第149話 主役の居ないオフ会。
奇跡。
そんなチープな言葉を真に体験する機会があるとは、露ほども思ってなかった。
「さって、ここか? …………ぉう、表札は確かに『明智』だな」
オレは埼玉県の某所、親友の実家に歩いてやって来た。
目的はオフ会。それも、本当なら最もそこに居るべき主役を抜いた、味気ねぇオフ会だ。
目の前にある豪邸のインターホンを押すと、すぐにリアクションが返って来た。
『……えーと、どなたかしら?』
「ども。ペペナボルティーナっす。……通じるっすよね?」
『ええ! あなたがぺぺちゃ……、あら失礼。ペペナちゃんなのねっ。さぁ上がって、門も玄関もロックは外したから』
インターホンから返って来るのは、まるでほにゃほにゃしてる時のあいつを彷彿とさせる柔らかくて優しい声だった。
その声を聞いただけで、あいつが溺愛して敬愛する気持ちの一端くらいは理解出来ちまう程に、慈愛に満ちた声だった。
その声の案内に従い、オレはかなりの豪邸のゲートが開かれると共に地面を踏み締めながら進み、玄関を目指す。
「……ははっ、念願の足で最初に来る場所が、親友の家ってのは、…………まぁ、悪かねぇな」
最後に、玄関の前で自分の姿を確認する。
本当はもっと、人が引くくれぇにフリフリした甘ロリとかゴスロリなんて物が着てぇんだが、なぜだか自分が選ぶと正反対になる自分のファッションがありありと体現されたそれを見る。
ショートパンツにラフなティーシャツ。マジでセンスねぇ。いや言うほど悪くねぇはずだが、完全に自分の好みじゃねぇ。
せめてクラロリくらいは着たかった。何故オレは自分で選ぶとこうなる? 自分の好みは把握してるのに、何故こうなる? マジで意味わからん。
まぁ良いか。そう変な格好では無いはすだ。
いや、親友の親御さんに初対面で会う時には適格な格好とは言えねぇか? ……いや、これでいいか。いつだって等身大だったあいつの親に会うのに、オレが自分を偽るのは違ぇだろ。このままで良い。
決心して扉を開くと、そこには優しげな顔の女性が居た。
「いらっしゃい、ペペナさん。それとも、瑠璃ちゃんって呼んだ方が良いかしら?」
「いえ、お好きに呼んでダイジョブっすよ。ノノンの親御さんなら、ぺぺちゃんって呼ばれても、まぁムカつかないんで」
「ふふ、そうなの? でもそのお名前は、
ああ、あいつの親だ。間違いねぇ。もう、「ふふ」って笑う感じがソックリでやがる。
「立ち話もあれだから、さっそく上がってちょうだい? リビングに案内するわね」
「あざっす。……で、他には来てんすか?」
「ええ、と言うより、瑠璃ちゃんで最後よ」
「あ、マジっすか? え、オブラートとか北海道って聞いたんすけど……」
「ふふふ、今どき飛行機があれば、国内なんて数時間でどこでも行けるわよ?」
ああ、クソっ。マジかよ、オレが最後かよ。
自分の足で歩くなんざ、ほぼ初めてって言っていい事だから、無駄に戸惑っちまった分の遅れが響いてやがる。
「……ふふ、会えて嬉しいわ」
「オレもっす。いつもアイツに、ママさんの事は聞いてたんで」
「私もいつも聞いてたわ。あの子ったらいつも、ぺぺちゃんが、ぺぺちゃんがって、楽しそうに話すんだもの。少し妬いたくらいよ?」
「え、あ、その、すんません……」
あいつが溺愛してる分、親御さんも同じくらい溺愛してんだろう。
謝った後にもふふって笑って、「冗談よ」とは言わねぇから、多分妬いたのはマジなんだろうな。だが、あいつの親に妬かれるくれぇ大事にされてたって思えば、ちっと光栄な話しだよな。
そうして案内された広いリビングには、もう既に色々とパクついて話し込んでる奴らが居た。
