北魏12 拓跋嗣侵攻9  

青州せいしゅうに進撃した北魏ほくぎ軍およそ六万が、

相連なって黄河こうがを渡る。

そのうち三万が、ついに東陽とうよう城を襲撃。

対する城内の文官武官千五百人は、

しかしその半ばほどが

後秦こうしんからの投降者である。

当然その士気も高くなく、

オロオロするばかり。


それでも、戦わねばならない。

竺夔じくき、夜に副官の車宗しゃそうに五百人を与え、

城から出て北魏軍の陣に夜襲をかけた。

すると北魏軍、我先にと逃げ出した。


それから二日ほど経つと、

北魏軍は大軍で押し寄せ、

背後を突けないくらいに包囲する。

昼を回り、夕方近くになると引き下がり、

安水あんすい(東陽から8キロほど離れた地)に

陣地を立て、攻城具の建造に入る。

そこから、間断なく攻撃を仕掛けていく。


ある夜、竺夔は竺宗之じくそうし賈元龍かげんりゅうらに

百人の兵士を預け、

楊水口ようすいこうの兩岸に伏兵を設けた。

北魏将の阿伏斤あふくきんは三百人を率い、

朝方に安水を渡ろうとする。


そこで、伏兵発動。

北魏軍は四散し、数十人を討ち、

また阿伏斤の首級もあげた。

とはいえ、北魏軍が止まるはずもない。

東陽城の北西2キロ弱のところに、

拠点を構えるのだった。




虜眾向青州,前後濟河凡六萬騎。三月,三萬騎前追脅。城內文武一千五百人,而半是羌蠻流雜,人情駭懼。竺夔夜遣司馬車宗領五百人出城掩擊,虜眾披退。間二日,虜步騎悉至,繞城四圍,列陣十餘里,至晡退還安水結營,去城二十里,大治攻具,日日分步騎常來逼城。夔夜使殿中將軍竺宗之、參軍賈元龍等領百人,於楊水口兩岸設伏。虜將阿伏斤領三百人晨渡水,兩岸伏發,虜騎四迸,殺傷數十人,梟阿伏斤首。虜又進營水南,去城西北四里。


虜が眾は青州に向い、前後し河を濟ること凡そ六萬騎。三月、三萬騎は前み追脅す。城內の文武一千五百人は、而して半ばは是れ羌蠻の流雜せば、人情は駭懼す。竺夔は夜に司馬の車宗を遣り五百人を領し城を出で掩擊せしむらば、虜眾は披退す。間二日、虜が步騎は悉く至り、城の四圍を繞し、陣を十餘里に列ね、晡に至りて安水、城を去ること二十里に退還し營を結び、大いに攻具を治め、日日步騎を分け常に來たりて城に逼る。夔は夜に殿中將軍の竺宗之、參軍の賈元龍らをして百人を領し、楊水口の兩岸にて伏を設く。虜將の阿伏斤は三百人を領し晨に水を渡らんとせば、兩岸の伏は發し、虜が騎は四迸し、數十人を殺傷し、阿伏斤が首を梟ず。虜は又た營を水が南、城より去ること西北四里に進む。


(宋書95-12_暁壮)




もしかして:焼け石に水



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る