第9話 部屋割り

(1)


目覚まし時計の音が鳴る。

取りあえず止める。

暫くぼーっとしてる。

朝が弱いのはパパに似たらしい。

愛莉も昔はパパを起こすのに苦労したそうだ。

暫くすると意識がはっきりしてくる。

そして二段ベッドの下段を見る。

天音はいない。

またか!

私は急いで着替えて空の部屋に行く。


「天音!いい加減にしなさい」


空に夜這いをかける天音を叱る。


「だから、翼が先に起きればいいだろ!?」

「そう言う問題じゃない!」


今日は、祝日。

5連休の真っただ中。

パパ達も休みを取ったらしい。

水奈の家族とお泊りで遊びに行くことになっていた。

ちなみに宿題は土日で全部終わらせた。

空はてこずっていたみたいだけど。

私と天音が口論している間に空は着替える。

もう姉妹に着替えを見られることに抵抗は感じなくなったようだ。

だけど彼女の私としては私以外の女子に見られたくない。

私と空は双子の姉弟。

だけど特別な感情を持ってしまった。

その気持ちに嘘偽りがないことは「共鳴」して互いに理解している。

共鳴。

お互いの能力を共有しお互いの感情を把握する能力。

共鳴という力がこの感情をもたらしたのなら、何が私達に共鳴という能力をもたらしたのだろう?

それが運命なのだと空は結論付けたらしい。

空は私の想いを受け入れてくれた。

嬉しかった。

ライバルに天音、美希がいた。

そのうち天音は別の男子に恋をした。

にもかかわらず毎朝天音は空にくっついてる。

空も為すがままにされるんじゃなくて少しは抵抗して欲しい。

片桐家の男は女性に頭が上がらない。

パパが言ってた。

空が着替え終わると私達はダイニングに行く。

食事の時間は休戦状態。太陽が夜に遊びに訪れる日。

ご飯を食べ終えると私と天音は準備をする。

空は父さんとテレビを見ている。

空の考えていることは常時わかる。

あれから空は私に心を開いたままにしているから。

私が空にしているように。

だから空に声をかけた。


「空、今日出かける事覚えてる?」


空は「あ!」と言って慌てて支度をする。

どうやら泊まる準備すらしてなかったらしい。

仕方ないから手伝ってあげる。

愛莉もこうやってパパの世話をしてたんだろう。

そうしていると呼び鈴が鳴る。

水奈たちだ。

母さんが玄関に行く。

多田家は3人。

水奈の両親と水奈だけ。

水奈の父さんはカッコいい。

しかもJリーグのトップクラスの選手だ。

水奈の父さんが地元チームに入籍して以来ずっとJ1に残留しているらしい。

そんな水奈の父さんが一目置く存在だったのがパパだった。

どうしてサッカーをやらなかったのか?

でもパパは軽いノリでただ「バスケがしたいです」と言いたいだけでバスケをやったら五輪で金メダルを取った。

その金メダルは空の部屋に飾られている。


「空。準備出来ましたか?」

「ちょっと待って!」


愛莉に答えながら一生懸命に荷物を詰め込む空。


「そんなにタオル要らないよ?」

「だって温泉いくんだろ?」

「温泉でタオル貸してくれるから」


空が無造作に詰め込んでパンパンに膨れ上がったバッグから着替えを取り出し、丁寧にたたんで入れてやる。


「空も整理整頓くらいできるようにしないと」


手のかかる「彼氏」だ。

空の準備が終ると私達は遊園地に向かう。

高速に入ると多田家の外車は思いっきりスピード出す。


「パパも追いかけてよ!」


天音が言う。

パパは困っている。


「パパ!ビビってないでスピード出せって!」

「天音、冬夜さんの運転の邪魔をするんじゃありません!」


愛莉が注意する。

私と空は外の景色を見ていた。

心で対話をしながら。

遊園地に着くと、愛莉たちがチケットを配る。


「冬夜、相変わらず遅いな!」

「誠はいい加減水奈を乗せてる時くらい自重しろ!」


この二人はいつもこうらしい。


「じゃあ14時半くらいまで自由行動にするか?」


水奈の父さんがそういうとすぐに天音と水奈は遊びに行った。

天音なりに気を使ったのだろう?