当然ながらここは現実で、赤茶だの緑だの変な髪色の奴は居ねぇ。いや、普通に現実にもその色の髪は実現出来るが、少なくとも一般的じゃねぇよな。
「お、いらっしゃい。君が【双鎌妖精】かい?」
「そう言うテメェは【薬師神】だな? まじ顔ソックリじゃねぇか。ネットリテラシーくらい気にしろやボケ」
「おーう、リアルでも威勢が良いなぁペペナよぅ」
「あん? テメェは筋肉か? おいテメェ、なにあいつの両親を簡単にかっ拐われてんだ殺すぞボゲがっ」
「いやマジでそれは言い訳出来んわ。すまん……」
オレは舌打ち一つして、メンバーを見る。
真っ先に声を掛けてきたのは【薬師神】オブラート。正確にはオブラート二世だったか? まぁ良い、今日は最遠方からのご来訪らしい。北海道在住だとよ。髪色以外はほぼオブラートのキャラアバターそのままって見た目だ。所々は弄ってんだろうが、正直誤差だ。
そんで二人目は【オールマッシブ】mkmktntn。本当の読みはムキムキチ○チンだが規約的にアウトだから基本的にテンテンと呼ばれてる莫迦だ。得意技はセクハラだが、まぁリアルでは流石にマトモらしい。
外見は顔以外大体アバター通りの筋肉量で、顔はわりと塩顔だ。ゼルにも及ばねぇパンピーめが。……やべぇ気が付くと脳内で惚気けそうだ。ちくしょうゼルめ、リワルドに帰ったら覚えとけよ。
「あー、そんで、…………パパさん、いえシオンさんっすか?」
「……うん、私が明智紫苑だよ。よろしくね、ペペナちゃん」
「よろしくっす。……あと、そっちはソルとタカで合ってるか?」
「うっす! 【双鎌妖精】さんリアルでも美人っすね!」
「よろしくでーす!」
あいつの父親、シオンさんもまぁ、あいつの親だと納得するしかねぇ優しい笑みを浮かべた人だった。オレの親父もこんな人ならなって、ちっと思っちまう。
そして塩顔二号と三号はソルとタカだ。どっちがどっちだか分からんが、まぁ些細なことだろ。だが今回のオフ会の立役者でもあるから、多少は褒めてやる。
「……んで、最後の一人は、まぁ性別的に【剣閃領域】か」
「ええ、よろしくね。リアルでは一応、名前で呼んでくれる?
最後の一人。茶髪のストレートで紅一点。いや今来た俺とホストのノノカさんは除いた紅一点だ。とにかく最後の一人は三十代間近くらいの女で、【剣閃領域】の中の奴だ。
ただ三十路ギリギリって歳の癖にメチャクチャ若ぇぞコイツ。普通に美人でやがる。
「おう。オレぁ
「そう。じゃぁいつも通りにさせてもらうわね」
「…………なんか、お前のロール剥がれてっと調子狂うな」
「そう? まぁ、ぶっちゃけるとあのロールって、ノノンちゃんの為に始めたから、ジワルドでもガチガチのロールプレイ派って訳でも無いんだけど」
「マジかよ初耳だぜ」
そうして、最後の一人であるオレが揃って、やっと始まるオフ会。
「それでねシオンさん、ノノンちゃんのビーフシチューほんとに美味しかったんですよ! 是非食べて欲しい! さっさとケルガラ入りしましょうよ!」
「ああ、良いですねぇ。私も早く、あの子に会いたい」
始まる、オフ会……。
「お母様! 見てくださいこのグッズ! 全部ノノンたんですよこれ!」
「あらまぁ、CMで良く見たあの子が
「公式グッズの数はこんなもんじゃないっすよ! 正直運営もノノンたん大好き過ぎるんで!」
おふ、かい。
「ねぇテンテン、そっちの国にはどんなのが居るの? 作戦始まったら食い散らかせる強者は居るの?」
「どうだろうな。正直、共鳴式詠唱で不意を突かれただけが敗因だからなぁ。ぶっちゃけタイマンなら、あんたどころか俺でも余裕だったぜ?」
「…………そう。はぁ、でもノノンちゃんの為だしね」
「あんたリアルでもそんな修羅ってんだな。強者居ないって聞いて落胆し過ぎだろ」
始まる、筈なんだがなぁ?
