Turn213.勇者『異世界の敵の気配』
聖愛と別れて帰宅した僕は、ベッドに大の字に寝転びながら天井を見詰めていた。
──突然の大雨。
──階段から落ちた不知火。
──突っ込んできた車。
──落ちてきた鉄パイプ。
奇怪な出来事がこうも立て続けに起こるなんてあり得るのだろうか。単なる偶然という言葉では済まされない不思議な力によって、それらは引き起こされているような気がしてならない。
しかし、そんな力が現実に存在するであろうか。考えられるとすれば──。
ファンタジー世界の魔物たちの姿が続々と頭の中に浮かぶ。取り分け印象的だったのが杖をつき、顔の半分を布で覆い隠した老人がこちらを見上げている絵である。
「いや……まさかね」
頭に浮かんだそんな馬鹿げた考えを振払うように、僕は頭を振るうのであった。
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