第43話 詳細解析

 次の朝、アラームの音で目覚め、軽く子供らの朝食の準備をしていると、シスター達が起きて来た。


「おはようございます。あら、申し訳無いです。朝食まで作らせてしまいまして。」

とシスター達が慌てて手伝い始める。


「すみません、早く目覚めてしまったので、勝手に作っちゃいました。

朝はどれ位食べるのか判らなかったので、もし足り無い様でしたら追加して下さい。」

というと、


「いえ、これ、普段より多いくらいですよ。全然大丈夫です。それに豪勢です。」

と微笑んでくれた。


まあ、あんまり豪勢な物ばかり食べさせちゃうと、後がキツくなるからなぁ。

これでも質素にしたつもりだったんだが、普段はもっと厳しかったのか。

何か、食い物に関しては贅沢しまくりな自分が、非常に恥ずかしい。



朝食の後、拠点の残した従魔達の文句もちょいちょい頭に響いているので、寂しがる子供らとナスターシャさんに手を振り、孤児院を後にしたのだった。



<主ぃー、あの雌は主に気がある様だったが、控えめだったな。 どうなのだ? 雌の個体としては?>

とピョン吉が聞いて来た。


<まあ、良い子だとは思うけど、まだまだ幼い子だからな。>

と答えると、


<ふむ、主は経験豊富な年増が好きなのか!>

とこれまた両極端な事を言う。


<いやいや、海千山千の年上でグイグイ来る様なのは、マジでご勘弁だよ。>

と答えると、二匹とも大笑いしていた。


お土産の肉串やサンドイッチやソーセージなんかを大量に買い込み、門を出て、人気のない街道を只管走った。



 ◇◇◇◇



<主……早過ぎる。死ぬかと思った。>

<スピードには自信があったにゃけど、やっぱり主には敵わないにゃー。>

拠点まで超高速で走り続けたら、ピョン吉達にボヤかれた。


帰り着くと、A0~A9が、

<主ーーー、遅い!! ズッとまってたんだよ? でお土産は?>

と食い気全開であった。


ちゃんと、頼んで置いた家庭菜園の面倒は見てくれて居た様で、問題はなかったので、全員を褒め、朝食とお土産を出してやると、大喜びで食べていた。


で、俺はというと、改めてステータスを確認した。


『ステータス表示』

***********************************************************************

名前:ケンジ(杉田健二)

年齢:18歳(53歳)

種族:ハイパーヒューマン

性別:雄

称号:女神の愛し子

   元始の泉の主

   元始の森の主

   解放到達者

   辺境の王

   魔法の探求者

   重力を制する者


職業:冒険者・探求者・開拓者・魔道士

レベル:145(解放済)


【基本】

HP:5280

MP:6912

筋力:1578

頭脳:1134

器用:1208

敏捷:1267

幸運:678


【武術】

短剣術:Lv5

剣術:Lv10

棒術:Lv2

体術:Lv3

斧術:Lv3

投擲:Lv10


【魔法】

火:Lv10(解放済)

水:Lv11(解放済)

土:Lv10(解放済)

風:Lv10(解放済)

光:Lv9(解放済)

闇:Lv10(解放済)

聖:Lv7(解放済)

空:Lv10(解放済)

無:Lv13(解放済)


【魔法Ex】

氷:Lv10

雷:Lv8

重:Lv7


【スキル】

状態異常無効

精神異常無効

MP自動回復増(大)

HP自動回復増(大)

早熟

言語理解

習得補助

調理 Lv8

万物創造

気配察知

魔力感知

魔力操作

気配遮断

身体強化

身体加速

土木作業

農耕作業

解体

素材採取

テイミング

調教

従魔強化

王者の威厳

従魔意思疎通(大)

錬金

鍛冶

射撃必中

大地の息吹

詳細解析


【加護】

女神エスターシャの寵愛

異世界の創造神の加護(大)



【従魔】

ピョン吉(キング・キラー・ホーンラビット)

ジジ(ハイパー・シャドー・キャット)

A0(キラー・ホーンラビット)

A1(キラー・ホーンラビット)

A2(キラー・ホーンラビット)

A3(キラー・ホーンラビット)

A4(キラー・ホーンラビット)

A5(キラー・ホーンラビット)

A6(キラー・ホーンラビット)

A7(キラー・ホーンラビット)

A8(キラー・ホーンラビット)

A9(キラー・ホーンラビット)


***********************************************************************


特に大きくは変わってないが、確かに詳細解析がスキルとして生えていた。

おそらくだが、散々血液内の魔力紋の解析なんかを、ヤリ倒していたのが、今になって芽を出したのかもしれないな。


ドワースの街ではバタバタ落ち着かなかったので、取りあえずスキルに慣れる為、色々な物を鑑定する事にした。


まず、鑑定可能な距離感だが、驚く事に別に近くで無くても、目視出来れば、鑑定出来るらしい。

試しに家には居るが、死角に居るピョン吉を鑑定しようとしたが、出来なかった。

つまり、目視する事が必須条件という事なのだろう。

あと、俺の作った特級ポーションを確認して驚いたのは、作った作者名に俺の名が出た事や、詳細な効能、入っている成分の分量まで判った。

試しにマヨネーズを取り出すと、そのレシピまで出て来た。

わぁーー、壊れスキルじゃん。

こんなのあったら、コピーし放題なんじゃないの? これって倫理的にどうなのよ?


なので、節度を持った利用方法が望ましいと思った。

特に女性に対して無闇に発動するのはなぁ……。

でも邪心を持って近付いて来た人を排除する為には判定すべきか。


物や従魔達等を鑑定した結果だが、ナスターシャさんの時の様な文章も、[>>続きはこちら>>]も無かった。

なんか、ここら辺に女神様の『他意』をビンビン感じる気がする。

いや、本当にありがたいとは思っているんですけどね。



ある程度特性が判ったので、魔法の本を複製作業に入る事にしたのだった。

写本自体は、ユックリやったとしても、二日間もあればお釣りが来る作業ではあるが、現代の日本を知る俺としては、プリンタやコピー機の存在を知るだけに、何か癪な訳だ。

この世界の本が高価である、大きな理由は、単純で、原料である、紙が高い事と、更に印刷技術という物が無く、全て人の手作業となる。

よって、1冊1冊手書きで写本する為、異常な金額となる。

簡単だと、活版印刷という手もあるんだが、小さな文字の版を作り、それを一々並べて行くのは非常に非効率的である。

紫外線硬化型のシルクスクリーンによる印刷も紫外線硬化型の塗料か何かを研究開発しないと難しい。


まあ、今回は手書きにするとして、近々に何かを考えるとしよう。




そして、俺は、2日ジックリ時間を掛け、再度本の中身を精査して、自分の訓練や研究で知り得た内容を補充し、1冊の本に纏めた。

それを第二版の原稿とし、再度写本した。

出来上がった本にキッチリ皮の表紙を付け、製本したのだった。


完成した本を眺めつつ、早々に印刷の手段を確立しようと心に決めるのであった。

おそらくだが、詳細解析スキルを使えば、魔力に反応する素材とか金属とかを探せるのではないか?

そうすれば、コピー機の様に、その粉をトナー代わりにして、定着出来るのでは無いかと思い付いた。

まずは、磁石と砂鉄の関係の様に、魔力に吸い付く素材を探すとしよう。

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