第178話 本気になったのはどっち?
『汝ラヲ真ナル我ト戦ウニ相応シイ挑戦者トシテ認メタ。サア、真ナル我ラニ勝利セヨ!』
いきなりそんな声が聞こえたかと思うと、巨大な魔獣が3匹天から降って来たわけだが。
そんなの聞いたことないぞ!と言っても後の祭りな訳で…。
そんなわけで、【地獄の番犬ガルム】と【地獄の番犬オルトロス】と【魔獣王ケルベロス】が出現した。
どれも初めて見る魔獣だが、ひとつ言えるのは黙って見てるわけにはいかなくなったという事だ。
「さて、セツナどうする~?」
「呑気に言ってる場合ですかっ!?なんだ、あのデカいのは?!」
そう言ってる間に魔獣王ケルベロスが咆哮をあげる。
先ほどのソレとは次元の違う威力に、セツナ以外は
「はぁ、しょうがないかぁ…。みんな聞け!赤いのがS+ランク【地獄の番犬ガルム】、黒いのがS+ランク【地獄の番犬オルトロス】、真ん中の三つ首がSSランク【魔獣王ケルベロス】だ!まずは、ガルムから狙っていけ。ケルベロスは俺とセツナが抑える!」
「「「はい!」」」
俺はニケにカミオ達を守る様に言いつけると、竜玉を取り出し【幻龍イドラ】を呼び出した。
霞がかかった龍がその場に現れる。
リンとセツナ以外が驚いていたが、詳しく説明している暇はない。
知らないメンバーに向けて、大声で俺の龍だ!とだけ伝えた。
『ほう主殿よ、面白い事になっているな』
「面白がってないで手伝ってくれ。ガルムを倒すまでの間に、オルトロスを倒しておきたい。それまでケルベロスを”幻術”で抑えれるか?」
『簡単に言ってくれるのう、主殿よ。だが分かった、出来るだけやってみせよう』
「ああ、頼んだぞ!」
俺はそう言うと、セツナの元に駆けつける。
セツナも既に戦闘モードに頭を切り替えている。
「いいか、俺がひとりでオルトロスをやる。倒すまではケルベロスの注意を引いてくれ。【幻龍イドラ】が”幻術”で抑えてくれるが限度があるだろう。ある程度攻撃して注意を分散させるんだ」
「分かった、やってみせよう!」
セツナは臆せず直ぐにケルベロスに向かう。
自分の5倍はある巨体に挑んでいけるだけでも大した度胸である。
「レーナ、アーヤ、盾になれ!リンとショウタは攻撃に集中しろ!ダイキ回復を切らすなよ!攻撃は二人に任せろ!ユウマは、相手の攻撃の邪魔を優先していけ!」
レーナとアーヤがガルムの攻撃を真っ向から受け止める。
二人掛かりでやっと拮抗するが、それで充分だ。
攻撃を止めたことを確認するや、リンとショウタが両脇から攻撃を仕掛けた。
「うおおおおおおおお!”流星乱舞”!!」
「はぁっ!”
二人が流れるような体さばきでコンビネーションを繋げていく。
常人には目で追う事が出来ない速さで、ガルムの体を切り刻んでいった。
グオオオオオオオン!と堪らずガルムが呻き声を出すが、全員手を緩めない。
逆に、その隙を逃さずに追撃を仕掛けた。
「行け!〈イーグルショット〉!」
ユウマが弓でガルムの目を射抜く。
堪らず、ガルムはさらに怯んだ。
「凍てつけ、アイスクラッシュ!」
ガルムの足を狙ってダイキが氷魔法を放った。
地面に縫い付けられてガルムは動けなくなった。
「はぁあっ!みんな、これで仕留めるよ!”
リンが新たに生み出したコンビネーションで止めに入る。
他のメンバーもそれに合わせて、畳みかけるように攻撃を繰り出していった。
「よし、あっちは大丈夫だな。俺も本気で行くぞ!〈
双剣に氷属性を付与し、さらに
スキルで水と氷属性が弱点なのは確認済みだ。
弱点属性で攻撃することでダメージが跳ね上がる。
グガアアアアアア!!っと呻き声をあげるオルトロス。
さらに、魔法で追撃する。
「埋めつくせ!アクアブラスト!…穿ち抜けサンダーボルト!…浄化せよ、ホーリレイ!!」
連続魔法を発動し、水圧で切り裂さいたあとに、そのまま電撃を使うことで効果を倍増させる。
スタンした状態のオルトロスに更に光魔法で大ダメージを与えた。
オルトロスも黙ってこちらの攻撃を受けるだけではない。
反撃とばかりに俺に向かって、放射状に炎のブレスを吐いてきた。
目の前いっぱいに広がった炎を見て流石に回避が出来ないと判断し、割り切ってそのまま直進して突撃する。
「あっちちちぃ、やってくれる!…アークヒール!」
自分に回復魔法を掛けて、ダメージを相殺しつつそのまま双剣で切り付けた。
お返しとばかりに巨大な鉄のような尾を俺に目掛けて振りかぶってきた。
「あっぶないっ!」
それをスライディングして、ギリギリで躱しつつオルトロスの真下に滑り込んで、
「おりゃあああっ!〈
腹を切り裂かれて地面に血だまりを作るオルトロスはグオオオオオン!と悲鳴に近い咆哮を上げている。
これで止めとばかりに俺はスキルを発動した。
「吹き飛べっ!〈
ゴオオオオオオオオオオウッ!と轟音を立てて、極大のオーラがオルトロスを飲み込んだ。
ドオオオオオオオオオンと大きな音を立てて、巨大な魔獣はその場に倒れた。
真後ろから極大の波動を受けた【地獄の番犬オルトロス】は、体に大きな穴を空けて絶命するのだった。
「よし、これであとはケルベロスだけだな!」
そう言いながら、俺は残る一体がいるほうを見るのだった。
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