第18話 精力絶倫百合との攻防
<前回のあらすじ>
[相楽]さん宅にいる幽霊、どうやらわたしのお友達幽霊である、シルビアちゃんが捜しているお姉さん幽霊みたい。
そこで身も心も解け合いたい最愛の妹[ちいゆ]を連れて、[相楽]さんのお家にやってきました。
でも何故かメイド服の[相楽]さんは、服の下に身に着けた亀甲縛りの紐を引っ張らないと家に入れない! って変態な要求をしてくるのー。
わたしは控えめに引っ張って気味の悪い快楽に手を貸しちゃったけど、そういうお下品な知識が無い[ちいゆ]は全力で引っ張ちゃったのです。
これにはさすがの[相楽]さんも絶頂ノックアウト。
その内に、シルビアちゃんのお姉さんを捜しに家の中に入っちゃおーっと。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ギャグ漫画で後ろから車に轢かれたキャラみたいな格好をしている相楽さんを見ながらこう思った。
これはチャンス! 家の中に入って、シルビアちゃんが捜してるお姉さんを呼ばなくちゃ!
後ろからちいゆの両肩に手を乗せ、そのまま家の中に突撃する。
「ええ~? お姉ちゃん、勝手に入っちゃっていの~?」
「いいのいいの、ちゃっちゃーって入って、ちゃっちゃーって出るから、ってうわっ!」
玄関に入るなり何故か美少女アニメの抱き枕カバーが壁に並んでいた。
ひぃっ、この人、二次百合でもある訳!?
そこで背後から勢いよく扉が閉められる音が響く。
「お姉ちゃん!」
ちいゆの怯える声に扉の取っ手を掴んだけど動かない、錠らしきものもまったく無かった。
「うふふふ……」
扉越しに相楽さんの声。
「こうなることも想定済みよ」
どんな想定ー!?
「もうあなた達は逃がさないわ」
「ちょ! 相楽さん! 何やってるんですかー、戻ってきた燕奈さんに怒られますよー!」
「うふふ……安心していいわ、その間にふたりとも……堕として、あ・げ・る」
背筋がぞっとなる。
「相楽さ――」
走り去る音がした。
恐らく別のところからこの家に入ろうというのだろう。
「ちいゆ!」
ええ?! ちいゆが居ない!
何で? あのちいゆが勝手に行動するなんて考えられないんですけどー!
「ちいゆー!」
ラーメン屋で鍛えた大声で呼んだけど物音ひとつ返ってこない。
こうなったら家の中に戻ってくる相楽さんより早く見つけなくちゃ。
スニーカーを脱いで足を踏み入れる。
正面に階段、左右には廊下。
少なくとも階段を上った音はしなかったので、左の廊下へ行くことにした。
最初に見えた部屋に目をやる。
ひぃっ! 何この大量の段ボール箱!
ラ、ラブラブローション、ってあるんですけど! これってもしや、百合同士で体に塗りあってぬるぬるぬちゃぬちゃするアレ用!?
っていうか、この数じゃ資源ごみの日大変でしょー!
そそくさと通り過ぎる。
正面にはトイレの戸、その横にある部屋を見る。
うわー! ゴスロリから巫女、チャイナに女子高制服ー! なにこのラインナップ! スク水なんか旧と新揃えてるー! コワ過ぎなんですけどっ!
そこへ駆け足の音!
とっさに衣装が並んでるハンガーの陰に隠れる。
足音はローション部屋でいったん立ち止まると、こちらへ向かってまた歩き出した。
そしてこの部屋の前で立ち止まる。
「うふふ、隠れちゃってカワイイ」
心臓が飛び出しそうなんですけどーー!!
「だいじょうぶ、ワタシの愛を知れば“何で逃げ回ってたんだろ?”ってなるわ」
知りたくないんですけどー!
「ふふ、さあ愛の講座の始まりよーーーー!」
ひぃっーー!!
バターンとトイレの戸が開く音。
え? そっか、トイレに隠れてると思ったんだ――ってこれはチャンス!
飛び出して開かれたトイレの戸に体ごとぶつかった。
すると出ようとしていたのか、相良さんの体に当たる衝撃を感じた。
「ほげっ!」
声と共に便座にぶつかる音が聞こえた。
「ふ、ふひゅ、ワタシを出し抜きゅなんて! しゅてき! しゅてきよー!」
鼻を打ったのか変な発音の相楽さんが全力で戸を押してくる。
それに負けじと戸を押し返す、が精力絶倫はパワーも絶倫なのか、耐え切れない。
思わず戸を背中に押し当て、そのまま座り込んで踏ん張った。
このままじゃ押し開けられてジ・エンド。
相良さんに調教されて、百合ペットになってしまうんだー!
そう思いながら伸ばした手が何かのスイッチに触れる。
見るとトイレの壁に謎の金属製スイッチがあった。
入った玄関の戸が開かなくなったことを思い出す。
金属製のスイッチを下にさげた。
「うふぁ? ちょ……あのー……またワタシを出し抜くなんて! 好きぃー、ほんと好きぃー!」
相楽さんはMっ気なのか、ぷひーぷひー鼻息荒く戸を爪で引っ搔き続ける。
それと同時に背中への圧迫が消えた。
「ふー、これでひとまず安心――」
息を吐き、正面を見る。
そこで悲鳴をあげそうになる。
何故なら、眼鏡をかけた外国人らしき女性が目の前に宙に浮かんでいたから!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます