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俺は女子たちを一列に並べた。なお、おデブちゃんやあまり可愛くない子には帰っていただいた。彼女たちには俺からの自由のプレゼントだ。
どんな水着を着てもらうか、右の子から順に決めていく。
最初の子はいかにもザ普通。どのクラスにも絶対一人は居る、美人ではないけど不細工でもない。巨乳じゃないけど貧乳でもない。でも絶対こういう人は一人くらい身近にいるというリアル感と、自分でも手が届きそうな相手というのが、案外エロスを加速させる。
俺は判断を下した。
「よし、君にはポップな色で、フリルとかが付いてる可愛い系の水着で。露出はあまりなくても良し」
「「待て!」」
しかし、俺の名判断に水島と中野は異議を唱える。
こういう普通な子には、普通に可愛い水着が良いってことが、なんで分からないかなあ。
とりあえず、水島の意見から聞く。
「いやいや、ここはスクール水着だろう。確かにうちのスク水は新しいタイプで、下半身はズボンみたいな形だ。しかし、こう言う普通の子には学校指定の水着が合うんだよ」
「確かにそれも一理あるかもしれんが、そういう普通の女の子も普通におしゃれがしたいんだと感じされてくれる、可愛い水着の方が可愛さとエロさが増すだろ!」
「……確かに、一理ある」
そうかそうか、水島は納得してくれたか。
しかし、中野はここまで言っても納得してはくれなかった。
「いや、ここはどう考えてもマイクロビキニであろう」
「いや、合わないだろ」
「その意外性が良いのであろう。所謂ギャップというやつだ。クラスの普通の子が実は裏でエッチな格好をしているというのが、とてつもなくエッチなのではなかろうか?」
……うーん、確かにそれも一理ある気がする。どれも捨てがたい。
ここは全員の顔を立てることにするか。高度に柔軟性を持った英断を下す。
「では、君は可愛い水着、スク水、マイクロビキニをローテーションで着てくるように」
「そんなに水着持ってません!」
「あー、後で風紀委員に請求して良いから、言われた通りに買ってきなさい」
俺たちは一人目の水着を決めると、彼女を帰した。さて、次は二人目だ。
お次は黒髪ロングの清楚系。この夏、麦わら帽子と白いワンピースが良く似合いそうな可憐な花だ。
とにかく彼女に似合う色は白。肌も白いし、着る服はなんであろうが白が似合う、正統派日本美人だ。
「ということで、君は白ビキニだ」
清純派に似合う白、しかし清純派だけど今日はちょっぴり攻めてみましたってな感じのビキニのバランスがベスト。お堅くなり過ぎない感じが良いだろう。しかし、俺の名采配に、またしても水島と中野は異議を申し立てる。
「こういう清純派にはスク水しかありえない!」
「またかよ水島。だが今回は譲れないぞ。こういう子は、攻めの意思があるってのを表に出さなきゃいけない。スク水では野暮ったすぎる。真面目なだけじゃ可愛さに欠ける!」
「その通りだ永井、であるから我輩はマイクロビキニを推させてもらう」
「またかよ中野」
「こういう清純そうな子が、実は裏でエッチな水着を着ているというギャップが良いのではないか」
「さっきも聞いたよ!」
だが、そう何度も譲っていられない。毎回毎回譲っていては、全員ローテーションではないか。一日だけでなく、何日も俺はこの子の白ビキニが見たいの!
「だから君は白ビキニを着てきなさい。帰って良し」
俺は清純そうな子を帰した。
それに対して中野と水島は大層文句を言ったが、俺は全て無視した。
さて、次の子は日焼けしたギャル系の女の子。日焼けしているのに水泳の補習とは、日焼けの原因は運動によるものではないらしい。この子は結構な巨乳で、言葉遣いもチャラついた感じ、遊んでそうな印象を受ける。
こういう子は持ってる水着が最初から派手そうだから、本人に任せるのが一番良い気がするが……。
「俺はノーコメント、二人で好きに決めてくれ」
「言われなくても。俺はこの子にはスク水を着せるぜ」
水島がそう言うとは意外だった。
「お前、さっきまでイメージ通りで攻めてたじゃないか」
「いや、ここはギャップが定石」
と言いつつ、水島は目を逸らした。何となくこいつはスク水が好きなだけな気がしてきた。
俺は水島に呆れつつ、中野の意見を聞いた。
「そうだな、我輩は変わらずマイクロビキニ」
「ギャップはいいのか?」
中野も水島と同じく今までを覆してくる。
「こういう如何にも遊んでそうなエッチな子が、実際エッチな水着を着るというのはエッチ×エッチでエッチの二乗。簡単な数学の計算である。こんなエッチな手を逃すわけあるまい?」
こいつは水島と違ってマイクロビキニ好きというより、視覚的エロスと露出度を求めているだけだった。天才と言えどさすがは九歳児、次元が低かった。
「あー、じゃあ、この子はお前らで話し合って決めてくれ。次」
俺は面倒くさくなったので二人に丸投げした。
二人が激しい討論繰り広げる中、その隙をついて俺は好みの女の子の水着を次々決めていった。
合唱部所属の子は人魚をイメージして貝殻水着、陸上部の子には競泳水着、アメリカ出身金髪ハーフあの子には星条旗ビキニ、擦れた感じのあの子には黒ビキニ、大人しいあの子には溶ける水着――。
