第133話 詐欺師ノノン。



 一旦、寝ちゃったアルリちゃん二人を寝室に運んだ私は、お嫁さんが待つリビングに帰ってきた。


「待たせてごめんね」

「大丈夫だよ。あのままだとアルちゃんたち、風邪引いちゃうし」

「でも、二人の寝顔が可愛かったからちょっとだけ見てたんだよね。ちょっと二人と一緒にベッドで横になっちゃった」

「それも仕方ないよ。二人とも可愛いもん」

「ふふ、理解のあるお嫁さんで私は幸せだぜ!」


 ほんと、寝顔が可愛かったよ。少しだけ同じベッドで横になっちゃったもんね。ゼロ距離で見る二人のまつ毛が長いのなんの。まつ毛の一本すら可愛いとか反則だ。


「じゃぁ、私が合図したら勝負開始ね? 始まったら私が十分以内に、『美味しい物』に関わる話しで二人をで騙すから、? 嘘だと思ったらその時点で、私に『それは嘘だ』と宣言してね? 嘘に気が付いて当てられたら二人の勝ち。それで、私が嘘をついても二人が気付かないで一分過ぎたら、私の勝ち。ルールはこれでどう? あ、そもそもお題が嘘でしたーとかは無いからね。ちゃんと『美味しい物』が『美味しい』のが条件だよ。『美味しい物が美味しかったのが嘘』ってのも無しだから、そこまでは考えなくて良いよ」


 詐欺スキルの実践。それがこれから始まります。

 勝負の内容は簡単。私が二人に対して、明確に嘘と分かる嘘をつく。それに二人が気が付いて嘘だと宣言したら二人が勝って、嘘を気付かせずに話しが流れれば私の勝ち。


「えぇ、……わざわざそんな宣言していいの? 美味しい物の嘘って教えられてたら、流石にあたしも警戒するよ? 騙されないよ?」

「まぁまぁ、それでも通用するから『スキル』なんだよ。じゃなかったら、それってもうただの『嘘』でしょ? スキルじゃないもん。それに、変に凝ったお題を選ぶより、お料理とか食べ物とか、そんな日常で話題に出しやすい内容の方が詐欺っぽいでしょ?」


 まぁ、スキルを使わないただの嘘でも、同じ条件で勝算くらい有るけどね?


「まぁ、うん。それもそっか」

「あははっ、なんかワクワクするねっ。タユ、こういうの楽しいなっ」

「あ、でも食べ物とかの話しが出る度に、片っ端から嘘だーって言われたら勝負にならないし、嘘の看破を宣言出来るのは、一人一回ね? 解答権を失った人は回答はもちろん助言も禁止。露骨な態度とかで助けたらそっちの負けね。その代わり、二人とも解答権を失った場合でも、その時はまた嘘当てしていいよ。流石にそうなってから勝ちは譲れないけど、二人が失格してからでも当てられたなら、引き分けにしてあげる。二人はどっちか一人でも私の嘘を暴けば、二人の勝ちで良いから。もっと言うと、私の勝利条件は『明確な嘘』で騙す事だから、二人が嘘だと判断出来ない嘘で騙しても、私の負け。その時はちゃんと物申してね?」

「わかった!」

「えと、良いのかな? タユたち、有利過ぎない?」

「まぁその分、有利な条件で負けたら、すっっごい恥ずかしいからね? とっても恥ずかしいからねっ」

「むむむ、じゃぁさ、負けたらなんか、勝った人の言うこと聞くとか、そういうのやろ? 不利な分、ノンちゃんが勝ったらあたしたち二人に一個ずつ、何か言えるよ」

「いやそれ負けた時もリスク倍だからダメじゃね? 負けたら二人分のお願いを私一人が背負うじゃん」

「あ、そっか」


 ハイリスクハイリターンは嫌いじゃないけど、有利不利の話しであるなら、あんまり意味無いよね。


「じゃぁ、タユたちが勝った時は、タユとシルちゃんが相談して、お願い事を一個にしよっ?」

「ああ、それなら良いよ。…………いや、て言うか、私たちってお互いのお願いなら普通に普段から聞いてるし、今回のお願いは、どうせなら結構キツめな奴にしない? お願い一個が一ヶ月続くとかさ」

「おお、負けたら一ヶ月はタユ先生の飲み放題に付き合わせれるとか?」

「え、えっ、それ良いなっ。タユ、それが良いなっ」

「代償がほぼ無くなってマトモになったって話しどこ行ったのさ」


 て言うか、その程度のお願いなら別に私聞くよ?