私達を二人にするために。

私も空と一緒にアトラクションで楽しんだ。

パパ達は飲食店でのんびり過ごしていたらしい。

お小遣いも大目に持たせてもらえてた。

大体が飲食代に消えるのだけど。

私と空は最後に観覧車に乗った。

私の希望だった。

のんびり二人で過ごす時間。


「翼はどう思ってる?」


空が聞いてきた?


「どう思ってるって何が?」

「天音が男子を好きになった事」

「別にいいんじゃない?あの年頃だとおかしくないでしょ?だいたいまだどっちって決めたわけじゃないみたい」

「それは分かるんだけどさ、兄妹としてはなんか寂しいって言うかさ」


その時垣間見た空の本音。


「私もいつか他の人に恋に落ちる時がくるんじゃないか?」


私は否定した。


「私は既に同じ思いをしてる」

「え?」

「空が美希に告白を受けた時。私は凄く嫌だった。空を誰にもとられたくない。その一心だった」

「……そこまではわからなかった。なんかすごい怒ってるってのは分かったけど」


そうだと思ったから強硬手段にでたんだよ。


「今でも同じ事言える?例えば私に天音と同じように彼氏が出来たらどう思う?」

「そんなの嫌に決まってるだろ?……そういう事?」


私は微笑んで頷いた。


「なるほどね」


空は納得したようだ。

観覧車を下りると時間はもう集合時間だ。

ゲートに向かうとびしょぬれになっている天音と水奈がいた。

愛莉たちに怒られてる。

パパに事情を聞いて、呆れた。

水上の上を走って滑り落ちるするアトラクションがある。

アトラクションには普通に屋根付きのに乗ったらしい。

問題はその後だ。

橋の上からアトラクションを見れるようになってる。

橋には水しぶきがかからないように屋根が設置されてる区間がある。

そこで天音たちは考えた。

チキンレースだ。

屋根の外にいて、先に屋根のあるエリアに逃げた方の負け。

そして二人とも意地を張った。

結果両方とも水しぶきをまともに浴びてびしょぬれになった。

このままだと絶対怒られると思った2人はジェットコースターや自由落下のアトラクションに乗って乾燥を試みたが無駄だったらしい。

で、2人そろって怒られてる。

怒っていても仕方ないので、パパが車で着替えるように指示をした。

パパの車は広いミニバン。

そして、スモークを貼っている。

2人だけ車に乗って着替えた。

そして降りてくる。

着替えたのを確認するとリゾートホテルに向かった。


「冬夜、ダウンヒルやらね?」


水奈の父さんが勝負を持ち掛けた。


「車の性能的にうちの車はやばい」


パパはそう言って断った。


「お前ももっといい車買えばいいだろ?」

「家族を全員載せようと思ったらこれが限界なんだよ」

「しょうがねえなあ。今度別に走れる車準備しとけ」

「この馬鹿はまだ懲りてないのか!?」


水奈の母さんが父さんを小突く。


「お前瑛大の車と高速で勝負して覆面に捕まりそうになったの忘れたのか!?お前の職業はなんだ!?家族を路頭に迷わす気が!?」


Jリーグの有名選手が高速で切符を切られたり事故を起こしたらただじゃ済まない。

水奈の母さんの言う事が正論だ。

ちなみにパパは車の運転は滅茶苦茶うまいらしい。

飛ばすときは飛ばす。

だけど私や空、天音の安全を考えて押さえてるんだそうだ。

愛莉から聞いてた。

