チラシ作りの助けに。
フジヤさんに向かって、私は言った。
「もしよかったら、チラシ作りの助けになるようなアイテムを作成させてもらってもよろしいでしょうか」
私の言葉に、フジヤさんは、はたまた不思議そうな顔をした。
「もちろん。むしろ願ったりかなったりだよ」
どうしてそんなことをわざわざ聞くのといわんばかりの表情でフジヤさんは聞き返してくる。
何か人の助けになるようなことをしようと思っても、確認する癖がついた。これは社会人になって、会社で働き始めてから身に着いたことだ。相手のためになると思ってやったことでも、確認もせずに勝手にやると、怒られることもあったから。
さて、フジヤさんの了承もとれたことだし、アイテムを作ろうか。本日もまた、3つアイテムを作成できる。とりあえず、1つはフジヤさんのアイテム作りに使うことになりそうだね。
そうと決まれば。どんなアイテムにしよう。私は考える。イラストを描くのが得意で趣味でもあるフジヤさんの役に立つアイテム。今回はチラシ作りのために使ってもらうけれど、チラシ作りという目的が終わっても使い続けてもらえるようなアイテム。
まずは、絵描きさんにとって重要なのは絵を描くための画材だよね。画材は人によって使うものが違うから確認しながらにはなると思うけど、現実世界なら、タブレットなどのデジタルイラストをメインにする方もいれば、アナログで、紙にイラストを描いて、色鉛筆や専用のマーカーなどで色塗りをする人たちもいる。フジヤさんはどんな形でイラストを描くんだろう。
「フジヤさんは普段、どうやってイラストを描くんですか」
「私は、現実世界ではデジタルイラストをメインで描いてる。だけど、アナログでイラストを描くのも好きだよ」
フジヤさんが店のアイテムを手に取りながら答える。私は、続けて尋ねる。
「チラシもデジタルイラストで描きたいと思いますか」
私の問いに、フジヤさんは首を横に振る。
「そもそもデジタルイラストを描いても、こっちに持ってくる手段がないし、ここの世界観ならデジタルイラストよりもアナログイラストの方がいいと思う」
彼女の言葉に、私は少し安心する。まぁ、デジタルイラストが描きたいようなら、それこそ、タブレットをこっちの世界観に合わせたアイテムにすればいいだけの話なんだけど。タブレットそのものはないにしても、石板とか黒板とかならこの世界にもあると思うから、そこからスキルで作ろうと思ったら作れそうだからね。
石板かぁ。そういえば、小学生の時に版画を作ったな。あれって、板の上に作品を作り上げて、凹凸をつけて、インクをその上にのっけた後、紙を上にのせれば、いくらでも作品の量産ができたはずだよね。これ、チラシの作成に応用できないかな。
よし、じゃあこのアイデアをスキルでアイテム化してみよう。
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