「いや、おい。計画詰めるんじゃねぇのかよ。ガチでオフ会のまま終わらせる気か?」
「ん? ああ、そう言えばそうだったね! いやぁごめんごめん! 正直僕かモノムグリちゃん、おっと、恵子ちゃんが居れば余裕かなって思っててさ」
「まぁそうだろうけどよ。ジワルドトップスリーのバケモノが乗り込みゃぁ、大抵の問題は片付くだろうよ」
オレ達が今日集まった理由。
それはママさんとパパさん、ノノカさんとシオンさんの救出作戦の打ち合わせだ。
あと一歩、ほんの少しであいつを、ノノンをガチの笑顔にしてやれる。その邪魔をするゴミをどう料理してやろうかって言うのが、今日の目的だ。
そのはずなんだが、全員が全員、好き勝手に食っちゃべってやがる。
「つうかオブラートてめぇ、何食ってんだよそれ美味そうじゃねぇか」
「お? これかい? これはノノカさんお手製のクッキーとポテチだよ。甘いのとしょっぱいの有ると無限に食えるよねぇ」
「オレにも食わせろや」
むん、うめぇな。
正直ノノンの方が料理上手いが、それでも血筋なのか、ママさんの料理も悪くねぇ。どことなく料理から感じる何かが似ている気もする。
「ふふ、ごめんなさいね。本当はもっと上手に作れれば良いんだけど……」
「うん。うちは、
「いや、オレの親友凄すぎねぇ? 五歳から家事全般網羅とか天才かよ?」
「ふん、今更何言ってるの。ノノンちゃんが天才じゃなかったら、誰が天才を名乗れるの? しかも努力を惜しまず妥協しない、最も得難いタイプの天才よ。ノノンちゃんをこの世に産んでくれたご両親は、わりと真面目に現人神だわ」
…………いや待てや。オレまでまったりしてどうするだよ。
くそ、やべぇな明智家。居るだけで心安らぐっつうか、もう全部明日で良くね? って気持ちになるぜ。
「ほい、駄弁のは後にしようぜ。オレぁ一刻も早く、ママさんとパパさんをノノンに会わせてやりてぇ」
「ん、そだね。そうしよっか。まぁ言うて、僕がシオンさん達を抑えてるクソどもを皆殺し暗殺プレイするか、恵子ちゃんが乗り込んで正面から皆殺しチートムーヴするかの二択じゃない?」
「て言うか最後に来たのに偉そうだな【双鎌妖精】」
「負け犬のテメェよりは偉いわ莫迦野郎が。黙ってろ【オールマッシブ】。よくもママさんとパパさん拐われやがって。五千回死ね」
「くそぅ、俺に発言権がねぇ……!」
オレが柏手を打って方向修正すると、セクハラ筋肉が噛み付いて来たから黙らせた。
まぁぶっちゃけコイツ、オレとほぼ同格だから到達者でも言うほど強くねぇんだよな。まぁジワルドの強者並べたらトップ五十には入るんだが。
「あのぉー……」
「ん、なんだソルタカ」
「あ、自分はタカっす」
オフ会がまともな方向へ進み始めると、タカがそろっと手を挙げた。挙手制は基本だよな。偉いぞタカ。ノノンポイントを二点やろう。おら喜べよ。
「ここまで来たなら、ノノンたんに知らせるってのは……」
「あ? 無しに決まってんだろ莫迦かテメェ」
提案がクソだったのでマイナス三ノノンポイントだ。出直してこいボケナスが。
「それは無いねぇ。少なくとも最終手段だよ」
「そうね。私は別にそれでも良いけど、向こうは一応リアルでもあるから、あまり良くは無いと思うわ」
「そうな。確実にダメだぞ。いくらなんでもアウトだ」
「えと、そんなにダメなんすか? 明智主任とお母様が手っ取り早く出会えると思うんすけど」
確かにそれが一番手っ取り早いけどな。
でもな、それをすると……。
「「「「国が滅ぶ」」」」
亡国確定なんだよな。
「…………え? いや、良いんじゃないんすか? 別に」
「へぇ、タカくん、君はあの国に住むあらゆる民が、無辜の民が軒並み死に絶えても良いって? まぁ僕も正直気にしないんだけど、世界的には良くないだろう?」