パパの運転の上手さは普通に乗っていても分かる。

車に詳しくない子供の私でも分かる。

急ブレーキや急な加速はほとんどない。

揺れも少ない。

こうして山道を走っていても分かる。

偶に愛莉や水奈の母さんの車に乗っていると失礼だけどやっぱり違う。

何が違うってやっぱり本を読んでいると母さんたちの運転だと車酔いする。

パパはそれが無い。

現に空は今携帯ゲームで平然と遊んでいる。

空は何でも夢中になると世界に入り込む。

心の中もそれだけになる。

だから空の頭を小突く。

少しは彼女の相手もしてよ。

そんな私達を見て笑いながら天音はスマホに夢中になってる。

そうしてリゾートホテルに着いた。

駐車場からホテルまではシャトルバスで移動する。

ホテルで母さんたちから部屋割りを聞いた。

水奈の両親、愛莉とパパ、私と天音、水奈と空。

私は待ったをかける。


「水奈と空が一緒なのはおかしい!」


私はそう主張した。


「ぼ、僕もそう思うんだけど愛莉」

「だって二人共1人部屋ってわけにもいかないですよ?今さら部屋取れないし」


愛莉はそう言う。頑張れパパ!


「仲良いみたいだし天音と水奈ちゃんでいいんじゃないか?」


パパがまともな案を言った。


「だめよ、冬夜さん。忘れたの?まだ翼と空は小学校5年生。そういうのは早すぎます」


愛莉の主張は色々突っ込みどころある。


「愛莉さん、うちの娘だってもう小学校4年生だ。空君だって男の子だ。何かあってからじゃ遅い」

「空に限ってそれは無いから大丈夫。冬夜さんそっくりだから」

「じゃあ、なんで翼は駄目なんだ?」


水奈の母さんが聞いた。


「翼が積極的だから。翼は空の恋人だから」


普通に暴露した愛莉。


「しかし血の繋がってる姉弟と赤の他人の水奈を比較されても……」

「まあ、そうだな。空なら大丈夫かもな……」


パパが根負けした瞬間だった。

しかし話は終わらない。


「待て冬夜!水奈が傷物にされたらどうするつもりだ!」


水奈の父さんが言う。


「空に限ってそれは無いから」

「それはどういう意味だ!?水奈に魅力がないって言いたいのか!?それは俺も父親として黙ってないぞ!水奈は神奈に似て胸はないけどスタイルは十分……いてぇ!」

「お前は黙ってろ、ド変態!」


水奈の父さんが母さんにどつかれる。


「いいんじゃね?別に部屋くらい。水奈だって見られて困るってことはないだろ?」


天音が言う。


「まあ、この変態に見られるよりはましだな」


水奈が言う。

私とパパの主張は却下された。

水奈の両親もうちの両親も敵に思えた。

空に何かあったらどうしよう?

そんな事を考えると気が重い。


「翼、考えすぎだって!」


浴衣に着替えながら天音は言う。


「天音には私の気持ちは分からない」

「ちゃんと翼の事も考えてるよ。要はあの二人を二人っきりにさせなきゃいいんだろ?ちゃんと考えてるよ」


天音には秘策がるらしい。


「空の事は守る。その約束だけは守ってやるから」


天音はそう言って私の肩を叩く。

どうするつもりなんだろう?


(2)


水奈と同じ部屋になった。

どうかしてるぞ親達。

普通分けるだろ!

しかもご丁寧にダブルベッドだし。

そういえば母さんたちも中学生で同室にさせられたって言ってたっけ?

僕と水奈にどうかして欲しいのだろうか?

