ユージニア・ロンダー?
おいおいホームズ、「覆面の下宿人」の事件のことを忘れたのか?
サウス・ブリクストンのメリロウ夫人のところの下宿人さ。
アッバス・バルヴァの悲劇だよ。
これまで君は何人もの人を救いだしてきたが、あの騒動は最大級の成功とみなしてよいんじゃないかね。
え? ほとんどなにもしていない?
いいじゃないか、それでも。
【ネタばらしコラム】
注 この先、「覆面の下宿人」の内容に触れます。未読のかたはご注意ください。
この「覆面の下宿人」も後期の作品。
当コラムで後期の作品というワードが出てくると、たいがいポジティブな作品評価にはならない傾向があるのですが、本作もホームズの名推理炸裂とは違う味わいのもの。
覆面で顔を隠したロンダー夫人の過去の悲劇の聞き役がメインで、直接的には事件に関わらないのです。
ホームズシリーズは「知性と行動で弱い人間を過去から救う物語」だと感じています。
今回はホームズの知性が獲得した名声が、メリロウ夫人を介してロンダー夫人と我らが名探偵を結びつけ、結果としてホームズがロンダー夫人を救ったと解釈できるでしょう。
自ら死を選ぶことを考えていたロンダー夫人から過去の悲劇を聞き、生きるという未来を選択させたのですから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます