してくれ!!」
今回の課題点についてまとめようとしていると、忘れそうになっていた佐藤から許しを乞う耳障りな声が割り込んだ。邪魔されたことに、少し苛つく。
「は?」
「許してくれ!! もう、しないから、な?」
自分から仕掛けておいて、失敗して、後悔して、許しを乞う。じゃあ、最初からやるなよ。もっと上手くいくように工夫をしろよ。考えろよ。
「許しますよ。でも、また復讐は考えても大丈夫ですよ?」
「え?」
「それについては、今から、二度と関わりたくないって思うほどに後悔と痛みをプレゼントするので」
「……ひっ」
恐怖にひきつる佐藤の顔。一応、能力を使ってみた。見えるのは後ずさりする佐藤の姿のみで反撃の未来は見えない。
面白くない奴。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます