第104話 幽霊さんを餌付けする
本日は重複投稿してません!!
威張って言う程の事ではないのですが(^_^;
何時もお読み頂き、ありがとうございます。
皆様からのコメント非常にありがたく読ませて頂いております。
これからも宜しくお願い致します。
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幽霊屋敷に向かう途中でアケミさんに種明かしをした。
「アケミさん、あの幽霊屋敷の正体ですが、多分ホームレスの子供達ですよ。
さっきは地下に5名程隠れていた様ですが、他にも住んで居る子が居るんじゃ無いかと思います。
ザックリと家の中を見たのですが、何処も綺麗に埃無く掃除されていて、綺麗好きの幽霊さんみたいですよ。」
と俺が言うと、
「え? 子供の仕業だったんですか!? それにしても良く上手く幽霊の仕業に出来ましたね。」
と驚くアケミさん。
「うーん、おそらくなんですが、今地下に居る子じゃなくて、他の子が魔法を使えるんじゃないかと思いますよ。
それで、上手く偽装して幽霊っぽい幻惑を掛けたとか?
まあ、真相はこれから行ってご対面すれば、判るかと思います。
それに、あの幽霊屋敷ですが、もしかすると、隠し通路や隠し部屋のあるカラクリ屋敷なのかもしれませんよ。
無い筈の地下室があるし。」
この屋敷だが、元々は結構な豪商が住んでいたらしいのだが、悪どい商売や、人を人とも思わぬ悪辣非道をやっていたらしく、最後に婚約者を搦め手で強奪された冒険者とその仲間が討ち入り、斬殺しちゃったらしい。
やはり、そんな事故物件に誰も住みたがらないのは、世の常で、安くない買い物をするのに、縁起の悪い所を買う者が居なかったらしいが、事件から10年ぐらい経って、俺と同じく余所から来た商人が買ったらしいが、夜な夜な異変があって、即退去してしまったそうな。
更にそれから5年くらいして購入した別の者が、取り壊して工事をしようとしたらしいのだが、これも幽霊に妨害されたり工事が進まず、職人達も嫌がって流れてしまったらしい。
そして噂が噂を呼び、現在では誰もここを買いたいという物好きは出なくなったとの事だった。
まあ、俺の予想が正しければ、相当な魔法の使い手?が居るんじゃないかと思って居る訳。
「さてっと、今我々は、問題の幽霊屋敷にやって来た訳なんですが、確かに凄い霊気を感じますねぇ~。
ふむふむ……ああ、来てます来てます!」
と巫山戯て一人で壺に入って笑ってると、元ネタを知らないのでポカンとするアケミさん。
ああ、そうだな。知らないよなぁ。
「あー、ゴホン。 冗談ですから気にしないで下さい。
まずは、邪魔な壊れた塀から片付けて行きますので。」
と言って、何時もの如くに、塀を土魔法で浮かせて、ガンガン収納して回る。
そして新しい何時もの塀を設置して廻って、門と裏口とを設置した。
ポカンとして見ていたアケミさんの手を引いて敷地の中に入り、今度はビッシリと生えた、腰の高さまである草を土魔法で排除した。
「すっごーーーい! 何ですかそれ? どうやったんですか!?」
と興奮するアケミさん。
「これは土魔法で根っこごと土から吐き出す感じですよ。結構使い勝手が良いんですよね。」
「こんな魔法があるんですねぇ。驚きました。」
「さて、問題の幽霊さんにご対面ですね。」
アケミさんと一緒にドアを開けて建物の中に入り、気配を探ると、1階の奥に2名増えて7名の反応があった。
俺は、BBQセットとテーブルと椅子を9名分を取り出して、玄関ホールで炭に火を点けて、オークの肉を焼き始めた。
おにぎりをアケミさんに握って貰って、皿に置いて行く。
「おーーい、7名の幽霊達~。 出ておいで、早くしないと肉が焦げちゃうよーー!
甘くて美味しいデザートあるよー! 君らを追い出したりしないから、安心して出ておいで!!」
と声を掛けると、奥の部屋でモゾモゾと動きがある。
どうやら、匂いに盛大に釣られているらしい。
フッフッフ、どうだ!これぞ天岩戸作戦!
「アケミさん、これちょっと食べて見て下さい。
こっちの塩胡椒と、そっちの辛子醤油と食べ比べして貰えます?」
「!!! どっちもおいひいれす!!」
「でしょ! あとね、こうやって玉葱とオーク肉を交互に串に刺して塩で味付けしただけなんですけど、これも食べてみて!」
「あー、これ凄く良い! 玉葱が入っただけなのに、こんなにも変わるんですねぇ。おいひいです。」
「早く来ないと無くなっちゃうよーー! それに君ら7名の居場所を無くす気は無いんだから、出ておいで?」
すると、天岩戸が開いた!!!
奥の部屋から、4歳ぐらいの子から7歳ぐらいの子まで5名それに12歳ぐらいの子が1名、あと10歳ぐらいの女の子が1名居る。
その10歳ぐらいの女の子は耳が長く、どうやらエルフの様だった。
「お、出て来たね。肉が冷める前にテーブルに着いて、あ、その前に汚れてるみたいだから、クリーン掛けるよ。」
といって、7名にクリーンを掛けてやり、席に着かせた。
ドンドンと焼けた肉を出してやると、最初は恐る恐る手を伸ばし、1分もせずにガンガンと食べ始める。
ランドフィッシュ村で丹○のオッサンから仕入れた海鮮汁もお椀に入れて出してやると、涙を流しながら食べて居た。
人心地着いた頃合いを見て、子供らに話しを聞くと、やはり俺の詠み通り、幽霊さんで間違いなかった。
そして、エルフの子はハーフエルフで、見た目は10歳前後だが、実際には15歳だそうで、この子が魔法で幻惑を掛けたり、妨害活動を担っていたらしい。
「そうか、色々大変だったんだな。他にも仲間は居るの? これで全員?」
と聞くと、あと3人居るとの事で、街で仕事を探したり、食べ物を分けて貰ったりしているらしい。
「じゃあ、その子達も呼んで来てくれるかな? 君らを住み込みで雇いたいから、一旦集まって欲しいんだけど、良いかな?」
というと、見た目最年長の12歳の子が走って3人を集めにいったのだった。
さて、この子達だが、どうするかな?
30分ぐらいで4人の子供が戻って来た所で、自己紹介を始めた。
「俺は、ケンジ。一応Aランクの冒険者をやっている。 ここは今日から俺が買い取ったけど、君らを追い出すつもりはない。
但し、この建物は一回撤去して、べつの建物に切り替える。
それに、君らの宿舎を横に置くから、そこに住んで欲しいんだ。
取りあえず、その為にもまずは敷地内に散らばってる抜いた草を処分しないと始まらない。
悪いんだけど、ちゃんと賃金は渡すから、手伝ってくれるか?
と言って、全員に銀貨1枚ずつを渡すと、子供らは大喜びで草集めを手伝ってくれた。
まずは子供らの宿舎のエリアを空けて貰い、そこに宿舎をドーンと設置してやると、
「「「「「「「「「「「うぉーーーーーーー!!!!」」」」」」」」」」」
と子供らだけで無く、アケミさんまで驚きの声を上げる。
「まずは、これが今日から君らの宿舎ね。
あっちの建物は撤去しちゃうから、先に荷物をこっちに運んでね。」
というと、僅か3分も掛からず、必要な物を全部移動した。
泣けて来る程に何も持ってなかったんだよ……着替えもね。
ボロボロの着替えが少々と、ボロボロのお椀とか自作のお箸とかそんな程度だよ。
屋敷を土魔法で土台から切り離して収納すると、ポッカリと地下室の入り口が3箇所程空いていた。
なるほど、3箇所に繋がってたのか。面白い作りだな。
そして、その地下室を埋め、土台を堅く固めていつもの屋敷を上に設置したのだった。
厩舎や倉庫も設置し、集めた草を倉庫に入れておいた。
俺はアケミさんにお願いして、子供らに付き添って貰い、服や下着、靴等数日分と、生活必需品等を買って来て貰う事にした。
大銀貨2枚と銀貨50枚を渡しておいたので、多分足りるだろう。
子供らとアケミさんが居なくなった間に、一気に敷地全体の仕上げを行った。
勿論、他の別荘と同じ様に、遊具も設置し、一面芝生の生えた庭、平らな石畳の通路とロータリーの噴水。
うん、完璧だ。
屋敷の方の食糧倉庫から、宿舎側の食料庫へとある程度の食料や調味料を運び込んで置いたので、当面と言っても2~3年はこれだけで食べて行けるだろう。
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