でも僕には翼がいる。


「空も早く着替えろよ。温泉先に行くんだろ?」


振り返ると半裸の水奈がいた。

女子の裸を見たのは翼と天音を除くと初めてだ。

慌てて目をそらした。


「気にする事ねーって……母さんに似て私も胸小さいままらしいしな」


水奈は落ち込んでる。


「それより空も早く着替えろよ」


水奈が言う。

僕も着替える。


「運動してないわりにはいい体つきしてるんだな」


それが水奈の僕に対する感想。

浴衣に着替えると父さん達と集合する。

そしてボーリングに行く。

球技は苦手なんだけどな。


「心配することないよ。空」


翼がそう言って笑う。

それがあった。

翼と「共鳴」するとレーンに浮かんでくる月の導き。

それをなぞる様に投げるとストライクになる。

ボーリングは僕と父さんと翼の独壇場だった。

2ゲーム連続で300点とか出したら誰もがしらける。

母さんは褒めてくれたけど。

ボーリングを終えると風呂に入る。


「水奈の体はどうだった?」


そういうことを平気で聞いてくる水奈の父さん。

それが水奈が自分を嫌悪してる原因だとなぜ気づかないのだろう。

ここで「いい体つきしてました」とか言える猛者がいるなら見てみたい。


「よく見てないので分かりません」


当たり障りのない答えを返した。


「お前それでも男か!?そういうところは冬夜にそっくりだな!」


理不尽なお叱りを受ける。


「まだ小学生なんだしょうがないだろ?」


父さんが庇ってくれた。


「水奈は神奈に似て美人なんだ。変な気起こすなよ」


そんな気起こしたら翼が黙ってないよ。

風呂を出るとレストランに向かう。

バイキング形式のレストラン。

僕と翼と天音と水奈が一緒の席だった。

席に案内されると一気に飛び出す僕達。

料理を取って来て食べてまた取りに行っての繰り返し。

一切の会話を許さないこの時間。

父さん達のテーブルは父さんだけがそれをして他の3人はゆっくり飲んでいた。

時間ぎりぎりまで繰り返して満足すると部屋に戻る。

そして今夜は水奈と二人っきりだという現実に戻される。

どうする?

取りあえずテレビをつけて見る。

当たり前だけど普通のテレビ番組。

水奈が隣に座ってみている。

水奈は緊張しているようだ。

何かしてくるつもりだろうか?

その時水奈の手が僕の手に重なった。

思わず水奈を見ると水奈も僕を見ている。


「ど、どうしたの?」

「い、いや。こういう雰囲気に慣れてなくて」


そうだよね。


「僕やっぱり床で寝るよ。毛布だけあればいいから」

「それじゃぐっすり眠れないだろ?それともやっぱり私のような子供と寝るのは嫌か?」

「……水奈だって好きな人くらいいるんじゃないか?」


そういや、聞いたこと無かったな。

水奈の好きな人。

やっぱり天音達の様に恋をしているのだろうか?


「空が好き」


へ?


「……って言ったら何かしてくれるのか?」


冗談だよね?

しかし水奈の目は本気のような気がした。

手は相変わらず重なったまま僕をじっと見ている。


「私は初めての相手が空でも構わない」


なんで僕がこんなにモテるんだろう?

そんな事を考えていた。

こんなの翼に見られたら怒られるな。

でも水奈の父さんが言っていたな。


「据え膳食わぬは男の恥」


雰囲気に流されて水奈の唇と僕の唇が触れようとした瞬間、突然ドアを叩く音が聞こえた。

誰だろう?

立ち上がろうとすると、水奈は僕の袖を掴んで首を振る。

しかしドアを叩く音が徐々に大きくなる。

すると水奈が立ち上がるとドアを開ける。

立っていたのは翼と天音だった。


(3)


どうしてこんな事をしたのか分からない。

部屋に空と2人っきり。

緊張していたけど徐々に慣れると自然と空を求めていた。

翼はどんな気持ちであの時キスをしたんだろう?

初めてのキスってどんな味がするんだろう?

ただの興味だと思っていた。

しかし胸の鼓動は高まる一方。

初めてだけど空ならいいか……。

そんな気持ちで、あと一歩……。

ごめん、翼。

その時ドアを叩く音が聞こえた。

今はそれどころじゃない、空との時間が大切なんだ。

しかし音は鳴りやまない。

折角のムードが台無しだ!

一時中断してドアを開ける

あのド変態か!?

