シュウさんとずんだ餅さん
「シュウさんが持っている情報……ですか」
『そうだ。もちろん、会社内で共有されているものもあるが、それ以外の情報もある』
「それは、一体どこから……」
ずんだ餅さんの言葉に、シュウさんが怪訝そうな声を出す。
『……他に誰かいるのか』
「あ、ずんだ餅さんです。もしかしたら、シュウさんも会ったことがあるかもしれません」
「初めまして、ずんだ餅と言います。あくまで、ゲーム名ですが」
ずんだ餅さんが、私の視界にずずいっと入ってくる。
『……こちらと、その、ずんだ餅さんが出会ったことがあるかもしれないというのは……』
「僕も、あなたと同じ会社の社員なんでね」
ずんだ餅さんが腰に手を当てる。
『……!! それは、助かる』
シュウさんの言葉に、ずんだ餅さんが顔をしかめる。
「一体どういうことです?」
『そのままの意味だ。この、サランさんを守ってもらうにあたり、社員がいてくれた方が助かる、ということだ。大変申し訳ないが、サランさんと行動を共にしてほしい』
「本名を聞こうとか、本当に社員なのか、とか聞かないんですか」
『……本来ならそうする。だが、そちらの姿は、見たことがあるような気がするからな』
「ずんだ餅さんは、スカウターだそうですよ、シュウさん」
『ああそれなら。……スカウターだけが見られる、スカウター名簿がある。顔写真つきでな。それで確認しよう』
「いや、確認しなくていいですけど……」
『やましいことがないんだろ? じゃあ、問題ない』
シュウさんが向こうで軽く笑っている。
「ええ、ありませんよ。どうぞ、調べたいだけ調べてくださいよっ」
ずんだ餅さんが悪態をつく。
『……まぁ、そちらの素性に関しては今は、いい。とにかく、そちらが本当に社員なら、彼女を手助けしてほしい』
「言われなくてもそのつもりですよ。サランさんから直接、お願いされましたからねっ」
なぜ社員さんかどうかが重要なのかどうかは、ずんだ餅さんには大事じゃないのかな……。
私はそう思いながら、二人の会話を聞いていた。
『こちらが持っている情報に関してだが。……まず、この件に関しては少なからず、ムトウが関わっているとみて間違いなさそうなんだ』
「ムトウ……。人事部に乗り込んできたあの男の人ですね」
ずんだ餅さんが腕組みする。
『……ムトウについて、サランさんから話を聞いたんだな』
「ええ。ある程度は。そしてこちらが知っていることもサランさんに話しています」
『……なるほど』
「後ほど、ずんだ餅さんが教えてくれた情報を文面で送りますね」
私の言葉に、シュウさんは答える。
『頼む。それで、ムトウに関してだが。……前に彼が、ゲームに彼だけが知っているシステムなどを組み込んでいる可能性があるという話をしたのを覚えているだろうか。そのシステムの一つが、今、発見されたんだ』
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