第113話 グナチア#1

頭部を失った怪物は、機械仕掛けのようにしばらく歩いていって、大きな岩に行き当たって動かなくなった。


濁った川に怪物の首を投げ棄て、アマロックが戻ってきた。


「大丈夫?

ケガとか。」


沈んだ声で、アマリリスは訊いた。


「いや、別に。」


アマリリスの方は、突き飛ばされた時に思いきり尻もちをついて、まだじんじんと痛かったが、

彼女を気遣うような言葉が、アマロックから出てくることはなかった。


「こんなアブない大顎怪獣グナチアもいるのね。

魔族よね?」


「キュムロニバスが連れてくるんだよ。」


連れてくる?


妙に思ったが、尋ねるのも何だか億劫で言わなかった。


霧が薄らいできていた。

怪物グナチアが走り出てきた辺りに、岩崖を貫いて奥へと延びる、大きな割れ目が見つかった。


なかば洞窟のような、いっそう生暖かくじめじめした場所に、二人は分け入っていった。

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