ベクトル
私には価値なんてないと思わせるのも、私には価値があると思わせるのも、あの人だった。
あの人は自分の我が儘を「夢」と言って憚りなく、他人をも惹きつけ巻き込んで、成し遂げていく。それができない私はなんてちっぽけなんだろうかと虚しくなる。
私は昔から目の前の書物に夢中で、自分で何かを成すことはなかった。けれどあの人に力を貸すことは私の知識に目的と価値を見出させた。
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