「…………ノンちゃんが負けたら、一ヶ月ずっと、夜はノンちゃん縛るとか」

「あ、タユそれでも良いよっ。えへへ、動けないノノちゃんに、色々したいなっ?」


 ………………え、えッ? 私、負けたら縛られるの?

 一ヶ月間、毎晩ずっと? 反撃無しで? 私だけ責められ続けるの?

 さ、最近なんか、アルちゃんとクルちゃん、体力差を埋めるために道具を使い始めたのに? そんな状況で私だけが、縛られるの?

 いやいや待ってくれ、そもそも二人は人の縛り方とか知ってるの? あれ結構専門的な技術らしいよ? 二人は出来るの?

 ちなみに私は知っている。……ガチの捕縛ならね。

 えっちな方の縛り方は普通に知らない。流石にジワルドで私にそんなの教えてくれる人なんか居なかったよ。幼女キャラだったし、未成年だし。規約的に色々アウトだ。


「まぁ、調べれば分かるでしょ。ダメならスキルとか魔法もあるし」

「ああ、マジでやる気なんだね…………。これは勝たねばッ」

「……ちなみにっ、ノノちゃんは勝ったら、タユたちに何をお願いするのっ?」


 ん、私? そうだなぁ…………。


「まずルルちゃんには、私が両手を広げて『おいでー』って言ったら、無条件で私の胸に飛び込ん出来て、私が満足するまでずっとノーガードでヨシヨシされて、私の事を『ママ』とか『お母さん』って呼ぶ生活が一ヶ月待ってるよ」


 ルルちゃんは恥ずかしがるので、好きにヨシヨシさせてくれないのだ。

 だから私が勝ったら一ヶ月、無条件でヨシヨシ出来る権利を貰う。


「勝たなきゃ。…………絶対勝たなきゃッ」

「それで、タユちゃんはなぁ、そうだなぁ……。タユちゃんって、本当になんでも、私がしたいって言えばしてくれるしなぁ……」

「そう言えば、そうだねぇ……? どうしよっかっ」


 そうなんだよね。愛情の受け皿に穴が空いてんのかなってレベルで、タユちゃんは何でも受け入れてくれる。

 たぶん、ガチのアブノーマルってジャンルでも喜ぶんじゃ無いだろうか?

 流石に私も、痛かったり汚かったりするのは、あんまり興味無いからやらないけどさ。

 境界線がお漏らしプレイまでならって感じかな。そこまでなら飲めるし、私のを飲まれても良い。でもそれ以上のは無理だなぁ。あとガチで痛いのも嫌だ。出来てお尻ペンペンくらい?


「………………うーん、タユちゃんも別に、ヨシヨシで良いかな?」

「え、それだと、タユ先生だけ実質ノーリスクじゃない? キツいの選ぶんじゃないの?」

「じゃぁ、タユちゃんの場合はもう、ヨシヨシだけじゃ済まさない」

「ッッ!? え、タユっ、何されるのっ?」

「一ヶ月の間ずっと、夜にみんなで交尾する時にタユちゃんだけは、ノノンお母さんと大人のお遊びをします。ヨシヨシされて甘々のとろとろになって、一人だけ色んなことをされちゃいます」


 うむ。実は私って、今のところはヨシヨシする時はヨシヨシだけで完結してるんだ。

 だから、ヨシヨシしながら行為ってまだした事ないんだよ。ヨシヨシし始めた私って、なんて言うか、こう、変な意味で容赦が無くなるし、結構酷いことになるんじゃないかな? なので自重してたんだ。


「あ、えとっ、あの…………、タユねっ、それは、ダメだと思うなっ」

「おお、タユちゃんでも戸惑うって事は、つまりお願いとしてはありなんだ。じゃぁこれで行こうよ。タユちゃんは負けた時、ノノンお母さんと大人のお遊びをしましょうねー?」

「ぁぅぅう、それはっ、流石にダメだとおもぅぅう…………」

「えっと、それって、あたしたちは放置されるの? 寂しいよ?」

「いやいや、私がタユちゃんに触る時だけそうなるって話しで、タユちゃんが私を独占するって話しじゃないよ。まぁヨシヨシし始めたら少し時間はかかると思うけど」

「まぁ、それなら。…………ついでとか言って、あたしにも夜のヨシヨシとかしない? 大丈夫?」

「して欲しいなら喜んでするけど、今のところはタユちゃんだけのつもりだよ?」

「………………ほっ」

「本気で安心してるのが解せぬ……」


 何故なのか。

 自分で言っておいて何だけどさ、本当に抱き締めて撫でてるだけなんだよ?

