Ally-17:珍妙なる★ARAI(あるいは、輝けホワイティカ/シーズンイン世界律)
「がば、『1Q85団』結成の儀と、今後の活動について皆の認識を擦り合わせようと思う……各自、改めて自己紹介を。まずは団長たる私からだね……」
席につくなり慌ただしく
「我が名、
と思ったらすぐにいつものに戻った。どう
改めまして、三ツ輪
とか思いつつ、ちょっとした疎外感を感じていた僕に、こ、こいつは書記のジローがばい、苗字は何てか発音しにくいじゃにじよぅ、ま、「ジロー」と呼ばっとりゃええがぃ、と、さらに僕のアピールタイムをも帳消しにしてくるけど。ていうか僕そんな肩書だったんだ……
何と言うかの蚊帳の外……ではあったものの、
じゃ、じゃあアライくんとジローくんね。私はシアンでいいよ……との言葉を天使から引き出すにあたり、もしやこの御大は、本当に天才なのかも知れないとの思いに埋め尽くされていく……
「ジローくん」……
「シアンさん」……いや、やっぱ神々し過ぎてそうは呼べないよ……ええと「三ツ輪さん(天使)」からそんな風に下の名前で呼ばれるだけで、心の奥底が何故か甘く締め付けられるようだよどうしよう……と、
じゃ、じゃごぼ、始めるっちょ、との御大のうきうき気味の仕切りにて、熱にうかされたような僕を置いて「作戦会議」とやらは始まったのだけれど。
「あ、あんのけったいな
まあ初期の書記メンバーたる僕にも全然その説明は為されてはいなかったんだけれどもね。でもそれを言ったところでまた僕が不条理に面罵される流れだろうから、頼んでないのに僕の分も取って来てくれていた澱み苦みのあるコーヒーコーラフロートと名付けるほかは無いその砂糖とカフェインに富んだ液体を黙ってストローですするにとどめておく。と、
ううん、ちゃんと目的があってそれに向かって努力している人って何か尊敬できる……とのアライくんを増長させるがために計算して放たれているのではないかと邪推してしまうほどの、天上の
案の定、持ち上げられて分かりやすいほどに上機嫌になったアライくんは、む、むはは、シアンのは、あん
その長い増長のくだりはいつも通り流して、本題に早く入ろうと思った僕が言葉を発しようとした、SETSUNA★だった。
も、もぅパンツの事は言わないでよぅ、私だって同じブランドのなんだから……との耳を疑う言葉がほんのり頬を染めた三ツ輪さんの口から恥じらいを持って放たれたことを、音速よりも
それだけじゃあ無かった。
なちょこッ!? シアンのんもあの今どき珍しかでか白パンちょ? とのアライくんの会心の食いつきに、ち違うよ白もあるけどデザインが全然違うし他の色だって持ってるもん今日は水色だし……との
天使の意外なる天然性を垣間見て、嗚呼この「日常」感が永遠に続けばいいのに……との思いに弛緩した顔筋と前頭葉のまま引きずられていく僕であったけれど、
パンツ引きずり過ぎだよね……との珍しく思考の方向性が噛み合った僕とアライくんの視線が、ちょうど運ばれてきた素っ気ない見た目のパンケーキの層のさらに上で絡み合う……と、
「我らが目指したるところはッ!! 『万国博覧会』、人呼んで『
唐突なギアチェンジはお手の物である御大から、このだだっ広い空間に残響をもたらすほどの大声がふいに出た。
しかして内容も唐突だよね……「万博」? 一体全体、どういうところを目指そうとしているのだろう……
アライくんは、今更言うのもなんだけど、珍妙である。(しかして、今回は神のやり取りを見せた……ッ!!)
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