第119話 へぇ、あんたもダンジョンマスターって言うんだ
名前:アレクシス
種族:エルフ 年齢:12(↑1) 性別:男
職業:木工師見習い
レベル:15(↑2)
筋力値 10(↑2)
魔力値 7(↑1)
生命力 6
器用さ 21(↑2)
素早さ 4(↑1)
スキル
弓Lv1 火魔法Lv1 木工Lv1 ダンジョンLv1(New)
スキルアーツ
パラライズアロー(弓Lv1) ニス塗布(木工Lv1)
称号
剣聖と賢者の息子 ダンジョンマスター(New)
「あ。……え?」
「あー、やったぞう。レベルが上がったぞ……え?」
鑑定結果を見た僕は、レベルが上がっていることに驚くフリをした。
というか驚くフリをしようとして、本当に驚く羽目になった。
僕のステータスには、『ダンジョンマスター』の称号と、『ダンジョン』スキルが新たに追加されていた。
……参ったな。称号やらスキルやらが増えたのは嬉しいけど、ローデットさんにいろいろバレちゃったよ。
「アレクさん、これは……?」
「えーと……」
これはまずいぞ。ローデットさんにバレた――それはすなわち、教会にバレたということだ。
教会にバレたということは…………あれ? 案外大丈夫じゃないか?
なんといっても教会のトップはユグドラシルさんだ。
そう考えたら、そこまで心配する必要はない気がしてきた。ユグドラシルさんならバレてもいい。というよりも、元々伝えるつもりだった。
……しかし今この場で、ローデットさんにはなんと説明したものか。
「あのーアレクさん、ダンジョンとは……?」
「その……ちょっとダンジョンを始めまして」
「ダンジョンを……始める?」
「えぇ、はい。――ユグドラシルさんにちょっとやってみろと言われて、ダンジョン始めました」
「はぁ」
とりあえず僕はユグドラシルさんを頼った。
なんだかもうダンジョン関連は、軒並みユグドラシルさんに丸投げしている気がする……。
「ダンジョンって、アレですよね? あの地下に潜っていくやつ」
「そうですそうです」
……まぁアレクナナカッコカリダンジョンは、残念ながらあんまり潜らないけど。
「はー。ダンジョンって、そんな感じで始められるものなんですかー」
「みたいです。さすがユグドラシルさんですね」
「さすがですねー」
さすがユグドラシルさんだ。ローデットさんも納得してくれた。
「そんなわけで、称号とスキルを手に入れたみたいですね。『ダンジョン』スキルとか、ローデットさんは知っていますか?」
「うーん。存在だけは聞いたことがありますー」
「し、知っているのか、ローデットさん!?」
「え? は、はい……。といっても、そこまで詳しくはないですけどー」
すごいな、こんな限定的すぎるスキルも
「ダンジョンマスターと呼ばれる人にはそういうスキルがあると、耳にしたことがあるだけですー。実際にどんなスキルでどんなスキルアーツが手に入るか、見当もつきませんー」
「なるほど。まぁダンジョンマスター専用スキルっぽいですしねぇ」
ダンジョンマスターなんて、そう多くはいないだろうしな。さすがのローデットさんでも、詳細はわからないか。
それにしてもスキルアーツか。スキルを手に入れたんだから、いずれスキルアーツも覚えられるわけだ。それは楽しみだね。
「ところでアレクさん。もしかしてナナさんは、ダンジョンの関係者なんですか?」
「え? えーと……そうですね。僕一人でダンジョン作りは大変だろうと、ユグドラシルさんが
「あー、やっぱりー」
普通はそう思うよね。突然ダンジョンマスターになった僕と、突然現れた正体不明のナナさん。
どちらもユグドラシルさん由来だと伝えたのだから、ナナさんもダンジョン関係者だと予想するのは当然だろう。
「ダンジョン関係者のナナです。よろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いしますー」
何故かローデットさんに握手を求めるナナさん。これでローデットさんとの握手は三度目だ。なんなんだろう、このナナさんの政治家ムーブは。
「では、私も鑑定をお願いしたいのですが?」
「はい、いいですよー」
「マス――アレク様も、よろしいですか?」
「うん。いいよ?」
ナナさんの鑑定結果で、再びローデットさんを驚かすことになりそうだねぇ。まぁ仕方ない。
「じゃあローデットさん、こちらをどうぞ――あ」
「ありがとうございますー」
最初に二人分払っていたのに、うっかりナナさんの鑑定代を、再び払ってしまった……。
すでに僕が渡した硬貨は、ローデットさんの
というか平然と受け取られてしまったんだけど、ローデットさんもうっかりだよね? 最初に二人分受け取ったことを、うっかり忘れているんだよね?
うっかり忘れている演技を、平然としているわけじゃないよね?
「あの、アレク様……?」
「うん。じゃあ、ナナさん、鑑定どうぞ」
「……はい」
どうやらナナさんも、僕が鑑定代を二回払ったことが気になったようだ。
けど、いいんだ。もういいんだ。さぁ、鑑定をどうぞ。
そんなわけでナナさんが水晶に手を置くと――
名前:ナナ・アンブロティーヴィ・フォン・ラートリウス・D・マクミラン・テテステテス・ヴァネッサ・アコ・マーセリット・エル・ローズマリー・山田
種族:ダンジョン 年齢:0 性別:女
職業:木工師見習い
レベル:36
筋力値 23
魔力値 4
生命力 17
器用さ 46
素早さ 21
スキル
弓Lv1 水魔法Lv1 騎乗Lv1 木工Lv1 料理Lv1 ダンジョンLv1
称号
ダンジョンマスター
「むぅ……」
「なるほど……」
「えぇ……」
これまた突っ込みどころが多いステータスだな……。いったいどこから突っ込めばいいものか……。
というか、ナナさんも僕と同じでダンジョンマスターなんだね……。
『へぇ、あんたもダンジョンマスターって言うんだ』
――そんな意味合いを込めて視線を送ってみたが、NANAさんは小首をかしげるだけだった。
next chapter:それでもユグドラシルさんなら……。ユグドラシルさんならきっとなんとかしてくれる……!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます