第162話 その頃の黒猫亭。



「じゃぁ嬢ちゃん、頼むぜ!」

「大先生、よろしくな」

「あたしもついに、料理を覚えるのか…………」


 本日、午後二時。

 師匠たち到達者組がまた軒並み忙しそうに出掛けて居ない黒猫亭のキッチン。

 そこにはルルちゃんと、ゼルくんと、そしてザムラさんが居た。

 ゼルくんは違うけど、ルルちゃんとザムラさんは料理が苦手な人である。と言うか食い専だ。

 しかし、今日のザムラさんは少しだけ違って、「俺もなんか作ってみてぇ。俺でも作れそうな、上手い料理って何か無いか?」と私に言って来た。

 それも、出来ればまだ、自分が食べた事の無い様な物が良い。その上で、完全なピカピカ初心者であるザムラさんでも問題無く作れて、そして美味しい料理を教えて欲しいと。


「では、今日は本当にお手軽で、尚且つ鬼の様に美味しい創作料理を教えますね。ゼルくんは物足りないレシピかも知れないけど、きっとぺぺちゃんは喜んでくれるから」

「おう。いや、でも、結局美味いのが正義だからな。それでお手軽なら忌避する理由なんてねぇぜ。俺は作った物の難易度を自慢してぇんじゃねぇ。食った奴の顔を自慢してぇんだ」


 いいセリフや……。

 ほんと、ゼルくんが更生し過ぎてヤバい。

 ちなみに、ゼルくんがここに居るのは定期的に料理を教わりに来る日が被っただけで偶然だ。

 そしてルルちゃんは、「えっ、ザムさんでも作れそうな料理? だったらあたしも作れるんじゃないっ!? え、やる! あたしもやるっ!」って飛び入り参加だ。

 昼食も食べて、でも控え目に食べて試食の胃袋は残してあるこの時間に、私達はお料理教室をする。

 全員でしっかり手を洗い、エプロンも身に付けて貰った。


「と言うか、本当にめっちゃ簡単な料理ですからね。味は期待してくれて良いですけど、料理っぽさはちょっと微妙ですよ?」


 そう言って私は調理を開始する。皆にも教えながら同時進行で作ってもらう。本当に難しい事は無いから同時進行でも大丈夫。

 まず一品目。私がまだ上手に料理が出来なくて、でもお父さんとお母さんに美味しいって言ってもらいたくて、必死に悩んで開発したズボラ料理。


 その名も、チーズプールベーコン。


「まず、ベーコンを用意します。そして刻みます」

「簡潔」

「本当にお手軽料理だからね。あ、でも材料費はお手軽じゃないよ! 作り方が簡単なの!」


 この世界のベーコンはちょっと高い。いや、元の世界でも単価高めだったよね?

