第118話 組織の制圧許可

 空が夕焼けに染まる頃、樹とアリアは屋敷に向かって歩いていた。


「明日、組織の制圧に行こう。早い方がいいだろう」

「そうですね。異論はありません」


 樹たちの中では制圧のプランは決まっていた。


「ちょっと、先に帰っててくれるか? 俺は王宮に寄ってから帰るから」

「分かりました。お気をつけて」


 王都の繁華街を少し外れた所で樹はアリアと別れた。

その足で、歩いて5分とかからない場所に位置する王宮へと向かう。


「陛下と会えるか?」


 樹は騎士に尋ねた。


「あ、樹さん、ご苦労様です! すぐ確認します」


 騎士は奥へと行き、何やら手続きをしている。

数分で騎士は戻ってきた。


「お待たせしました。すぐにお会いになるそうです」

「ありがとう」


 樹は王宮のメイドに応接間へと通された。


「待たせたな」


 そこで10分ほど待つと陛下が入ってきた。


「いえ、こちらこそ急にすみません」

「いや、構わない。気にするな」

「ありがとうございます。それで、先日の依頼の件ですが」


 樹は早速、本題を切り出した。


「おう、何か掴めたかね?」

「はい。例の組織から少女たちを買っている風俗店舗をギルドから教えてもらいました」

「ほう、それで?」

「ほとんどが営業停止処分になっていましたが、何店舗から営業している店舗がありましたので、アリアと一緒に乗り込みました」


 陛下は顎に手を置き、樹の報告を聞いていた。


「その店舗のオーナーから組織の情報を聞き出しました。これがその詳細です」


 オーナーから貰った紙を、机の上に置いた。


「この短時間でここまで辿り着くとは、流石だな。王室としては面子もあるから、あまり手荒な真似は出来ないのだよ」

「誰も、脅して手に入れたとは言って無いじゃないですか」

「お前さんの事だから、多少の手荒な真似はしたのだろう?」


 陛下は疑うような目を樹に向けて来た。


「まぁ、否定はしませんが」

「やっぱりな」


 陛下は今更、樹が何をしても驚かないといった感じである。


「それで、制圧の許可を頂けないでしょうか?」

「うむ、これだけ証拠があるなら問題無いだろう。制圧を許可する」

「手荒な真似は?」

「必要に応じて、武力の行使も認める」

「承知しました。ありがとうございます。では、私はこれで」


 そう言って、樹は席を立った。


「ああ、お疲れさん。よろしく頼むぞ」

「はい」


 樹は王宮を後にすると自分の屋敷へと歩いた。


「ただいまー」


 樹は屋敷の玄関を開いた。


「おかえりなさいませ」


 セザールとアリアが出迎えてくれた。


「あ、アリアちょっと来てくれ」


 リビングにアリアを呼ぶと対面に座らせた。


「組織の制圧許可がでた。明日、許可状を受け取ったらその足で行こうと思う。いいか?」

「承知しました。異論はありません」

「ありがとう。今日もちゃんと休んでくれ」

「はい」


 こうして、樹たちは制圧の日程を決めた。

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