二人がギャル系の子にマイクロビキニを着せるという結論を出したときには、もう優子先生しか残っていなかった。
「あれ!? いつの間にか居なくなってる!?」
「お前らがあんまり遅いんで、こっちで決めちまった」
「君、なんということを!」
水島と中野が怒りに任せ俺に殴りかかろうと、拳を振り上げる。
「ま、待てよ、お前らに任せても、どうせスク水がマイクロビキニになるだけだ。そんな二種類しか居ないプールなんて面白くないし、なんなら不気味だ。俺に任せて良かったと思わせる自信はある。俺を信じてくれよ」
そう言って、俺は二人をなだめた。
水島と中野はお互いの顔を見合って俺をどうするか、意思確認をした。そして互いに頷き合った。
「分かった。ここは勘弁してやる。だが、明日俺たちが満足できなかったその時は――」
「ああ、煮るなり焼くなり好きにしろ」
まあ、その時は来ないがな。
さて、次は今回の目玉と言える優子先生の水着を決める。出来れば優子先生の水着を決めるまで二人には言い争っていて欲しかったが致し方ない。二人も交えて優子先生の水着を決定する。
優子先生は美人爆乳新任体育教師、体育教師という線で攻めるなら競泳水着が固いが、爆乳ならセクシー路線で攻めるのもアリ。
しかし、爆乳なら競泳水着で十分セクシーという考え方も出来る。また、新任に目を付け、やっぱり新任女教師ってからかいたくなるよね、ってな感じでエッチで恥ずかしい系の水着を着せる案もある。こいつは難しい案件だ。
「お前たちの考えを聞こうか?」
「相変わらず本人の意思は関係ないんだね……」
俺が水島と中野に意見を求めると、優子先生はぼやいた。しかし、それでも俺たちは話を進める。
まずは水島が答えた。
「やはりここはスク水が鉄板だな」
「お前もワンパターンだな」
俺はツッコんだ。しかし水島は怒ったりせず、寧ろ笑った。
「これを聞いてそう言っていられるか? 俺は教師だからこそ、あえて生徒と同じ格好をさせようってんだよ」
それを聞いて俺はハッとした。
強化人間の頭脳が、水島の言わんとすることを瞬時に理解する。
「確かにかなりグッとくる。ギャップ、そして時の流れを感じさせる、ノスタルジーが良い。優子先生の高校時代を否応なく想像させる。あのおっぱいは高校時代からあんなに大きかったのかとか、だとしたらクラスメイトの視線とか」
他には今ではサイズが合わなくなっていて――とか。
「へへ、お前も分かるか、この良さが」
「ああ、正直お前のスク水ワンパターンは馬鹿にしてたが、見直したぜ」
「あの……私、かなり恥ずかしいんだけど……」
優子先生そっちのけで、俺と水島は固い握手を交わした。
俺は水島の意見を聞いてそっちに一気に傾いた。もう中野の意見なんて聞かず、水島案で行って良いんじゃないか? どうせ中野はまたマイクロビキニだろ。
だが中野は俺が聞いてもいないのに勝手に語り始めた。
「我輩はマイクロビキニ――」
「知ってた」
「まあ待ちたまえ、よく考えるのだ。優子先生のマイクロビキニ姿、見てみたくないか?」
そう言われてみればそうだ。普通に優子先生のマイクロビキニ姿は見てみたい。こんな機会でもなければ、もう一生優子先生のマイクロビキニ姿は拝めないだろう。
それにマイクロビキニは、さっき俺が考えていた所謂エッチ系の恥ずかしい水着。新任爆乳教師という点にはフィットしている。教育者が教え子の前で、そんなエッチな水着着ても良いのかよ? うーん、そう考えるとやっぱりマイクロビキニか?
「いや、私マイクロビキニは着たくないかな……」
優子先生は恥ずかしそうな顔をした。
そういう顔を見ると逆に着せたくなってしまう。エロには恥じらいが不可欠だと俺は思うのだ。だが、それを言うならスク水だって恥ずかしがっていたではないか。
……うーん、仕方がない、ここは再び折衷案としてローテーションで行くか。つまらない結論だが、これが一番後悔せずに済む選択だと思う。
「じゃあ、先生にはスク水とマイクロビキニのローテでお願いします」
「はい……」
優子先生は恥ずかしそうに、うつ向きがちに答えた。
いやあ、明日からが本当に楽しみだ。二十人近くの美少女と美女が、皆俺の好みの水着を着て一堂に会す。こんなロマン溢れる行為が許されるなんて、俺はなんて幸せ者なんだ。
そして忘れちゃいけない本題、彼女作り。水着はあくまでお楽しみの一環だからな。
俺も気合入れて、新しい水着でも買っちまおうかねぇ。
補習期間はあと一週間。その間、口説いて口説いて口説きまくるぞぉ!
しかし、それから一週間晴れることは一度たりともなかった。当然その間、補習は中止になった。
迂闊だった。天気のことは作戦を考える段階で全く頭に無かった。
補習最終日、連続七日目の雨。俺は怒りのあまり中野に電話した。
「どうして転校操作マシンの一つも開発していないんだお前は!」
「それは横暴だ! 君こそ、天気のことくらい最初から考えておきたまえ! おかげでこちらはここ一週間ずっと悶々ムラムラしてしょうがないのだ! 早く我輩に水着美少女を見せてくれ!」
「こっちがそうして欲しいよ!」
俺は怒りに任せ通話を切ってスマホを投げ捨てた。
あーもう、どうしてこなるんだ!
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