 まぁ良い。私はブロックベーコンをまな板に乗せて、適当な大きさに切り分け、それをスライスした後に更に刻む。

 イメージとしては短く千切りか細切り。バラバラ感があればそれで良し。


「このベーコン、大きさは適当で良いから、綺麗に切る必要は有りません。とにかく好みの大きさに刻んで下さい」

「おお、綺麗に切らなくて良いのか。それなら俺でも出来そうだな」

「ぶっちゃけ、このベーコン刻みさえ終わったら料理の八割終わりなので」

「それは流石に簡単過ぎねぇ? 酒のツマミ作ってんじゃねぇぞ?」

「まぁまぁ、最後までやればちゃんと惣菜になりますから。ああ、でも、ツマミとしても良い感じですよ。お酒飲む時に自分で作っても良いかもです」


 好みに合わせて百グラムから三百グラム程の量を刻んだら、これを全部、軽く油を引いたフライパンで炒める。ベーコンの量はコレで一人前だ。


「弱火から中火でじっくり炒めてる間に、コチラをご覧下さい」

「…………そりゃ、乾酪かんらくか?」

「チーズだね」


 私が取り出したのは、タイヤみたいな形をしたホールチーズ。種類はカマンベールだ。

 別にカマンベールである必要は無い。お好みでゴルゴンゾーラでもブルーでも、好きなものを用意して欲しい。


「そう。この乾酪チーズを熱して…………」


 本当ならバーナーとか専用器具で表面を炙るんだけど、今は普通の生活魔法でホールチーズの表面を熱し過ぎ無い様に絶妙な火加減で炙る。焦がすのが目的じゃないから。

 そして、熱して半液状化したチーズを、チーズナイフで大きめの深皿へ向かって「ドパァッ!」っとこそぎ落とす様にして、固形物としての死を与える。完全に液状化させて器に流し入れるのだ。


「この時、チーズの量もお好みです! 分量など知らぬ! 食べたいだけ溶かして食べたいだけ器に入れて下さい!」

「大雑把」

「すげぇ。大先生がこんな乱暴な料理してるの初めて見たぞ」


 グラタン皿でもサラダボウルでも、料理が全量入るなら器もなんでも良い。普通の一人前で満足出来る人はグラタン皿で食べれば良い。大食いしたい人はサラダボウルでもラーメン丼でも用意しろ。


「ここに、炒めたベーコンも全投入! そして混ぜる! 完成!」

「いやもう手軽ってレベルじゃねぇなっ!?」

「だが、確かにめちゃくちゃ美味そうだ…………」

「こ、これならっ、あたしも作れそうっ……!」


 チーズプールベーコン、完成。

 深皿の中で大量のチーズに溺れた大量のベーコン。ただそれだけの料理です。


「これ、ベーコン刻んだ後はかなり自由に作って良いので。今回は深皿にチーズ注いでからベーコンを混ぜましたけど、先にベーコンを入れてからチーズを流し込んでも良いですし、混ぜても混ぜなくても良いです。とにかくお好みで、美味しい食べ方でどうぞ」


 あと、食べ方も自由。

 オン・ザ・ライスしても良いし、セパレート・ライスで食べても良い。主食無しでレンゲの様な大きなスプーンでもりもり食べても良いし、スライスしたバケットを突っ込んでフォンデュしても良い。

 フォンデュせず、スライスバケットにスプーンでチーズベーコンをダプダプ掛けて食べても良いし、刻んだパンも混ぜてグラタンっぽく食べても良い。


「そんな感じで、ご自由にどうぞ。一つ言える事は、チーズが固まる前に食べて下さい」


 実食。


「うみゃぁあ…………」

「ああああこれは酒が欲しくなる奴だなぁ……!」

「かぁ、ウチの妖精姫にも食わせてやりてぇ…………」


 ゼルくんの「ウチの妖精姫」って発言が最高に彼氏面しててニヨニヨしちゃう。彼氏の前で後方腕組彼氏面しちゃう。ニヨニヨ。

 皆は自分が作った分をスプーンで食べたり、パンに浸して食べたり、パンを投入して啜るように食べたり、ライスを用意したり、様々な食べ方を実験してる。


「簡単でしたよね?」

「予想以上に。うん、これならあたしも出来る……」

「刻んだだけだからなぁ。ああ、自分で美味いもん作ったって思うと、なんか楽しいなコレ」

「そうそう。料理は楽しいんだぜ、剛腕壊拳」

「この料理は、元々美味しいベーコンと、元々美味しいチーズの美味しさを利用した簡単料理なので、元々の美味しい分だけ、面倒なことを省けます」


 私は心の中で、この手の料理を『苺大福料理』と呼んでる。

 つまり、美味しい物と美味しい物を混ぜたらもっと美味しくなった系の料理なのだ。

 ちなみに、日本でコレを作る時、ホールチーズを用意出来ない場合は普通にトッピング用のチーズとかを買って来て、耐熱ボウルに入れてレンジでチンしたり、鍋で溶かしたり、湯煎したりすれば良い。

 鍋で溶かす場合は焦げ付かない様に超気をつけて欲しいところだ。

 大量のチーズを溶かして、大量の刻みベーコンをぶち込むだけ。簡単やろ?

 ベーコンとチーズの相性なんて、今更語るまでも無い。

 ただめっっっちゃ味が濃いので、そこは気をつけて欲しい。ジャンクな物を食べたい時にだけ食べてくれ。塩分もヤバめだ。健康には良くない。


「はい。一品目のチーズプールベーコンでした。では二品目行きましょう」


 次、二品目の苺大福料理。


 その名も、マヨフライ。


「まず用意するのはコチラ。予め火を通してから粗熱を取って、スライスした様々なお肉です」


 豚バラ、牛ロース、鶏ササミ。今日はこの三品を使う。


「まずお肉に火を通す時は、弱火でお肉をじっくり炒めてください。全てはそれからです」


 ぶっちゃけると、料理に慣れてる人なら火を通す工程は要らない。この後に揚げるので。

 でも、初心者や揚げ物が苦手な人は、生の食材を揚げてちゃんと火を通すのは難しいと判断。なので予め火を通しておく。

 そして、火を通したら粗熱を取って、その後スライスした食材を重ねる。


「火を通した後にまた高音で火を入れるので、硬く成らない様にスライスしてから重ねます。薄切りされたお肉が重なる事で食べ応えがあり、でも肉は薄いので多少硬くなっても食感が柔らかくて美味しく食べれます」


 そして、良い感じにお肉を重ねたら、周囲をマヨネーズでベッタベタにコーティングする。


「マヨネーズは今のところ黒猫亭でしか食べれない調味料ですけど、卵の衛生管理さえ出来るなら外でも用意出来ますので」


 次に、ベッタベタにマヨネーズでお洒落したお肉に大量のパン粉をまぶして行く。しっかりコートしたマヨネーズにも侵食するくらいにパン粉をまぶす。

 そしたら後はもう、軽くパン粉を叩いて余分なの落として揚げるだけ。


「既に火が通ってるので、揚げ時間を気にする必要は有りません。衣がこんがりキツネ色になったら完成です」


 本来なら小麦粉をまぶした後に溶いた卵液に潜らせて、そこにパン粉をまぶす揚げ料理。しかし、その工程をマヨネーズに代替させる事でほぼ端折る。

 マヨネーズ主成分がほぼ卵と油なので、これでも実は小麦粉を端折っただけなのだ。小麦粉はあれ、卵液をしっかりと絡ませる為の工程だから、マヨネーズなんて言うネタネタした物を塗りたくるなら小麦粉も要らない。


「何より、マヨネーズで下味がしっかりつくので、そうそう失敗しません」


 塩コショウの分量とか気にしなくて良い。取り敢えず敵等に塗り塗りしとけば美味しくカラッと揚がる。

 纏めとると、適当に火を通したお肉をスライスして、それを重ねてマヨネーズを塗りたくったらパン粉をぶっ掛けて熱した油にイン。

 既に火が通ってるから油の温度や揚げ時間とか、面倒な事は考えなくて良い。衣の色だけで判断して大丈夫。

 日本で作るなら、先にお肉をレンジでチンして火を通すのも有り。もっと言うと揚げに使う油も、揚げ鍋にたっぷりは要らない。フライパンにカップ一杯くらいで大丈夫。衣をカラッと揚げたいだけなので。


「はい、実食」


 -サクリッ……。


「あぁあぁあぁ……、これは酒がぁッ、酒が欲しくなるんじゃぁ……!」

「おいひぃ……。けど、あたしにはちょっと難しかったかな? でも頑張れば出来そう」

「なるほどなぁ。実質同じ材料って事で代替すれば、工程を少なく出来るのか。…………勉強になるぜ」


 マヨネーズのおかげでソースを使わなくてもプレーンで美味しいカツを三種、サクサクと試食する。

 これ、今回はこのお肉だったけど、捏ねた挽肉とか、なんならハンペンとかお肉をじゃない食材を使っても、なんでも大丈夫。余程変な素材じゃなかったら大体美味しく出来るから。

