第261話 こんなん出ましたけど?
なるほど、たかがゴブリンと云えど、あれだけの数――300匹程も居ただろうか? あれだけの数が、この狭い通路にドサドサと雪崩の様に出て来るのは予想外に戦い辛かった。
これがダンジョン故の罠って事かな? 少し色々と想定して、戦い方を勉強しないとな。
そして気を取り直し、ゴブリンの出て来た部屋を見てみると、中には大きな箱が一つ置いてあった。
所謂、物語の中の海賊船にある宝箱と云った雰囲気の箱である。
「ん? 何か箱があるね。」
「おお、主君、それは宝箱ですな。 ダンジョンからは宝箱が出ると聞いた事がありますぞ!」
とコルトガさん。
「え? そうなの? 何それ、ちょっと嬉しいね!」
なんかお遣いに行った商店街でたまたまやった福引きで大当たりする感じ? 得した気分になるねぇ。
ホクホク顔で、宝箱を開けようとしたのだが、サスケさんに慌てて止められた。
「主君! 宝箱でござるが、聞くところによると、ダンジョンの宝箱に化けた魔物のミミックとか云う物や、何やらトラップもあったりするでござる。 呉呉もご注意ご注意を。」
「おっと、いけねぇ! 危うくホイホイ開けるところだったよ。 ありがとう。」
俺は再度気を引き締め直し、詳細解析Ver.2.01大先生にお伺いを立ててみる事にしたのだった。
『詳細解析Ver.2.01』
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名前:宝箱
ランク:ダンジョン級
制作者:錬金神ドワルフ
所有者:女神の試練ダンジョン
【説明】
ダンジョンにある普通の宝箱。
中は空間拡張されていて、どんな物でも収納可能。但し持ち出しは出来ない。
【経歴】
女神エスターシャがケンジが喜びそうな物を! と神々に難題を押しつけ用意された物の1つ又は複数個入ってますよ!
でも開けてビックリ! って事もたまに在るので注意が必要よ?
さぁ、何が出るかなぁ~~?
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うん、開けるのは問題無さそう? 微妙な文章だけど、ミミックとやらでは無いらしいので、多分大丈夫?
「ミミックではないみただね。 あ、開けて見るね。」
みんなが生唾を飲んで見守る中、ガチャリと蓋を開けて何時でもバックステップで回避出来る様に身構えていたが、飛び出す物は無かった。
中を覗いて見ると、白いお面が1つ入っていた。
能面ではないけど、何て言うのかな? 洋風の白いお面。 目と口が横に切り開かれた様な若干怖いお面だった。
「お面だね。」
「お面ですな。」
「何か効能があるんでござろうか?」
『詳細解析Ver.2.01』
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名前:認識阻害のマスク
ランク:伝説級
制作者:錬金神ドワルフ
所有者:
【説明】
着用者を認識出来なくする。又は記憶に残らなくするマスク。
装着すると、顔に吸着し、本人が外そうとしない限り剥がれない。
【経歴】
女神エスターシャが錬金神ドワルフに鞭打っ……を宥め作らせた一品。
装着すると、鑑定何かも弾けるし、傍に居ても気付かないよ!
だけと、これを使って女風呂に行ったりしちゃダメだぞーー! 気付かれないけど、ダメだぞーー!
【認識阻害のマスクの作り方】
[>>続きはこちら>>]
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「ほー! 認識阻害のマスクだってよ! これ凄いね。 着用すると傍に居ても認識出来ないっぽいよ? サスケさんにピッタリじゃん!」
と俺が嬉し気に言うと、サスケさんがビックリしていた。
「え? 拙者でござるか? そんな勿体無いでござる。 認識阻害でござるか……」
口では断りつつも、凄く興味をそそられているのが丸判りである。
「フフフ、そんなに遠慮しないでよ。 適材適所だし。 俺も同じ物を作れそうだから、遠慮しないで。」
と言いながら、お面をサスケさんに押しつけると、もの凄く嬉しそうに片膝を付いて恭しく両手で受け取っていたのだった。
「いやぁ~、初っ端から面白い物が出て来ますな! ダンジョン面白いですな!!
これって下層へ行くに従って、強い魔物も出て来るのであろう? フッフッフ。 肩慣らしも終わった事ですし、ズイズイと参ろうではありませぬか!」
若返ったコルトガさんがワクワクしながら、先を急ごうと急かしだしたのだった。
――コルトガさん、前よりせっかちになってないか? もしかするとやはり身体の年齢に心も引っ張られるのかも知れないな。
まあ、俺も余り人の事は言えないんだけどね。
そして、俺達はそのまま先へと進むのであった。
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