活動報告:読了作品を語っていく⑦
インスタントコーヒーからドリップコーヒーに変えると、やっぱりドリップが至高だな、と思います。そして、「いや、豆からひかないと」と沼にハマっていくんだろうなぁ。
ゆあんです。
頭痛対策のためにカフェインを摂取するのですが、結局離脱症状で頭痛を味わうことになるので、皆様、カフェインはほどほどに。
さて、本日も読了作品を一方的に語っていきたいと思います。
7作品目は、こちら。
■物語る人 様
https://kakuyomu.jp/works/1177354054895400047
さて、本作の最大の特徴は、ずばり、主人公が女性であることです。
それも桜子ではないのです。とある事情から「秋田葉太」を名乗る、夏木葉子先生が主人公です。設定の穴をついた、素晴らしいアイディアだと思いました。
そして主人公を女性とすることで、主人公と桜子のまた違った関係性を描き出すことに成功しています。
端的に、ユリです。ジャンルは、ユリです。
ですが多くの百合作品がそれだけでないように、本作でも多くの要素が詰め込まれています。
本作での見どころは、やはり夏木先生のキャラクターでしょう。夏木先生はベテランというには若いですが、十分に経験を積んだ、場合によっては主任職についていてもおかしくない国語教師です。
年齢も、42歳。そして独身。
そんな彼女の眼を通して語らる日常は、どこか切なく、そして疲れている。
いったい、何が彼女をそうさせてしまったのか。本作はその謎に迫っていく過程を描いていく、というのがその前半の構成でもあります。
ここらへんの描写がまた大変良いのですよね。これは書こうとして書けるものではないというのが私の感想です。根っからのパリピ体質の人には持ち合わせていない感性でしょうし、男性社会人が荒波に揉まれて擦れていくのとも、また違う感覚なのです。
そういう心理描写をより納得感を高めるために、彼女の環境設定が用意してあって、それもまた詳細で、よく練り込まれています。そりゃあ、そうならざるを得ないよね、と。
これらの要素が折り重なり、夏木葉子先生は圧倒的な立体感と現実感を持っています。
キャラクター造形が苦手だ、という人は非常に参考になるのではないでしょうか。環境、心理状態も含めた深堀りは、想像力も、そして観察力も必要です。辻褄をあわせるために設定も用意しなくてはなりません。深みをもたせるために、工夫できることは他にないだろうか。そういった作業は実に精神力を消費します。
また、キャラクター同士の何気ない会話の中にも、人間味を大切にしているのがよく分かります。
美しいセリフは大切ですが、しかし人はいつでもセリフを用意できている訳ではないですし、予想だにしない展開に出くわした時こそ、突拍子もないことを言ったりするのが自然です。あまりリアルを追求すると吃ったり意味不明だったり冗長だったりする言葉が出てきすぎて読みにくくなりますが、そこら変のバランスが実に絶妙なのです。
そういう意味で、本作は本企画の中でも稀有な存在だと言えますね。
その瑞々しさを、あなたも味わってみませんか?
それでは、また。
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