第十話 夏の旅行はアブナイゼ
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只今現在、俺はビーチに居る。言っておくが俺だけで来たのではない。もちろん女の子も一緒だ!
俺たちは一先ず旅館に荷物を置いてくると、せっかく旅館から海が近いのだからと、水着に着替えてさっそく海に繰り出していた。
夏休みも残り一週間というこの日、中々日取りが決まらなかったものの、ようやく西城達と海に来られた!
どれほどこの日を待ちわびたか。辺りを見よ、青い海白い砂浜。そして快晴! 二泊三日のこの旅行、一日たりとも雨の予報は無く、台風も発生していない。
今回の俺は比較的ツイてる。この旅行でひと夏の思い出を作って、一気に女子たちとハートを近づけたいところ。俺の心はウキウキわくわく。やる気も相当なものだ。
しかしながら、これだけの好条件でなお比較的という表現を使わざるを得ないのは、招かれざる客の存在があるからだった。
今回の旅行の参加メンバーは男女四人ずつ合わせて八人。
女子四人は綺麗所が揃っている。それも全員巨乳!
まずはボタンを開けているでおなじみ、旅行企画者の女神、西城。
何故庶民の旅行に参加したのか意図が読めない、金持ちの城ケ崎まりあ。
ドスケベ委員長帆風。そして心中マニア川上だ。
というか、城ケ崎だけでなく帆風と川上も、それほど西城と親しそうには見えなかったのに、誘いを受けたのは少し謎だ。まあ、おかげで美少女に囲まれるわけだから結構なことだが。
お次は男子の紹介。俺、水島、中野、以上と言いたいところだが、最後の一人が曲者、二階貴文。俺と同じクラスだったらしいが、男のことはどうでもいいので今日まで存在を知らなかった男だ。
見た目は黒髪の短髪、スポーツをやっていなそうな貧相な体で、どこにでもいる様な男子高校生という感じだが、俺の妨害工作に屈しなかった唯一の男だ。注意した方が良いだろう。
妨害工作というのは、俺が旅行に参加する男を減らせば、美少女を独占出来るという考えのもと支払われた、賄賂のことだ。いつも暴力では芸が無いからな。
この妨害工作自体は効果を見せ、実際に男の参加人数を当初の八人から俺たち四人にまで減らした。どんなもんだい!
ところがその結果、目当ての男が参加を辞退したため自分も辞退するという女子がこれまた四人も現れ、結局工作はあまり意味をなさなかった。まさに策士策に溺れるというやつだ。
まあ要するに、二階は見た目は普通だが、俺の妨害工作に屈しないだけのメンタルを持っている男というわけだ。さらには奴は、それだけ美少女と旅行したがっているということでもある。
この旅行中、強力なライバルになるかもしれんので、奴から目が離せないと言いたいところだが、俺は巨乳美少女の水着姿から目が離せないのが実情。
まあ俺だったら、どんな状況になっても対応出来るでしょ。今のところはお楽しみ優先で行くとするか。
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