第111話 樹たちの慰安旅行③

 樹たちは温泉を30分ほど楽しんでいた。

隣の女湯では何やら黄色い声が飛び交っていた。


 ちなみに、ナナとアルマ、クリストフ夫妻は部屋でゆっくりすると言っていた。


「シルフィルさんもお湯に入って大丈夫なんですか?」


 シャルが言った。


「大丈夫だ。マスターのマナ供給は途切れていないからな」

「流石は樹さまですね。常時マナを流し続けるなんて、どれだけのマナを保有してるんだか」

「きっと、私たちには想像も出来ないほど保有してるのよ。あの方は色々ぶっ飛んでるから」


 アリアは半ば呆れたように言った。


「やっぱりアリアさんでもそう思います?」

「ええ、シルフィルさんのこの姿を維持するためのマナを常時流すなんて、私でも無理だわ」

「てか、あいつは何であんなに強いわけ?」


 ミアが不貞腐れたように言った。


「過去に修行をしたとしか聞いてませんけど」

「私もです」

「まあ、私が契約するほどだからな。きっと凄い修行をしたんだろうな」


 まさか、神の加護を受けたチートだとはだれも思わなかった。


「それより、アリアさん肌綺麗ですよね。あんなに戦闘の前線に立っているのに、傷一つないなんて」

「そう? でも、樹さまのおかげかな。ちょっとでも怪我をすると回復魔法をかけてくれるから」

「やっぱりすごいんですね。樹さまの回復魔法」


 シャルがアリアの腕を触りながら言った。


「そんなこと言って、シャルちゃんもちょっと大きくなったんじゃない?」


 アリアがシャルの胸を見て言った。


「そ、そうですか?」

「ちょっと触らせてよ!!」

「や、やめてくださいよーー!!」

「ほらほらー」


 アリアがシャルの胸を触っていた。


「ミアも意外と大きいんだな」


 シルフィルが言った。


「そ、そんなこと。シルフィルさんの方が大きいし形も綺麗じゃないですか」

「そうか? まあ、この姿は嫌いじゃないがね」



「何やら向こうは騒がしいですね」


 温泉に浸かっていたディルクが言った。


「女の子が集まればあんなもんだろ。さて、俺はそろそろ上がるわ」

「では、私たちも」

「別に俺に合わせなくてもいいんだぞ」

「いえ、これ以上浸かっていたら湯あたりしそうなので」


 樹たちは温泉を出て脱衣所へ向かう。

体をタオルで拭き、ある程度髪を乾かす。


「ふぅ、温泉の後はこれだよなぁ」


 樹は浴衣へ着替えた後、コーヒー牛乳を飲んでいた。


「セザールたちも飲むか? ほれ」

 

 セザールとディルクにもコーヒー牛乳の瓶を渡した。


「ありがとうございます」

「頂きます」


 飲み終わると荷物を持って部屋に戻る。


「まだシルフィルは戻ってないな」


 樹はベッドに横になった。

温泉から上がると妙に眠くなるもんだ。

樹は夕食の時間までひと眠りすることにした。


「マスター、いつまで寝てんだー!」


 そのシルフィルの声で樹は目を覚ました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る