第263話 無茶振りシリーズ?

そして、第2階層に降り立った!!


目の前には3本の道が繋がっている。


「ああ、そうか。 てっきり一本道かと勝手に解釈してたけど、迷路になっている可能性もあるのか。

これ、地図を作らないとダメだね。」


俺は、巾着袋から、メモとペンを取り出し、ザックリだが、第1階層の地図を書き込み始めた。

勿論、要所要所のメモも忘れずに書き込む。


「こう言う時は、マッピングスキル持ちが羨ましいでござるよ。」

とサスケさん。


「何? マッピングスキルってのもあるのか。 それ便利そうだね。 頭の中にカーナビが入ってる感じなのかな?」

と俺が口走ると、


「主君、その『かーなび』とやらはなんですかな?」


「えっーと……まあ、く、空想上の魔道具みたいな物だよ。 あったら良いなって言う。 まさかスキルであるとは思わなかったけど。」


うん、何とか誤魔化せた。 しかし、瓢箪から駒ではないが、魔道具かぁ。 カーナビの魔道具作れないかなぁ? 手帳サイズぐらいで出来ると良いな。




「3本の道、さてどれから行くかな?」


「地図を作るのでしたら、全部廻る必要がありますな。」


「うん、そうだね。 じゃあ右から……いや、全部を右に右に行けば全て廻る事になるかな。」

行き止まりになれば、Uターンしてまた別れ道を右に行けば、多分全部を廻る事が出来る筈である。


俺は、マッピングスキルの存在を知ったので、積極的に取りに行く為、地図を描く事にしたのであった。


第2階層、最初の分岐で右の道をチョイスし、進み始めると、魔物の反応が。

出て来たのは、フフフ……ゴブリンである。 またこのパターン? 確かに5匹ぐらいに増えてはいたけど、でもゴブリン。


やや先行するコルトガさんが秒殺し、エバは美味しく頂く。 既にこの黄金パターンが定着している。

コルトガさんは、ゴブリンにご不満顔である。 魔物の脅威よりも、欲求不満が爆発しないか、そっちの方が心配だ。

「もっと気合い入れて出てこんかい!」とブツブツ言ってらっしゃるし。



しかし、奥に入って行くに従って、徐々に出て来るゴブリンの数が増えて行く。

希にモンスターハウスもあり、第1階層と同じく、あり得ない数が狭いモンスターハウスから湧いて出た。

つまり、部屋の面積と数が一致しないというか、明らかに後から後からドンドンと湧いている感じという事だ。


コナンさん曰く、ダンジョンの魔物は一旦倒してある一定時間が過ぎるとリポップする物らしい。

また魔物と同じく、ランダムに宝箱もリポップするとの事だった。


そうそう、宝箱と言えば、モンスターハウス5箇所に1回の割合ぐらいで、討伐完了後に宝箱が出現している。

既に、先程開けた宝箱で3つ目であった。


宝箱から出て来る物だが、コナンさんの見識では、一般のダンジョンよりもレアだったり効果の高い物が上層で出て居るという話であった。

もしかすると、このメンバーの中で一番幸運値の高い俺が開けている所為もあるのかな?


最初が件のお面だったわけだが、次に出て来たのは、指輪であった。しかも、名前と付与された効果がなかなかに凄かった。


『詳細解析Ver.2.01』

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名前:幸せを呼ぶ指輪

ランク:無茶振り伝説級

制作者:錬金神ドワルフ

所有者:


【説明】

着用者の幸運を1.73倍に増幅する効果がある。

装着すると、指に吸着し、本人が外そうとしない限り剥がれない。


【経歴】

女神エスターシャが錬金神ドワルフに無茶振りして作らせたシリーズの1つ。

装着すると、ラッキースケベが舞い込んで来るかもよぉ~ン。

さあ、『無茶振りシリーズ』をコンプしよう!


【幸せを呼ぶ指輪の作り方】


 [>>続きはこちら>>]



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何処の怪しげな新興宗教団体だよ!!

