第103話 闇のかがり火#2
「ヘンなのー。」
アマリリスが眉をしかめ、興奮にうわずった声で叫んだ。
「変!
ヘンすぎる。何でそんなことするの?」
「さあね。
西に行きたいやつがいっぱいいて、行くなら大型船のほうが経済的、ってことなんじゃないか。」
「そりゃそうだろうけど、でもぉ。」
そんな奇妙な生態の生物が存在するというのも驚きなら、
そんな、ぜんまい仕掛けの人形みたいに、まっすぐに歩くしか出来ない生き物を、なぜよりによって、あんな巨大なキュムロニバスの
人型魔族とか、せめて鳥とか、もっと高等な知能を備えた構成体がいくらでもいるだろうに。
「
けれどおれがキュムロニバスになるとしたら、人型魔族が動かしてるようなキュムロニバスには、乗らないだろうね。」
「え、どうして?」
「例えば
群体になって眠っている間に、どこに連れていかれるか分かったもんじゃないからさ。」
「、、、何さ、バカにして。」
アマリリスは口を尖らせた。
アマロックが優しく微笑んだ。
「バカにしてないよ。
今日はよく頑張ったね。」
文字通り胸がきゅんと鳴った。
ヤバい。これはヤバい。
「。。。あの
知り合いなの?」
「いいや、初対面だ。」
「ホントにぃ?」
「だから、嘘ついてどうするんだよ。
今度会ったら聞いてみな、ラフレシア語で。」
とりとめもない話を続けるうちに、たまらなく香ばしい匂いが漂い始めた。
なんの味付けもない、煤だらけのシギの肉は、これまでに口にしたどんなごちそうよりもおいしかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます