北魏10 拓跋嗣侵攻7  

北魏ほくぎ軍は次々と軍を送り込んでくるも、

毛徳祖もうとくそはそのことごとくを跳ね返す。


そのような事態を前に、

拓跋嗣たくばつし自らが南下、ぎょう入りした。

北魏軍にしてみれば、ケツを

ぶっ叩かれたようなものだろう。


奚斤けいきん金墉きんよう城の守りを他のものに任せ、

虎牢関ころうかん攻略戦に復帰。


対する毛徳祖は、城内から穴を掘る。

およそ長さ 20m のものを、二本。

さらにそこから六本伸ばし、

城を包囲する敵たちの後ろに伸ばす。


そのうえ城内で 400 名の決死隊を募り、

范道基はんどうきに先駆けの 200 名を、

郭王符かくおうふ劉規りゅうきらに 200 名の後続を与え、

城攻めを展開する北魏軍の後ろから

攻撃を仕掛けさせた。


この奇襲によって数百の敵を討ち、

攻城兵器を焼き尽くした。

これで北魏軍は一時撤退するのだが、

まもなく兵力を整え、

再侵攻してくるのだった。




自虜分軍向洛,德祖每戰輒破之。嗣自率大眾至鄴。鄭兵既剋金墉,復還虎牢,德祖於城內穴地,入七丈,二道,出城外,又分作六道,出虜陣後。募敢死之士四百人,參軍范道基率二百人為前驅,參軍郭王符、劉規等以二百人為後係,出賊圍外,掩襲其後,虜陣擾亂,斬首數百級,焚燒攻具。虜雖退散,隨復更合。


虜の軍を分け洛に向いてより、德祖は戰の每に輒ち之を破る。嗣は自ら大眾を率い鄴に至る。鄭兵は既に金墉を剋し、復た虎牢に還ざば、德祖は城內にて穴地し、入りて七丈なるを二道、城外に出し、又た分け六道を作し、虜が陣の後ろに出る。敢死の士四百人を募らば、參軍の范道基は二百人を率い前驅と為り、參軍の郭王符、劉規らは二百人を以て後係と為り、賊が圍の外に出で、其の後を掩襲し、虜が陣を擾亂し數百級を斬首し、攻具を焚燒す。虜は退散せりと雖ど、隨いて復ら更ごもに合す。


(宋書95-10_暁壮)




毛徳祖に延々と続く地獄……そういや、なんで毛徳祖って洛陽じゃなくて虎牢なんだろって思ったんですが、考えてみりゃ北~北東から攻めてくる相手に対する洛陽なんて一拠点にしかなりようがないですわね。むしろそんなところに陣取ったら引きこもりみたいな状態になっちゃってるわけで。難しいところです。


ところでこの辺で名前が出てくるひと達って「なんでこんなどうでもいい人たちの名前が……?」みたいにも思ってたんですが、考えりゃ最前線で文字通り命をなげうった人たちでした。極端な話すれば、彼らが命を投げ出してくれたからこそ、元嘉の治が現出したとすら言っていい勢い。そりゃ、極力名前を挙げてやりたくなりますわ。

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