いや、確かに俺も1回、『幸運を呼ぶ壺』は買った事あるけどさ……。

その後に出会ったのが元妻だったからなぁ。


そしてその次に出て来たのは、ネックレス。


『詳細解析Ver.2.01』

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名前:透けるとんペンダント

ランク:無茶振り伝説級

制作者:錬金神ドワルフ

所有者:


【説明】

着用者の姿が光を透過し完全に透明となる。発動は任意に行える。

よくある裸にならないと透明にならないというオチは無いから安心だよ!

装着すると、首に吸着し、本人が外そうとしない限り剥がれない。

但し、発動時には、1分間に魔力を10消費するので、魔力切れに気を付けてねぇ~ん。


【経歴】

女神エスターシャが錬金神ドワルフに無茶振りして作らせたシリーズの1つ。命名は女神エスターシャ様が自信満々に決めました……。

装着すると、完全に透明だよ? 『認識阻害のマスク』とセットでの使用を推奨! これさえあれば、気になるあの子の私生活も丸……おっと、覗きは犯罪だょー!

さあ、『無茶振りシリーズ』をコンプしよう!


【透けるとんペンダントの作り方】


 [>>続きはこちら>>]



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何だろう? 俺に覗きをさせたいのか? まあ、これもサスケさん行きかな。


しかし、錬金神ドワルフ様、本当に色々とお世話になっております。 呉呉もご自愛を!

と天に向かって手を合わせる健二であった。



第2階層に入ってから、既に3時間が経過した。

一本道だった第1階層とは違い、第2階層では度々分岐点が出現するので、なかなか終わりが見えない。


モンスターハウスを除き、1度に出て来るゴブリンの数は、最大で20匹ぐらいまでに増えている。


「終わりが見えないなぁ。 一回お茶でも飲んで休憩入れるか。」


「おやつ♪ おやつ♪」

とコナンさんが嬉しそうである。


<僕もおやつってのを食べたいよーー!>

とコナンさんに同調するエバ。


この2人って、『混ぜるな危険』かも知れないな。


しょうがないので、ホットケーキと例のフルーツジュースを出してやると、やはり味が分かるらしく、エバが感動でプルプルと震えていた。


そして、休憩を終えた後、更にダンジョンアタックを再開した。


何とか今日中にキリの良い所で、第2階層を完全制覇したい所ではある。


更に3時間が経過し、夕方6時半を過ぎた頃、やっと第3階層への階段を発見したのであった。


「やっと階段を発見したか。 第2階層はまだ全部廻れてないけど、続きは明日だな。」


「ですな。 出来れば一気に第3階層に突入したい所ではありますが、しょうが無いですな。」


一番ゴネそうだったコルトガさんも同意してくれたので、ゲートで城に戻る事にしたのだった。




城に戻り、新しい従魔であるエバをみんなに紹介すると、スタッフ達は金色のキング種スライムであるエバに驚いていた。


更に、ピョン吉達、既存の従魔達の反応だが、全員がひれ伏していた。


<主ー! 『森の賢者様』じゃないですかーー! ぼ、我は、ピョン吉と申しますです。 賢者様宜しくー!>

とピョン吉達が壊れていた。


聞くと、この周辺の知能のある魔物には、エバは『森の賢者様』と名が知れた有名人……有名魔物?だったらしい。 知らんかったよ。


<僕、エバだよー! 宜しくねー!>

と全員の環に溶け込んで行ってたので安心した。 ボッチ生活が長いと、俺の様になかなか他人に馴染めなくなるからねぇ。


何はともあれ、こうしてダンジョン捜索改め、ダンジョンアタック初日は無事に幕を閉じたのであった。



後でちょっと気になってしまい、エバに聞いたのだが、第0階層の門の所に置き去りになって居る本体? もしくは分体?の事なんだけど、あれはあのままで寂しく無いのか?という事である。

すると、エバ曰く、元々本体も分体も無く、どれもが本体で同一体なのだそうで。


「え? ゴメン、ちょっと良く判らないんだけど、つまり、意識としては両方が同じ物を共有しているって事なのかな?」


<うん、それであってるよー! 僕らは、何匹に身体を分裂させても僕1人なんだよー! まあ、便利と言えば便利なんだけどね。 だから、ケンジ様と会えて、一緒に居られるから、安心してねーー!>

と言っていた。


まあ、それならそれで、安心だ。 ポツンと1人であの洞窟に居ると思うと切ないからね。

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