 流石にチョコとかグミとか揚げ始める奴は知らん。もしかしたら美味しいかも知れないけど、ソイツはもう料理の前に常識を学べとしか言えない。


「三品目いきまーす!」


 今日は料理って概念すら未知って人でも何とか作れるくらいに簡単な料理を並べる所存なので、サクサク終わって次々進む。


 三品目、ポトミンチーフ。


「はい、これはめっちゃ簡単です」

「前二品も充分楽だったけどな」

「これは、それ以上です」


 まず腸詰め肉ソーセージ、ベーコン、挽肉、キャベツを用意します。


「分量は、これも適当で大丈夫です。強いて言うならちょっとベーコン多めがオススメでしょうか?」


 最初は煮込み鍋に挽肉を入れて、軽く炒める。

 その間にまたベーコンを適当に刻みます。

 そしたらベーコンも鍋に入れて、次にソーセージをぶち込み、最後にキャベツを適当な大きさに千切って鍋に入れる。

 大体、鍋の半分にみっちり具材が詰まるくらいの分量を入れたら、水を良い感じに入れる。鍋全体をカップ替わりにするか分量計算は特に要らない。


「沸騰しても吹きこぼれないくらいの水を入れたら、後はキャベツに火が通るのを目安に煮込めば終わりです。ベーコンの塩気に、ソーセージとキャベツから出る出汁。挽肉から滲み出る旨味と油が勝手に味を整えてくれるので、特に味付けは要りません」


 あ、でも、煮込んでる途中に挽肉から出て来ちゃう灰汁は取る。

 灰汁なんて気にしねぇぜっ! って業の方はそのまま気にせず煮込んで下さい。私は灰汁取りする。

 挽肉を入れ過ぎると煮汁が濁って不味そうに見えるけど、それでもまぁ、不味くはならないはず。

 自分には合わないと思ったら挽肉を抜いて、ブツ切りにした人参でも入れて欲しい。

 スープ料理なんてソーセージと人参入れとけば美味しくなるのだ(暴論)。


「…………つまり、これは、ベーコン刻んだら具材を全部鍋に入れて、煮込めば終わりって料理なんだな?」

「そです。簡単でしょう?」


 コンソメを使わないで塩気と油で味付けするポトフみたいな物だ。

 味付けは具材に任せて、何もしない。

 塩気が強い方が好きならベーコンを増やせば良いし、肉の旨味が好きなら挽肉かソーセージを増やせば良い。キャベツも独特の出汁をもらたすのでお好みで調整して良い。

 余程極端な事をしなければ、適当な分量でまぁまぁの味が決まる。手軽な料理だ。


「はいはい、次々行きますよ〜」


 ポトミンチーフ、ミンチ入りポトフは煮込むので少し時間が掛かる。キャベツに火が通ったら取り敢えず食べれるんだけど、味が染みた方が美味しいので少し時間を置く。

 その間に四品目だ。


 苺大福料理四品目、ぽいぽいパスタ。


「はい。まずパスタを茹でます」

「段々ノンちゃんが適当になってきた……」

「それでも作れちまうって事なんだろうけどなぁ……」


 パスタを茹でます。

 茹でてる間にソース作り。


「今回はこれ、シーチキンと言う魚の油漬けを使います。でも、この料理は大体なんでも、刻んで細かくすれば具材に出来るので覚えておいて下さい」


 日本では当然缶詰なコレ、ポップアップベースに補給される物は瓶詰めで登場する。

 それを一瓶ずつ皆に渡して、お料理続行。

 まずシーチキンを油ごとボウルに空ける。

 そしたらボウルにマヨネーズ投入して、シーチキンと混ぜる。

 マヨネーズの量はやっぱりお好みだ。余程アホな量を入れなければ、結構入れ過ぎても不味くは成らない。

 私の好みはクリームパスタソースくらいに緩いツナマヨソースだけど、ネットネトのツナマヨソースにしても大丈夫。


「ソースが出来たら茹で上がったパスタを湯切り! そしてお皿に盛り付け! 作ったマヨソースを掛けて完成!」

「すげぇ簡単だ…………」

「あ、スープも良い感じだぞ大先生」

「なら一緒に食べちゃいましょうか」


 ポトミンチーフも深めのスープ皿に盛って、実食。


「あー、これ普通にうめぇなぁ……」

「茹でて、混ぜて、掛けただけなのに……」

「ソースをねっとり作った人は、パスタと良く和えて食べると良いでよ」


 ぽいぽいパスタは、気分で具材を好きに変えられるので凄い手軽。

 日本でなら、缶詰のコーンをぶち込んでも良いし、コンビーフを入れても良いし、エビやタコを入れても良い。

 マヨネーズをソースっぽくする為の油がなかったら、サラダ油でもオリーブオイルでも、食用油を適量入れたら大丈夫。この「適量」はちょっとずつマヨに加えながらソースの緩さを見とけば失敗はしない。

 仮に失敗したらマヨを追加すれば挽回出来る。「砂糖を入れ過ぎたから塩で誤魔化す……」みたいな料理下手の典型的な愚策を行っても大丈夫なのがぽいぽいパスタの魅力だ。まず失敗しない。

 流石にチョコ入れたり苺入れたり、訳分からない具材を選び始めたらどうしようも無いけど、普通の感性をしてたら大丈夫のはず。そんな事する奴はまず常識を以下略。

 

「なんか、料理って小難しいっつぅ考えがあったんだがよ、こんな簡単で良いんだな」

「美味しければ良いんですよ。塩振っただけの串焼きだって美味しいでしょう?」


 料理の基本はレシピの遵守。だけど、そのレシピがややこしくて料理が嫌って人も多いのも事実。だからこそ簡略化する。

 料理を突き詰めれば、塩を振っただけの串焼きが凄く美味しいってところまで落ちて行く。

 つまり、美味しい物を美味しいまま使うのが一番簡単な料理なのだ。


「相性の良い『美味しい物』を混ぜれば、大体それで『美味しい料理』に成るんですよ。まずはそこからです」


 試食でお腹が膨れてしまった三人をよそに、私は視線を少しずらす。

 その先には、お料理を孤児院に運んだりしてくれてるウィニーが居た。

 ウィニーは誰にも気付かれずにキッチンの一角でひっそりとしていて、何やら一枚の小さな紙をピラピラしてる。


 ………………ん、了解。


「さて、簡単お料理教室はどうでした?」

「いやぁ、予想以上に簡単で楽しかったぜ! 俺も今度、自分の酒のツマミを自分で作って晩酌してみようかねぇ!」

「簡略化するってだけでも、大分勉強する事があったな。いや、簡略化するからこそ、大事な物が詰まってるのか…………」

「ぅゆ! 今度あたしがノンちゃんにお料理作ってあげるからね!」


 結果は上々。

 まだ残したい物があったけど、タイムリミットらしいので私は行く。


「じゃぁ、私この後用事があるので、料理教室はここでお終いにしますね。後片付けは子供達とドールに頼んでおくので、解散して大丈夫ですよ」

「うゆ? ノンちゃん、どこか行くの? 何か用事あったっけ?」

「うん、ちょっと野暮用でね?」


 エプロンを脱いでカゴに放って、私はシステムを利用して装備品を換装する。


「ゅっ!? えっ、…………の、ノンちゃん? そんなフル装備で、どこ行くの?」


 銀玄瑞鳳ぎんげんずいほうと、それにリンクする淼銀鏡ひろいぎんかがみ達は見せた事があったけど、ここまでのガチガチのフル装備は初めて見るルルちゃんが、恐る恐ると私に聞く。

 私も、ジワルドでだってここまで装備品固めた事は無いなって思うと、ちょっとおかしくなった。


「ふふっ、何処に行くかって?」


 私は顔だけ振り返って、その愛おしい顔を頭に刻みながら歩き出した。


「…………もちろん、往くべき所へ、だよ」


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