第128話 魔術競技大会②

 Cクラスの代表であるミアは、Bクラスの代表と対峙していた。

秋の涼しげを感じられる風が2人を包んだ。


「始め!!」


 審判の合図により、試合が開始される。

2人は中央付近まで寄ると、魔法の展開に入る。


『ライトニングスピア』


 光の矢がミアに向かって放たれた。


『物理結界』


 それを、ミアは自分の正面に展開した物理結界で跳ね飛ばした。

樹やアリアに比べたら、その防御性能はまだ低いが、学生のうちに結界まで使えるようになるとは思っていなかった。


「結界!? 嘘でしょ!?」


 Bクラスの代表は驚いた表情を浮かべていた。


『ファイアートルネード!!』


 ミアは、すかさずに炎の渦を展開していた。

反応が遅れたBクラスの代表は、ミアの攻撃をまともに喰らっていた。


「かはっ!」


 その衝撃により、10メートルほど吹き飛ばされていた。

そして、再び立ち上がることは無く、意識を刈り取られていた。


「そこまで。勝者Cクラス」


 審判の声でその試合は終了となった。

見事、ミアが勝利を収めた訳だ。


「やりましたねミアさん」

「ああ、まさか結界を使えるようになってたとはな……」


 結界は高度な魔法な為、小規模でも展開にはそれなりの努力と技術が必要になる。

それを使えるのは、素直にミアの努力と言えるだろう。


 その後もトーナメント形式の試合は続いていく。

決勝戦には、何とミアの姿もあった。

やはり、ミアには魔法の素質があるのだろう。


 決勝戦も、結界と攻撃魔法の組み合わせによって、ミアが勝利を収めた。

魔法により映し出された映像には優勝Cクラスと表示されていた。

まさに快挙である。


「優勝されたCクラスの代表、ミアさんには学院長から直々にトロフィーの授与があります」


 そう、アナウンスが流れた。


「学院長、出番です」

「はいよ」


 事務長のエドモンに呼ばれたので、樹はアリーナの中に設置された表彰台へと向かう。


「それでは、表彰です。学院長お願いします」


 アナウンスがながれ、樹が優勝クラスの代表のミアの前に立つ。


「優勝おめでとう!」


 そう言って、トロフィーをミアに手渡した。

トロフィーには『第1回魔術競技大会優勝』と書かれていた。


「ありがとうございます」


 ミアはトロフィーを受け取ると、自分の上に掲げた。

その笑顔はとても美しいものであった。


 表彰式も終わり、大会はそのまま閉会となった。


「お疲れ様です。楽しかったですね」


 アリアが話しかけてくれる。


「ああ、人の魔法を見るのも中々面白いもんだよね」


 樹とアリアは、ミアが出てくるのを待ちながら話していた。


「お待たせしちゃいましたか?」


 着替えたミアがアリーナから出てきた。


「いや、大丈夫だよ。それより、改めて優勝おめでとう」

「おめでとうございます」


 樹とアリアは、ミアの優勝を祝った。



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