第42話 お礼
お礼を渡すことが出来れば今日の日程はコンプリート!のはずだったのですが……
「もう5時かぁ!楽しくてあっという間だったよ!」
私はお礼を渡すことが出来ないままでショッピングモールからの帰り道を3人並んで歩いていました。
時間は沢山あったはずなのに、渡すタイミングが掴めずにもうこんな状況です……
「またみんなで来たいですね」
「僕はついてきただけなんだけどね……」
葉幸くんは本当に疲れたという表情で葉柚さんの隣を歩いています。
「あ、あのっ。葉幸くん!」
ちょうど静かになった今しかない。
そう思って声を出すと葉幸くん不思議そうに葉柚さんの隣から顔を覗かせます。
「あのですね。今回の噂の件では、葉幸くんにも凄くお世話になりました。なので本当にありがとうございます」
「う、うん。
でもそんなこと、別に気にしなくてもいいのに……」
「葉幸くんが気にしなくても私が気にするんです!
それで、あのお礼なんですけど……これ、受け取って貰えませんか?」
手に持っていた袋から取り出したあるものを葉幸くんに手渡します。
「これって……アイマスク?」
「はい。今日の朝、ここで葉柚さんと一緒に選んで買ったアイマスクなんです」
「そっか……
ありがとう。大切に使うよ」
葉幸くんは柔らかい笑みを浮かべてそう言ってくれました。
でも……
「でも、学校の授業中に使うのは禁止ですからね!」
「えぇ……
それじゃあ使えないじゃ──」
「大切に使ってくれるって、言いましたよね?葉柚さん、ちゃんとチェックして報告お願いしますね?」
「任せろー!」
そんな子供っぽい葉柚さんの声が響きます。
「姉さんは宝田の味方なんだね……」
葉幸くんは最後の希望に
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