「……へっ? え、国が滅ぶって、そのレベルなんすか?」
あ、ダメだこいつ。認識が甘すぎる。
「タカよぅ。おめぇ、姫公一人守るためにプレイヤー全員に喧嘩売れるあいつがだぞ? 自分の何よりも愛してる親をクソみてぇに扱ってる国に対して、何をするか本気で分からねぇか?」
「えっ、いや、流石にノノンたんだって……」
ダメだコイツ全然分かってねぇ。
「あのね、タカくん。ノノンちゃんにこの件が知れた場合の、僕達が確信してる未来予想図を教えてあげるよ」
「まず、ノノンがママさんとパパさんのアバターに隷属の首輪嵌められてるって聞いた時点で頭が沸騰して人の話しが耳に入らなくなんだろうな」
「それで、とりあえず召喚獣フル活用でその国を端から滅ぼして行くでしょうね。老いも若きも関係無く片っ端から」
「そうやって首都以外は完全に更地にした後、首都で絶望の庭を完全展開か? ぜってぇブチギレてるからな、あいつ」
「それで【屍山血河】も発動してからバフ積みまくって、首都在住の民全員分の出血バフで一瞬で鬼強化されたノノンちゃんがファイルボルテックスとかアビスゲートとかで首都を薙ぎ払うんだろうね。理論上無限に積めるバフでINT鬼強化した範囲殲滅魔法の連発だよ。しかもそれで殺した分もキルスコアで【屍山血河】のバフになるって言うね。更にバフ積まれる毎に回復も入るから、殺せば殺すほど
「んで、最後はママさんとパパさんとマヌケのアバターが居る城を召喚獣で囲んで誰も逃げられなくした後に、城に居るやつを片っ端から丁寧に丁寧に擦り潰しながら殺して行くんだろうよ。一人一人が絶望の中で許しを乞いながら死に絶えて行くのを確認しながらな」
未来予想図って言うか、確定した未来っつうか。
「…………え、嘘ですよね?」
「お前莫迦なのか? ノノンのガチファン名乗ってる癖に、アハーン神降臨とか、
「……あっ」
今、ママさんとパパさんは、ケルガラの西に進んで二つ目にある国の城に囚われ、非人道的な魔道具の実験に使う「死なないモルモット」扱いされてる。
多分、ママさんの方はログアウトして「寝ている」のを良い事に、もっと色々、クソみてぇな事をされてんだろうな。
今のところママさんは
もしそんな事をノノンが知ったらどうなるか。いや超簡単だろ。答えは「国ごと滅ぼす」だ。
正直まぁそんな国滅んじまえよってオレも思ってるけどよ。だがオレの親友に罪も無い民を虐殺した重罪人なんて肩書きは背負わせたくねぇ。ノノンは今、完全に向こうの世界で生きてるからな。
ただ口汚く罵られただけでも相手の人生擦り潰す勢いで報復したノノンだぞ? 今もママさんがログアウトしてるアバターに腰振ってるクソが居る国とか、丸ごと消し飛ばして当たり前だろうが。
「それに、
「ほんとによぉ。莫迦みてぇにノノンの地雷をピンポイントで踏み抜きやがって……」
「むしろ、なんで私たちがあんな国の為に四苦八苦してるのかって、莫迦らしくなるレベルよ?」
もう少し詳しく状況を纏めて、頭がゆるゆるのタカに教えてやる。
まず今の状況と、そしてオフ会の理由。それはマヌケがママさんとパパさんを連れてジワルドを始めて、レベル百くれぇの時にルドルフに、オレの足まで治してくれたアイツに遭遇して、そんでリワルド入りした時から始まる。
そんでゲストプレイヤーが落ちる場所はルドルフも選べないらしく、オレがダンジョンの中の大聖堂で目覚めたように、三人も戦争中の国で目覚めちまった。
まぁ戦争なんてしてるくれぇだから、そんな国に落ちちまったら身を守るために戦うことくらいあらぁな。実際にマヌケのテンテンはママさんとパパさんを守りながら戦乱をどうにか抜けようとする。
