バルモラル公爵?
おいおいホームズ、「独身の貴族」事件のことを忘れたのか?
え? 「空き家の冒険」? あれはバルモラル卿だろ。
今、問題にしているのはロバート・セント・サイモン卿のお父上だよ。元外務大臣だったかな。
プランタジュネスト王家の直系だそうだ。もっとも、所有されていた絵画を売らねばならないほど、困窮していたようだがね。
【ネタばらしコラム】
注意 この先、「独身の貴族」(別題「花嫁失踪事件」)、「踊る人形」についての内容に言及します。
未読のかたはご注意ください。
いろいろと結婚について考えさせられる記述のある作品。この事件はワトソンが結婚する数週間前の出来事という設定なのです。事件の真相は単純で、結果的な重婚、それも政略結婚的なものから逃れるために失踪するというもの。結婚ではなく婚約という形ではありますが、「踊る人形」のエルシーも同じような境遇です。こちらは幼い頃に親が決めた婚約、しかも、相手の男はギャングということもあり、結末は「独身の貴族」よりも悲劇的なものになりますが。
死亡していた人が生きていたとわかり、結果的に重婚になるというテーマは作者のコナン・ドイルが好きだったというよりも、当時はわりとある話で、それだけに多くの人の共感を呼ぶものだったのではなかったのかな、と推理しています。はたして、真相はどうなのでしょうか。
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