正常性バイアス -1-

『特別』と『異質』は紙一重だ。その違いを説明する言葉は色々あるんだろうけど、とりあえず、僕が今適切だと思うのは『それが人に言えるか、言えないか』かな。


『異質』といえば、僕の名前もそうだ。

 神戸泪、という名前は珍しいと思う。上は高確率で『こうべ』と読まれるし、下は何て読んだら良いか解らないことが多い。下が『るい』だと説明すると、次に意味を聞かれて、僕の両親が教えてくれたとおり『涙』を意味するんだと言うと珍しいね、と返ってくる。ここまでがテンプレートだ。


『涙』は人によってはネガティブな印象があるのかもしれない。でも、僕の両親はそれは温かく、心のある人が流す感情の塊、というポジティブな意味で、僕に少し形を変えて授けた。


 いや、今は名前の話はどうでもいいや。脱線した。

 何だっけ、あぁ、そうだ。


『特別』と『異質』だ。人に言えるか、言えないか。

 うん、こんなことを考えている時点で僕はそれに気づいたときから、混乱し続けているし、人に言えないことも解っている。


 うん。僕は今、『異質』そのものだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る