第277話 意図が分からん

 アップが遅くなり、申し訳ありません。

 突然のゲリラ豪雨に伴う雷で、データ未保存のまま、PCが瞬停してしまい、データ消失しちゃいました……orz

 まあ、何とか、思い出しながら消えた部分を再度書き直ししていたら、時間を食ってしまいました。 雷怖いっす。

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それから、俺達は順調?に第9階層を経て、第10階層をズンズンと進んで居る。

気分を切り替え、階段までの道を一気に切り開きつつ、数回に分けて『ミスト・サンダー』による広範囲攻撃で殲滅して行き、感電して事切れた死骸はエバが美味しく頂く。 

そして、時々落ちてる宝箱を回収する。

このルーチンワークを繰り返して行く。



第10階層に入り2時間が経過した頃、やっと第10階層の終焉が見えて来た。


階段への入り口と思っていた場所には、大きな岩で出来た扉があった。

扉には掌の形に窪んだ部分があり、『ここを押せ』と言って居る様であった。


コナンさん曰く、ダンジョンによって違いはあるが、ある一定階層毎にボス部屋というのがあったりするらしい。


「つまり、下に降りたければ、階層ボスを倒せという事だね?」


「ほぅ~、やっと愉しめるのですな?」

今までゲンナリとしていたコルトガさんが急浮上して来て、指をワキワキと動かしている。


まあ、この分だと俺の出番は無さそうだな。


「じゃあ、行くよ!」


俺が手の形の窪みに手を入れて押すと、スッと重い岩の扉が音も無く開いて行った。


そして、俺達全員が部屋へ入ると、それまで薄暗かった部屋が明るく急激に明るくなり、後ろでは岩の扉がガタンと閉じられたのであった。


「なるほど、階層ボスを倒すまでは、入る事も出る事も出来ないという事かな?」


内部は半径10m程の割と広いドーム状の部屋であり、俺達が入った扉の丁度反対側に同じ様な扉があった。

しかし、

さぁ、見せて貰おうか! 階層ボスの存在意義を!!


と思ったのだが、部屋の中は空で、魔物の『ま』の字すら居ない。


「って、あれれ? 何も居ないんだけど?」

と俺がコナンさんの方を見ると、コナンさんも あれ? って顔をしている。


――ボス部屋に入って3分が経過した頃、俺達は異変に気が付いた。


吐く息が白いのである。

あれ? 気温下がってる?


それに伴い、キラキラとした物が空気中に舞っている。


<主ーー! 寒いニャ!!!>

とジジの声がすると、ジジやピョン吉達がプルプルと震えている。


「ああ、ゴメンゴメン、俺達は服に快適温度を付与してたから、気が付かなかったよ。」

と謝りつつ、快適温度を付与したシールドを従魔達にも張ってやった。


更に7分が経過する頃には、光輝いていたホールは、真っ白い氷に覆われた空間となった。


「これは、どういう趣向なんだろうか? 寒さに耐えろ的な物なの? それとも極寒地獄の罠を解除しろって事?」


俺の問いにコナンさんも判らないと云うゼスチャーをしていた。


すると、氷に覆われたドームの中央部分でピンク色に輝く魔方陣が光り、そこに魔物が出現した。


どうやら、ボスはボスで居るらしい。


出て来たボスは、何か変である。


「何、これ?」


白っぽい豪華なドレスっぽい物を身に纏ったゴブリン? 女装したゴブリンなのか!?


そして徐々にその全貌が見えて来た。 出現したゴブリンだが、詳細解析Ver.2.01大先生にお尋ねしたところ、『ゴブリン・アイス・クィーン』と云うらしい。


それはそれはゴージャスな長~い裾のドレスを身に纏い、「ギャギャギャァー♪ ギャ♫ギャーグギャ~♪」と変な鳴き声のメロディーを奏でながら氷で出来た玉座に座っている。

その姿に、思わず俺は頭の中で、紅白の女王かよ!! と突っ込んでしまった。


しかしどうやら、その歌声?には状態異常を引き起こす魔力が乗っているらしく、

<<<ギャーー 耳がぁーー>>>

<耳が腐るニャーーー!!>

とピョン吉達が耳を前足で押さえつつのたうち廻っていた。


コナンさんも苦しいらしく、青い顔をしながら、素早く消音のシールドを張っている。

俺も慌てて、コナンさん以外の全員に消音のシールドを張った。

コルトガさんもサスケさんもコナンさん程ではないが、かなり影響が出ていたらしく、ホッと一息つき、何か叫びながら、腰の剣に手を伸ばしつつ、キレていた。

遮音しているので、何を叫んでいるのかは不明だが―― 兎に角キレていた。


そして、その一瞬後、瞬時に玉座で気持ち良さげに歌っているゴブリン・アイス・クィーンの玉座へと一歩で近付き、腰溜めの一閃を浴びせ、氷の玉座ごと左胴体から右肩へ向けて切り裂いていた。


光の粒子となり、玉座お周りの氷も消えて行く。

俺はシールドを解除して、「呆気なかったな。 何がしたかったんだろうか?」と呟いたのであった。




玉座のあった場所にはゴブリン・アイス・クィーンの死骸と、その隣には宝箱が出現した。

ワクワクしながら宝箱を開けたのだが……


「こ、これは――」

と全員が絶句する。



中には、煌びやかなティアラが1つチョコンと置いてあったのだ。


「こ、これは、あのゴブリン・アイス・クィーンが使っていたティアラですよね?」

とコナンさんが呟く。


『詳細解析Ver.2.01』

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名前:歌いたくなるティアラ

ランク:無茶振り伝説級

制作者:錬金神ドワルフ

所有者:


【説明】

着用者は無性に歌いたくなる祝福のティアラ。着用中は歌が滅茶苦茶上手くなり、即興で何でも歌にする事も可能となる。

その歌を聴く者は、状態異常が無くなり、聞いて居る間は状態異常耐性が2倍にアップする。

また、対物理耐性、対魔法耐性が1.5倍にアップする。

残念ながら、元気100倍にはならない。


【経歴】

女神エスターシャが錬金神ドワルフに無茶振りして作らせたシリーズの1つ。

丁度女神エスターシャ様が、地球の宝塚に嵌まって居た為に思い付き、作らせた。

無性に歌いたくなる……って何の呪いかと……いえ、祝福の魔道具です!!


【歌いたくなるティアラの作り方】


 [>>続きはこちら>>]



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いや、もうこれって完全に呪いグッズじゃん。

歌いたくなるってさぁ しかもティアラだよ? 利用方法無いじゃん。

いやぁ~怖い呪いグッズ作らせるよなぁ~。


俺の説明を聞いた周囲は「「「怖っ!」」」と呟いていたのだった。

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