第118話 ガールズ・クッキング★

「よし、ちょうど区切りもいいしここでお昼休憩にしよう!」


「疲れました……」


「心夏お疲れ様です」


お二人のお陰で上達しているのは身に染みて感じていますが、まだまだ2人がお手本で弾いてくれているものと比べるとまだまだです。


それから、少しの間ロータスさんと話していると葉柚さんが露骨にガッカリした表情をして戻ってきます。

なんだか、嫌な予感です。


「心夏ちゃん、マーちゃんごめん……」


「どうしたんですか?」


「さちくん、寝てた……」


寝てた…?ということはお昼ご飯は……


「お昼ご飯、ないです……」


「そんなぁ……」


ロータスさんはガックリと肩を落として「もう終わりだ……」と呟いています。


「だ、大丈夫!私が作るから任せて!」


「あ、私も手伝いますよ」


「助かる!」


「私も!」


ロータスさんは、ぴょんとはね起きて元気を取り戻したのかまっすぐ手を上げました。


「マーちゃんもありがとう!」





「心夏ちゃん、塩とって〜」


「はい」


「私は何をすれば?」


「マーちゃんはこっち見といて」


「分かりました!」


ロータスさんはシチューの鍋の見張り番を任命されじーっと眺めています。


私の方では春巻きを作っているところですが、3人でやると早いものでサクサクと作業が進んでいきます。



そして、あっという間に……


「かんせーい!」


夜ご飯の分まで合わせて作りましたが結構な量になってしまいました。


ひとまず、シチューの味見を……


パク


「──っ!な、なんですかこれ……」


「どうしたの心夏ちゃん?」


パク


「コホッ……コホッ…

マーちゃん?これ何入れたの?」


どうやら、私の舌がおかしいのかと勘違いしそうになりましたが葉柚さんも同意見だったようです。


「えっと……あれとかあれとかあれとか?」


ロータスさんは、マヨネーズやハチミツなんかを指さして「美味しかったでしょ?」と純粋無垢な笑顔で聞いてきます。


(そんな瞳でみられては不味かったなんてとても……)


葉柚さんと目が合います。

どうやら同意見のようです。


「とても美味しかったですよ」


「う、うん!すごく美味しかった!」


すると、ロータスさんはとびきりの笑顔で1口シチューを自分でも食べました。


そして……


「うん!ほんとに美味しいね!」


※このシチューは、この後関係者が美味しく全て頂きました。

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