第11話 小テスト

『お願いしまーす』


「ちゃくせーき」


クラス委員長さんのやる気のない号令から4限目の数学の授業が始まります。

これが終われば次の時間はお昼休みということでクラスの皆さんもやる気を──出すはずもなく、机にうつ伏せになっている人や友達とこそこそ話したりする人が見受けられます。


「よし、今日は最初に小テストするぞー」


「小テストだと!?」


「抜き打ちテストとは卑怯な!」


「勉強する時間をよこせー!」


しかし、先生の発言によってダラっとしていた人達はみんな焦って教科書をパラパラとめくり公式を暗記しようとします。


「とりあえず8割取れなかったやつは放課後残って再テストな〜」


8割!?厳しすぎませんか?普段から勉強している私でも少し不安になる数字ですよ?


「1番前の席のやつに渡していくから後ろに回して始めろ〜」



10分後……


「はい終了〜。隣と用紙交換して採点しろー。答えは前に書いてあるけど教科書の問題とかを使ってるわけじゃないから答えが間違ってたら教えてくれ」


教科書の問題を使ってない…?

つまり先生が自作したということでしょうか?

でも自分で作った問題で答えが間違っていることなんてありますかね……?


「ココナッツちゃんはどうだった?」


すると、不意に隣の席の友達が話しかけてきます。

私は自分のテスト用紙を渡しながら質問に答えます。


「そうですね……

多分大丈夫だと思いますけどわからないですね」


そしてお互いに採点を終えてテスト用紙を元に戻すと……


「えっと、ココナッツちゃんどんまい……」


友達から帰ってきたテストには「75点」と控えめに書かれているのでした


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