第100話 戦いの後は、やっぱ風呂でしょう!
新たな仲間としてディアナとへカティアを迎えて、屋敷に帰ってきた俺達がまずやった事は…。
そう!風呂だ。
冒険して帰ってくると、本当に風呂の有り難みが分かる。
なんせ、体を拭くどころか防具もろくに外せないのだ。
その中で魔獣相手なら砂埃だけじゃなく返り血なども浴びるので、鎧の中とかそれはもう大変なことになる。
そんな訳で、全員でお風呂タイムとなった。
その場にいたマイニャも他の女子たちに拉致されて、連れて行かれた。
へカティアとディアナに至っては、お風呂?水浴びとどう違うの?と言い出したので、行けば分かるから!と珍しく強引になったミラとアイナに勧められて一緒に入る事になったようだ。
男メンバーもみんな前回入った時に味を占めてしまい、ひゃっほー風呂だーっ! と、若者らしく元気に浴場に向かっていった。
しかし、ここで一つ問題が起こった。
なんと人型になれるからとカルマも入ると言い出したのだ。
まぁ、広いし入るのに支障はないのだが…。
だが、問題はそこじゃない。
ニケが、『カルマだけズルいですよ!私だって知識としては、お風呂ぐらい知っているんですよ?!』と、珍しく憤って暴れだした。
はたから見たら大きな魔獣が、玩具をせびる子供のようにひっくり返って駄々を捏ねている図だ。
俺的にはそれも可愛く見えるが、だからと言って一緒に入れてあげるわけにはいかない。
流石に大きすぎてニケは入れれないので、宥めようとしたら…
「ふふふ、それならば早くお前も力を取り戻すがいいぞ?そうすれば入れるだろう?」
と、カルマが言い出したのだ。
今回の遠征で、思ったほど成果を出せなかったのを気に病んでいたらしく、余計に落ち込んでしまった。
後で慰めるこっちの事も考えてほしい。
そんな風になんやかんやがあった後、風呂に浸かりながら皆で話をしていた。
ちなみに銭湯のように上が空いているわけじゃ無いので、覗いたり会話を盗み聞く事も出来ない様になっている。
造ったガントに、『なんで空けなかったんだ、お前らしくないぞ?』と聞いたら、『熱が逃げて効率悪いだろ?てか、人を何だと思ってやがる!』と睨まれた。
「しかし、人間というのは素晴らしい文化を持っているのだな。ただの湯なのに、浸かるだけで安らぎが得られるとは…。
カルマは人型に変化し、風呂に浸かっていた。
しかも、背中にある羽は4枚ともしまった状態だ。
出し入れ自由とか便利そうだなぁ。
俺も自分で空飛びたい。
「で、カルマはなんでいるんだ?」
「風呂を体験してみたかったらしいよ。LBOのデータベースに風呂の情報が入っていたから存在を知ってたみたい」
「データベースって、あいつアクセス出来たのか?」
「あれ、言ってなかったっけ?レアのエリアボスだったから、ある程度アクセス権をもってたみたいで、こっちに来る直前までに収集してた情報を持ってるんだよ」
「そうなのか!?すげーじゃねーか!…なるほど、だからやたら情報に詳しいのか」
「ああ、おかげでかなり助かっているよ。しかも、今じゃ魔王幹部だった時の記憶も戻ったみたいで、あっちの世界の事もかなり分かるみたいだよ」
「はー、相変わらずなんでもアリな奴なんだな。ユートと出会えたのは本当にラッキーだったのな」
そんな雑談をしながらカルマの様子を見ていたが、そこでライが質問してきた。
「カルマさんって、結局何者なんですか?」
俺が答えようとしたら、本人が回答しだした。
「我は、異世界ではナイトメアであり、この世界では悪魔のカルマと闇の大精霊カルマの融合体である。どれでもあり、どちらでも無いとも言えるな」
「あの、余計に分からないんですが…」
ライが聞いてもサッパリ分からないと言うと、まだまだ未熟だなと揶揄った。
まあ、俺も良く分かってないけどね!
「こうなると、”温泉”というものにも興味があります。主よ、是非とも今度南大陸の”サウサリス”へ行きましょう。火山帯の近くにある街に”温泉”があるらしいですよ」
「そうだな…検討しておくよ。 …うーんなんか、すっかり人間臭くなったなぁ」
呆れた顔で見てると、知らぬ顔をして湯を楽しむカルマだった。
─── その頃の女湯
「これは素晴らしいね~!さっきのセッケンというのは、肌がピカピカになるし、良い香りになるし、この浴槽のお湯は入るだけで疲れが取れる!最高だねディアナ!」
「そうね。魔王の城にはこんな施設はなかったものね。そもそも上位魔族は魔力を常に纏っているから、滅多に汚れたりしないですからね。こんな風に楽しむ為の施設なんて、魔族領にはあんまり無かったですし」
竜姫の双子にとっても、大浴場というのはとても新鮮だったらしい。
小さな風呂程度なら昔に入ったことがあるそうだが、さっき言った通り上位魔族は汚れないので必要性がなかったようだ。
「はー、さっきのドラゴンさんがこんな綺麗な女の子になるだなんて、世界は広いんですね~」
マイニャもお風呂で寛いでいた。
「うぅ、マイニャさんの胸、大きすぎないですか!?ズルイのです。私に少し分けてく欲しいのです!」
ミラは、マイニャの立派な胸を見て衝撃を受け、暴走気味に胸を鷲掴みにする。
もし男性陣がその様子を見ていたら、鼻血を出して倒れていたかもしれない。
「きゃあっ、何してるんですかミラ様!」
「私にコレを分けて欲しいのです…」
そんなミラを、もう何してるの! とアイナが呆れた様子で笑いながら見ていた。
引き攣った顔でその様子を見ていたサナティは、こっそりと自分に被害が及ばないように胸が見えなくなるくらいに深くお湯に浸かるのだった。
そんな年上のお姉さん達の様子を眺めていたリンは、早く私も大人になりたいなぁと、ぼんやり考えながらお風呂に浸かるのであった。
=====================================
祝!100話掲載!
沢山の方に見ていただいて感謝の言葉もございません!
今後とも、おっさんテイマーをよろしくお願いいたします!
=====================================
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます