第187話 VS溶岩窟の主
グオオオオオオオッ!と溶岩窟の主が吠えると、2体の"イブリート"が溶岩流の中から現れた。
炎のイブリート 種族:炎魔 ランク:A+ HP:2800
こいつらはボスの取り巻きだな。
下手したらあの溶岩流から何回でも出てきそうだ。
距離を取りながら相手の様子を伺っていたが、唐突に溶岩窟の主がグアアアーと口を大きく開けた。
ヤバい!
慌てて『
このスキルの見た目は、はるか昔から続いている有名なロボットアニメで登場する"ビーム・シールド"のようになっている。
魔力の出力を変えると、大きさや形を意のままに変形出来るのだ。
「うおおおおおおっ!!」
展開と同時に、目の前が炎で埋め尽くされる。
まるでマグマのような炎の熱気が、俺の皮膚をジリジリと焼いていく。
「うおりゃああああぁっ!」
気合と共についに炎のブレスを押し返した。
「パパッ!!」
「大丈夫だっ!俺が抑えている間に、イブリートを倒すんだ!」
「うん分かったよ、行ってくる!」
一瞬炎に呑み込まれたように見えた俺を心配してリンが声を掛けて来るが、無事な姿を確認して気持ちを切り替えるリンは、言われた通りピューイと共にイブリートに向かっていった。
シュウは既にシロと一緒にもう一体の方に向かっている。
よし、相手にとって不足なし。
ここから反撃だっ!
チラッとガントの方を見ると、一瞬吹き出しそうになった。
…既に採掘始めてるよアイツ。
しかも、いつの間に移動したのかスゥーッとガントの方にゲンブが溶岩の上をホバーしながら向っている。
アイツ熱くないのか?!
流石霊獣と言うべきなのだろうか…、だがこれで心配する必要は無くなった。
俺は自分の仕事をやるだけだ。
「『
普段は仲間ペットのステータスアップにしか使わないスキルを、相手の能力を下げるために使う。
ランクが自分より低く、抵抗力の低い相手にしか効かないので普段はあまり使わないのだけど、今回はうまく効いてくれたみたいだ。
そして〈
ギュオオオオッ!グガアアァッ!!と一瞬怯むも、攻撃が浅かったようで怒りの声をあげて襲ってきた。
「ぬおおっ!ぐううっ」
両手で展開した
が、その反動を利用してバック宙でひらりと舞うと、着地と共にダッシュして斬り込んだ。
ギギギギギギギギッっと金属を削るような音が響く。
なんつー硬さだ!
普通のドラゴンの方が格段にやりやすいぞ。
溶岩窟の主は、手を止めた瞬間を見計らって、口から溶岩溜まりをこちらに吐き出して攻撃してくる。
このクラスなら魔法を使ってきそうなものだが、どうやら使わないタイプのようだ。
それならばと、今度は魔法を展開していく。
「押し流せっ!ビックウェーブ!」
水属性魔法で魔法陣から津波を呼び起こす。
さらに、
「吹き
高位氷魔法一気に辺りが冷気に晒されて凍りついた。
流石の溶岩窟の主も動きが止まった。
よし、ここだっ!!
「フィア!」
フィアから炎が噴き上がりそれが分かれていく。
〈炎体分身〉により、10体の分身を創り出した。
現れた沢山の炎の大きな猫は、一斉に溶岩窟の主に襲いかかる。
急に冷やされた体の鱗はかなり脆くなっており、フィア達がその爪で攻撃すると1枚づつ剥がれていった。
ガアオオオッと雄々しい雄叫びをあげて、集中して同じ場所を何度もザシュッザシュッと削っていく。
すると皮膚の一部が見えてきた。
「今だっ!〈
天然の鎧となっていた鱗が剥がれた場所を狙い、圧縮したオーラを撃ち込んだ!
ギュオオオオッ!と音を発しながら撃ち出された攻撃は見事に体を貫通する。
「これならいける!フィア頼んだぞ!」
グルルー!と、ヤマネコサイズに変身し凛々しくなったフィアが返事する。
冷やして、攻撃して鱗を剥がしてから顕になった皮膚を貫く攻撃を何度も繰り返して、溶岩窟の主のあちこちに穴をあけた。
グオオオオオオオッッ!!と悲鳴に似た呻き声を上げ、体のあちこちからマグマのような血を流し不利と悟った溶岩窟の主は、無理やり体を動かし溶岩の中に逃げようとする。
「悪いが、ここまでやって逃がすわけにはいかない!イドラよ俺に力を貸せ!〈幻体龍神〉!」
今逃したら、次にいつ出現するか分からない。
こういうレア系ボスはランダム出現なので、出会ったら倒すのが(LBO時代の)冒険者の鉄則だ。
各種ポーションも持ってきているし、ダメージが通るうちに畳み込む!
「「足を止める!ブリザード!」」
"幻体"と同時に魔法を放ち、再び凍り付かせて動きを阻害する。
さらに〈
ドガオオオオオオオオオオン!と爆音を立てて溶岩窟の主の土手っ腹に大きな穴が空いた。
溶岩窟の主も、最後の力を振り絞って口から溶岩を吐き出し攻撃してきたが、それは"幻体"の方だよっと。
止めとばかりにブレスを吐き終わり開いた口に、渾身の〈
ブレス一撃で"幻体”を消されてしまったが、そこで溶岩窟の主も力尽きる。
口から煙を上げつつ、ウグオオォォォ…と断末魔をあげて仰け反ったあと、地面に伏してそのまま息絶えたのだった。
「よっし、やったぜ!」
見事に俺とフィアのコンビで、この洞窟のボスを倒したのだった。
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