Turn231.魔物『野営地に響き渡る悲鳴』
『ぎゃぁあぁあああぁあぁ!』
『ひぇええぇえぇえ!』
野営地にある、あちらこちらの建物から魔物たちの悲鳴が上がった。
「な、なんだ!?」
驚いたエリンゲは何事かと原因を確かめに駆け出した。ピピリもそれに続いて走り、バンガローの一つに駆け込んだ。
そして──青褪めた顔で床に倒れているオークの姿が目に入った。
「こ、これは……」
目を見開き、苦悶の表情を浮かべているオークは既に事切れているようだ。その体はまるで海にでも溺れたかのようにべっちょり濡れていた。
「水、だとぉ……?」
巨体のエリンゲがバンガローの外から部屋の中を見回すが、そのような大量の水が貯水されているようには思えない。オークが溺れるような場所もなく、原因が分からず首を傾げるばかりであった。
『た、大変です!』
ガーゴイルの慌てた声が外で響く。
『向こうで、ゴブリンの奴が死んでました!』
続いて、ニョロニョロとやって来たデスワームも『コンゴが溺れ死んでたよ!』と報告をする。
あちこちで水死体が見付かっているらしい。
「あの野郎! やりやがったな!」
エリンゲはギリギリと歯軋りし、虚空を見上げて睨み付けた。
──ベンッベンッ!
どうやらこの音色を奏でている人物が魔物たちの不審死に関与していると思っているらしい。
エリンゲの殺意が高まっていくのを感じた。
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