第20話
「はあ? 何を言ってるのかよくわからないんだけど」
休み時間教室に遊びに来た降旗に、さっき疑問に思ったことを聞いてみた。
そしたらこれだよ。めちゃくちゃ素気無い反応が返ってきた。
「口が悪いぞ降旗さん。何言ってるのかはわかるだろ、何言ってるのかは」
「博也って、そんなどーでもいいこと気にして生きてんの? やばいやつじゃん」
「気になったから聞いてみただけなのにやばいやつ扱いか……」
このクラスは女子ばっかりだから降旗が混ざっても違和感がないな。
担任の教師が教室の中に入ってきてもバレないかも……。
———とか思ったけど、見た目のレベルが他を圧倒的に凌駕してて目立ってたわ。
周りの視線が俺と会話してる降旗に集まってる。歩美と同じで高嶺の花だもんなぁ。
そりゃこんなやつ教室内にいたらガン見しちまうわ。
「なあに。人の顔じろじろ見て……それ、流し目のつもり? 博也のくせに生意気」
「流し目ってなんだ? 俺バカだから難しい言葉使われてもわからないぞ」
「わからないなら別にいい。——それより、歩美ちゃんはタブレットでなにしてるの?」
降旗に聞いたこととまったく同じことを歩美に尋ねてみたら、カバンからタブレットを取り出してネット検索で調べ始めた。
こんなどうでもいい疑問に真剣になってくれてるんだ。
降旗の対応とは雲泥の差だな。
「調べてくれてるんだよ。おまえの言うヤバイやつが気になってるどーでもいいことをさ」
「色々検索してみたんだけど」
「どうだった?」
「学校によって違うんじゃないかな。小学校からって人も中学校からって人もいて、どれが正解なのかわからなかった」
歩美の話を聞く限り、同じことが気になってるやつが他にもいたんだな。仲間がいてくれてよかった。
「へぇ……そんなの気にする人、博也以外にいたんだ」
「そりゃいるだろ。地球上に人間が何人いると思ってる?」
「それ、わざわざ歩美ちゃんに調べさせる必要あった? 時間の無駄でしょ。貴重な休み時間は、勉強に使った頭を休めるのに有効活用するべきじゃない?」
「いや、調べさせるも何も、歩美は自主的に調べてくれたんだぞ」
きっと降旗は、俺がなんでもかんでも歩美に世話してもらってると思ってるんだろうなぁ。
略略その通りではあるが。
「博也がそんなしょうもないこと気にしたりするから、仕方なく調べてくれたんでしょ。そろそろ次の授業始まるから戻るね」
「杏子ちゃん、またね」
そう言って歩美がばいばいと手を振ると、同じように降旗も手を振って美術デザイン科の教室を後にした。
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