ちなみに、ここではまだアホのテンテンはノノンの情報は持ってねぇ。戦争してる国、亡国一歩手前のアホ共、ロードハート王国とやらにはダンジョンがねぇからな。その手の情報が手っ取り早く出回るのはやっぱダンジョンに関係を持ってる国だ。
だからこそダンジョンが欲しくて戦争なんて始めちまったんだが、ダンジョンが有る国と無い国の戦力差なんて明らかだ。パワレベがクソって言っても、確実にステータスは上がるからな。レベルが上げ易い環境はそのままイコールで軍事力に直結できる。
つまり、ロードハートの莫迦たちは自分で初めた戦争で勝手に窮地に立ったわけだな。
「ここまでは良いか?」
「あ、はい」
そのまま負けちまえば話しは平和だったんだが、ここで思わぬ事故が起きる。
そのボスは超強力だったが、リスポン領域付きのボスだったからロードハートとポポロニアの一時的な共闘で何とか撃破。そして
ダンジョンが無く
そんな
その無限構造に目を付けたロードハートは、あえて
「クソみたいな国っすよね」
「マジでな。ママさんとパパさんの事が無くても、これだけでノノンがブチギレる案件だからな。今のところダブルスコアでゲームセット確定してんだよあの国」
しかし、
しかし、そこでまたロードハートはとある存在に目を付ける。
共鳴詠唱魔法が直撃しても生き残り、なんなら死んでも蘇ると噂の存在。そう、国内で必死に頑張ってたマヌケのテンテンだ。
こいつを確保すれば、実験し放題なんじゃね? そんな頭の悪い事を考えたロードハートは、一応効果があったらしい共鳴詠唱魔法を軸に捕縛作戦を展開。そしてアホのテンテンはまんまと捕縛され、しかもテンテンと同じく不死身のプレイヤーであるママさんとパパさん、ノノカとシオンのアバターまで確保出来ちまった。
「そんで、今はそのロードハートってぇ国で三人のアバターキャラがモルモットにされつつ、ママさんのキャラなんかは慰み者にされてるっつぅ訳だな」
これを知ったら、ノノンは間違い無く国ごと殺す。
アバター作ってリワルドの様子を確認して来たらしいルドルフから話しを聞いた時にゃぁ、普通に国ごと死ねって思ったしな。
「…………つぅかよぉ、テンテンてめぇ、メイス使ってるモンクプレイなら解呪系魔法くらい揃えとけやボケ! なに隷属なんて呪い簡単に受けてんだよ!」
「マジですまん。マッスルマジックが効かなかったんだ……」
ここで問題なのは、この隷属系って呪いだ。
なんか詳しく聞くと、リワルドがゲーム要素を持つ前から存在する由緒正しい呪いの形らしく、ジワルド系列の呪いとは別物らしい。一応ジワルド系列の力で解呪は出来るが、生半可な力じゃ無理だそうだ。しかも
まぁオレだったらMINが【SSS+】だから抵抗出来るらしいが、それでも【SSS+】が最低条件らしい。一応INTも少し影響するらしく、加えてオレのINTは【SSS◆】の最高値だ。なんでオレは隷属をあんまり気にしなくて良さそうだ。
残念だったなテンテン。お前確かVITは【SSS◆】だったが、MINは【SSS】止まりだったよな?
まぁ、それでその首輪をまんまと嵌められたテンテンと、そしてママさんとパパさんな訳だ。
幸い、クソみてぇな陵辱展開になる前にログアウト出来たらしいが、次にログインしたら体は汚されて嬲られた後だ。そんな体に入りたい訳がねぇ。
マジで胸糞だぜ。姫公ん時みてぇにムカムカしやがる。何気に姫公もモロヤバのシーンはカットされてたが、確実に陵辱された後って状況があったしな。あいつもマジでつれぇ思いしてんだよな。
「…………あ、そういや姫公もリワルドに来てるらしいぜ?」
「え、まって何それ僕知らない」
「ん? お前ら、ルドルフとレイン交換してねぇの?」
「待ってッ!? あのワールドエレメントって連絡先交換してくれるのかいッ!?」
は? 莫迦なのかコイツら?
