陶潜12 命子詩 下
嗟余寡陋 瞻望靡及
顧慚華鬢 負景隻立
三千之罪 無後其急
我誠念哉 呱聞爾泣
ああ、わしの偏屈さよ。
どう先祖を仰いでも及びつかぬ。
すでに白髪も目立ち、
ともに歩む兄弟もない。
人が犯す三千の罪のうち、
子をなさぬのが最大の罪という。
お前の誕生を待っていた、
お前の産声を聞き、
ようやく為せた、と思ったものだ。
卜云嘉日 占爾良時
名爾曰儼 字爾求思
温恭朝夕 念茲在茲
尚想孔伋 庶其企而
お前の誕生日は吉日であった。
よき時に生まれてくれたものだ。
名を儼とし、字を求思としよう。
日ごろ温厚であってほしい。
そのことを胸に過ごしてほしい。
求思は孔子の孫、孔伋のものだ。
お前にも孔伋様のように
なってほしいのだ。
厲夜生子 遽而求火
凡百有心 奚待于我
既見其生 實欲其可
人亦有言 斯情無假
ハンセン氏病を病んだもののもとに、
夜に子が生まれた。
彼は慌てて火を求めたという。
親とはみなそのようなものらしい。
わしだけのことではなかったのだ。
一たび生まれてくれたのであれば、
無事に育ってほしい。
このようにも言うではないか、
子を思う親の想いに偽りなし、と。
日居月諸 漸免于孩
福不虚至 禍亦易來
夙興夜寐 願爾斯才
爾之不才 亦已焉哉
月日が経ち、お前も大きくなってきた。
みだりに福は訪れず、
しかし災いはやって来やすい。
朝から夜まで、
お前の才が育つことを願う。
才能がないのであれば、
それもまぁ、仕方のないことか。
嗟余寡陋,瞻望靡及。顧慚華鬢,負景隻立。三千之罪,無後其急。我誠念哉,呱聞爾泣。卜云嘉日,占爾良時。名爾曰儼,字爾求思。温恭朝夕,念茲在茲。尚想孔伋,庶其企而。厲夜生子,遽而求火。凡百有心,奚待于我。既見其生,實欲其可。人亦有言,斯情無假。日居月諸,漸免于孩。福不虚至,禍亦易來。夙興夜寐,願爾斯才。爾之不才,亦已焉哉。
(宋書93-30_文学)
なんで宋書、これをラストに持ってきたんでしょう。謎。素敵な詩だとは思うんですけですけど、命子よりもっと紹介すべき詩があるような気がしないでもない。この辺は沈約三の想いからの逆算が必要なんでしょうかねえ。
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