違っていた。

天音と翼が立っていた。


「せっかくお泊りなんだし朝まで一緒に遊ぼうぜ!」


天音が言う。

天音たちの魂胆は見えきっている。

私と空の妨害だ。

しかし断れば私達の友情も消えてしまう。

そうなれば私と空を結ぶものも消えてなくなってしまう。

仕方ないから二人を部屋に入れた。

翼は空を見ると空に近づいて頭を小突いていた。

そういやこの二人心が繋がっているんだっけ?

天音と翼は本気で朝まで居座るようだ。

テレビを見ながらバカ騒ぎをしてた。

もうあんなムードは作れそうにない。

諦めた。

そして天音たちと騒いでいた。

最初に寝たのは空だった。

女子が3人もいるのに平然と寝てしまう空の態度が許せなかった。

3人で空について話し合う。

天音から聞く。


「翼と出来てるみたいだから諦めろ」


諦めろと言われても私自身空の事をどう思っているのか、気持ちの整理がつかない。

こんな話を続けても不毛だ。

話題を変えてみた。


「天音は大地と粋どっち選ぶか決めたのか?」


それは翼も興味があったようだ。

すると憮然として天音は言った。


「それがさ、あの二人メッセージくらいよこすかと思ったけどそれすらないんだぜ!あの告白は冗談だったとか言い出すんじゃないだろうな!」


どうして男子ってあと一歩の押しが足りないんだろう?


「天音が友達でいたいって言ったから、2人とも踏み出せないんでない?」


翼が言うと天音も悩み始めたようだ。


「パパ達に聞いてみよう。明後日連休最後の日にしかけてみたらどう?」


翼はそう言うと、スマホを弄っている。

そして眠気で頭が重くなるまで、いつの間にか眠りにつくまで起きていた。


(4)


「翼」


空の声がする。

そう言えば朝まで起きてようって言って途中で寝たんだっけ?

空を見る。

思わず顔を背ける。

空が嫌いになったんじゃない。

生まれて初めて感じたこと。

寝起きの顔を見られることの恥ずかしさがこみあげてきていた。

そんな私を見て空は笑う。

そして私の肩を掴む。

空との3度目のキスでようやく空からしてきてくれた。


「昨夜のお詫び、どうしたらいいかわかんなくて。心配しないで、水奈とは何も無かったから」


空、いつの間にそんな浮いたセリフが言えるようになったんだ。

私は空に抱きついていた。


「あんまり派手に動くと二人が起きちゃうよ」


空は笑っていた。

しかしそんな気遣いはいらなかった。


ドンドン!


「天音と翼もいるんだろ!いい加減に起きなさい!!」


水奈の父さんの声だ。

天音と水奈が目を覚ます。

私はドアを開ける。


「空!冬夜に似て草食系かと思ったら小学生で4Pとかふざけんな……いてぇ!」

「お前の頭はそれしかないのか馬鹿が!」


水奈の父さんが母さんに叱られてる。

私の両親は私達を見て言った。


「楽しかったか?」

「いい加減に準備しないと朝食の時間間に合わなくなってしまいますよ?」


私達は急いでレストランに向かった。

ご飯を食べると着替えてチェックアウトまで時間があるので朝風呂に入る。

愛莉たちも一緒だったみたいだ。


「昨日は何かあった?」


愛莉が聞く。


「特に何も無かったよ」


正直に答えた。

天音が心配そうに私を見る。

でも私には余裕があった。

大切なのは好きな人を信じる事。

そんな話を聞いたことがある。

例え何があったとしても私がしっかりしていれば大丈夫なはず。

風呂を出るとチェックアウトを済ませる。

そして帰る。


「空は楽しかったか?」


パパが聞いてた。


「楽しかったよ」


空が答える。


「それはよかった」


パパが笑って言う。

私には聞いてくれないのだろうか?

それとも空=翼と定義されているのだろうか?

両親の考えていることなど分かるわけもなく。

海岸線の国道を通って私達は帰った。

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