ログインシステムをアプリ化してスマホに入れてくれてんだぞ? そんな奴なら、スマホやそれに類する端末くれぇ持ってるに決まってんだまろうが。
最重要キャラにとりあえず連絡先聞くくらいしろよ。ゲーム世界の事情がどっぷりの展開とはいえ、オブラートてめぇゲーム脳か? リアルなんだから連絡先くらいは抑えるに決まってんだろ。アホか。
「マジかよ、僕も聞いとけば良かった……」
「でも、ウリウシーラがリワルド入って大丈夫なの? あの子NPCよね? 実は運営の誰かが入ってたりしたの? 魂的な問題でNPCはリワルドの世界が危ないって聞いたんだけど」
「あん? 誰に聞いたんだ?」
「シルルちゃんの
「あー、あいつ確かに色々知ってそうだよな。まぁ、姫公も最初はヤバかったらしいが、今は大丈夫らしいぜ。ルドルフが姫公と騎士公用に専用の
レインで色々とルドルフに聞いてるからな、もしかしたらこのメンツで一番情報握ってんのってオレか?
「なるほど。そんな手が……、くぅ、
「引きずってんなぁてめぇ」
「あ、当たり前でしょ……、あんなに可愛かったのに……!」
うわぁ、御剣てめぇ、ガチでロリコンなんだな。
「まぁ話しが逸れたな。なんだったか、そう隷属か」
「そうだねぇ。私も流石に、汚された体に妻を送りたくは無いよ」
「私は、それであの子に会えるなら我慢するけど……」
「いや、無理しなくて良いですよノノカさん。俺かシオンさんのどっちかがノノンに合流出来れば、後でキャラを作り直してからルドルフに頼んでまたリワルドに送って貰って、ノノンと一緒に迎えに行けば良いんですから」
「そうだぞ乃々華。あとほんの少し、あとちょっとで会えるんだ。焦って会って、あの子が悲しむ姿で再会する必要なんて無いだろう? ちゃんとこの件を終わらせて、なんの憂いも無くあの子を抱き締めるんだ」
こっちには国際組織にクソほど顔が効くオブラートと、最強の航空機動力を持ったノノンが居る。
だからキャラデリから再スタートでリワルド入りしてランダム落ちしようと、そこでママさんがポップした場所の情報を手に入れてからログアウト、リアルでパパさんやオレ達に伝えてノノンとオブラートにフィードバック。それで場所を特定してから迎えに行きゃぁ良いんだ。
もちろん、陵辱だのモルモットだのなんて話しは全部『無かった事』にしてな。
単純に、ルドルフの協力を得られる様になったから、とりあえずパパさんとテンテンだけ送り込んでノノンと合流、安全を確保してからか弱いママさんもリワルド入りってプランだったと伝えれば、そう筋の通らねぇ話しじゃねぇはずだ。
その時は嘘が付けねぇ妖精アバターのオレは都合が悪ぃから、そん時ゃゼルんとこでも転がり込んどくぜ。
…………べ、別にイチャつきてぇ訳じゃねぇからな!
その、別によぅ、妖精でも色々と、出来るってわかっちまったから、色々と、その…………。
くそっ、全部ノノンとゼルが悪ぃ! オレぁ悪くねぇ! 妖精でも舐めたり舐められてりするくらい出来るって分かっちまったのが悪ぃんだ!
「お、なんだい? 急に赤面してどうしたんだい?」
「…………るせぇ」
「あ、彼氏くんのことでも考えてたのかい?」
「るせぇっ!」
オレだって、オレだってこう言うの憧れてたんだから、別に良いだろクソが!
て言うか、オレだって王子様がどうとかノノンに言ったけどよ、ガチの王子が来るとか誰も思わねぇだろうが!
「とりあえず、先に詰める話しってこんなもんすかね?」
「そうね。なら、全員数日はここでご厄介になるんでしょう? もう少し交流くらい深めるべき?」
「そうな。俺とシオンさん達は早々ログイン出来ねぇけど、他は筐体無しでもログイン出来ちまうんだもんな。楽で良いよなぁ」
ほんそれ。
オーバーテクノロジーってレベルじゃねぇ。まぁオレの足が治った時点で知ってたけどよ。
スマホアプリを起動すればコッチの体をルドルフのリソースに変換しつつリワルドにログイン。そしてログアウト時には周囲に若干の幻惑をしつつ再構成されるって仕組みになってる。もちろんログイン時も幻惑付きだ。
だからまぁ、つまり最悪は人混みの中ですら誰にも気付かれずリワルドにログイン出来るようになってんだよな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます