第283話 クロノスのちょっと本気

「やーーーーっと、ここまで来たにゃ。ここまでは、通常のダンジョンであの扉の先が星の神殿になるんだにゃ。ちなみに、数は減るけどこの先の魔物や魔獣の方が強いから気を付けるんだにゃ!」


「いや、軽く言わないでくれよ。こちとら普通の人間ばっかりなんだから、下手したら死ぬだろうがよ」


「ん-、まああそこにいる扉を守る魔物を倒して扉の先に行けばしばらくは安全地帯の筈だから、そこでパーティーを分けた方が良いかもだにゃ」


「なるほど、それならまずはあの強そうな魔物をどうにかしないとだな」


 そこにいるのは、見たことが無い種類の悪魔だった。

 取り巻きも、さっきまで出て来た中の最上位種である。



 カースオブクイーン ランクSS 種族:悪魔女王

 HP:104440/104440 MP:6660/6660 SP:2800/2800 属性:幻・闇 耐性:炎・闇 弱点:聖

 STR(力):1000 MAG(魔):1350 VIT(耐):444 INT(知):1200 SPD(速):300

 スキル:恐慌 闇魔法 咆哮


 ファイヤーバロン(炎属性、魔将系最上位悪魔) ランクSS 種族:老竜

 HP:5000/5000 MP:600/600 SP:600/600 属性:炎 耐性:炎 弱点:氷

 STR(力):1200 MAG(魔):400 VIT(耐):200 INT(知):300 SPD(速):150

 スキル:炎魔法 炎ブレス


 アイスフィード(氷属性、魔将系最上位悪魔) ランクSS 種族:老竜

 HP:4200/4200 MP:800/800 SP:800/800 属性:氷 耐性:氷 弱点:無

 STR(力):800 MAG(魔):500 VIT(耐):300 INT(知):400 SPD(速):300

 スキル:氷魔法 氷の結界


 『覇王の神眼』で見てみると、結構すごいステータスだ。

 ここは、俺達が出ないとだな。


「うーん、この先はあんまり手出し出来ないし、たまには運動してやるにゃ」


「へ、お前がいくのか?」


「そうだにゃ。あのくらい強くないと、本気出せないからにゃ。ここでオイラの本気を見せてやるにゃ」


 どっかの戦闘民族みたいに、チカラみたいなのを解放するみたいに言うクロノス。

 そういうと、びゅんっと飛び出していった。


「『希望の箱パンドラボックス』オープン。やつらの魂を喰らえ、〈暴食グーラ〉!」


 悪魔達の中心に降り立つと、すぐにスキルを発動したようだ。

 真っ黒な何かがクロノスの手の平から飛び出し、そいつらを


 たった一瞬で、さっきまでいた大型の悪魔が数体消えている。

 灰になったとか、吹き飛ばしたとかではなく、完全にそののだ。

 カルマのスキルもヤバイと思っていたけど、クロノスの使うスキルはそんな次元じゃないぞ。

 あんなん使われたら、一瞬でこの世から消えてしまうぞ…。


 マジで敵じゃなくて良かったと思うと、また次の獲物に飛び掛かる。

 凄まじい勢いで、蹴りを放つと真ん中で佇んでいたカースオブクイーンが吹き飛ばされた。


 さらに追い打ちをかけるように飛び掛かるクロノス。

 さっきまでの彼とは全く違い、その目は獰猛に赤い光を放っていた。


「試させてもらうゾ?『希望の箱パンドラボックス』オープン。我に染まれ、〈色欲ルクスリア〉!」


 口調も別人のように変わり、背筋がぞっとする。

 クロノスが今度は紫色の光を放ち、カースオブクイーンの頭を掴んだ。


 カースオブクイーンが藻掻く様に暴れて逃れようとするが、振り払う事が出来ないようだ。


「主よ、あれは…」


「凄いな、どうみてもボス級を片手の力だけで抑え込んでいるぞ」


「悔しいですが、流石魔王という事なのでしょう。流石にあれは我にも出来ませぬ」


「いや出来たら出来たで怖いけどな…。でも、カルマですら出来ない事を平気でやってのける彼は、正真正銘の魔王って事だよな」


「はい、間違いありません。しかも、あのチカラは他のどの魔法にも属さないものです。あれを直接喰らってしまえば、我とて只では済まないでしょう」


「カルマにそこまで言わせるのか…。今のところ敵対する気はないみたいだけど、少し注意しておこうか」


「承知」


 あまりの光景にあのカルマが脅威を感じて、わざわざ俺に言いに来た。

 こんな事はあのアモン以来初めてだ。

 やはり、魔王というのは異質なんだな。


 しばらくすると、カースオブクイーンが倒れた。

 もう倒してしまったのかよと、毒づこうとしたら、もっと驚く光景が目に飛び込んだ。


 さっきまで苦しんでいたカースオブクイーンが、そこに低頭して傍に控えた。

 つまりは…。


「よーし、これでコイツはオイラの部下だにゃ。もう攻撃してこないから安心していいにゃ」


「はぁっ!?」


「何をビックリしているにゃ。お前だって、同じようなスキルを持っているじゃにゃいか」


「俺のはあくまで同等迄で、こういうボス級は仲間に出来ないぞ?」


「そうなのかにゃ?オイラからみたらコイツは格下だから、理屈で言えば一緒だにゃ!」


「「「そんなわけ、あるかーっ!」」」


 と、思わず俺だけじゃなく、カイトとセツナが同時にツッコミを入れ来た。

 いや、そう思うよね?


 魔王がボス級を仲間にするってさ…、あれ普通か?

 他の部下をスカウトしたようなもんか??


「ああ、主様が混乱されています。カルマどうしましょうか??」


 あたりの混乱は続くのだった。

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