 なのに、なんでここまで過剰に反応されるの? マジでわからん。

 本当になんでなんだろうね? 私、お母さんですよーってちょっと巫山戯てるくらいのつもりなんだけど。なんか完全に私が持ってる特殊形態の一つくらいに思われてるの、マジで何なの?


「えっと、つまりノンちゃんが負けたら一ヶ月間、ずっとノンちゃんは毎晩縛られてあたしたちのオモチャ?」

「だねぇ。それで、私が勝ったら、ルルちゃんは無条件ヨシヨシ一ヶ月で夜はヨシヨシ無し。タユちゃんは逆に夜だけヨシヨシだけど、その代わり相手がノノンお母さんになるね。…………自分で言ってても意味不明なんだけど。なにノノンお母さんって? 別人格扱いなの?」

「正直、あたしはヨシヨシ中のノンちゃんは別人格だと思ってるけど。……まぁいいや、じゃぁとにかく決まりだね」

「ううっ、タユ、大人に戻れるかなぁ……? ノノお母さん、タユを大人に戻してくれるかなぁ……?」


 むしろ罰ゲームの内容は最高にアダルティなんだけどね? 大人に戻るどころか大人のお遊びをするんだけどね?

 ……………………あれ? おいおい、マジかよ。

 気が付いたら三人中二人がアダルティな罰ゲームを食らう形じゃん。

 さっきまで和気藹々と「正気に戻れたね」って話してたのはなんだったの?

 まぁ良いや。勝てば私が総取りなんだから、勝てばよなろうのだァ!


「あ、ちょっとルールに追加だけど、私のお話しを嘘だと思った時、それでもちょっと悩みたいなって時くらいは、言ってくれればカウント止めるからね? 食べ物とかの話しなんて、作り方とか材料とか、色々考える時間要るでしょ?」

「ふふふふ、ノンちゃん、そんなにあたし達を有利にしていいの? ノンちゃん実は、縛られたかったの? ねぇねぇ、縛られたいの?」

「おお、おおお、ルルちゃんが私を煽ってる。なんか新鮮な気持ちになる。私も後でルルちゃん煽ろっと」

「にゅふふ、タユ先生、あたしと一緒に頑張ろうね! 絶対にノンちゃんを縛ろうね!」

「うんっ! 動けないノノちゃん、きっと可愛いもんねっ。それに、タユは大人になりたいからっ」


 せやろか? それただ、私がイモムシになってるだけじゃんね?

 あと、何回も言うけど罰ゲームは大人のお遊びだからね? 大人になるんだからね?


「よし、じゃぁ始めるよ? よーい、スタート! ……って言っても、普通にお喋りしてないと詐欺もクソも無いし、普通にお喋りもしようね? その合間で、適当に二人を騙すからさ」


 私はひっそりと、詐欺スキルを意識する。とっくに始めてる仕込みを含めて、二人を騙す為に言葉を選んで組んで行く。

 はぁ、無制限のヨシヨシ楽しみだなぁ。お嫁さんをいっぱい撫で撫でするの楽しみだなぁ。


「あははっ、うん、それはそうだよねっ。じゃぁ、えっと、何喋れば良いのかなぁ?」

「うん、アレだよね。こうさ、普通に喋らなきゃって思うと、余計に喋りにくいよね?」

「そうだね。じゃぁ、私が適当に話題でも出そうか。流石に私が不利な条件だし、話題決めくらいは決めて良いでしょ? ケルガラとセザリーアを比べてみたりさ? お城の料理とかに使われてる食材とか、結構違うよね?」

「待ったー! 食べ物が話題のお話しを選ばれたらさ、お話しの全部に嘘を仕込めるからノンちゃん有利過ぎるよ! あたしたちは一回しか答えられないのに、疑うところ多過ぎる!」

「まぁ、そうだね。うん、じゃぁ露骨な食べ物とかの話しは止めよう。それなら、勝負の内容的にも丁度良いしスキルのお話しにしようか? うん、確かに食べ物とかの話題は公平じゃなかったよ」

「やった! これでちょっと有利になったよタユ先生! 絶対にノンちゃん縛ろうね!」

「えへへっ、楽しみだねぇ♪︎」

「二人とも、私の事どれだけ縛りたいのさ…………」


 これ、今回勝ってもさ、そのうち別件でまたお縛りプレイの打診来るんじゃないの?

 いやぁ、痛くしないなら、優しくしてくれるなら良いけどさぁ。

 ちゃんと気持ち良くしてよね? 約束だよ?


「よし、気を取り直してスキルの話しに戻るよ! はい、ノノン先生の今日の授業は、スキルについてでーす」

「わーぱちぱちぱち! スキルのお話しに食べ物のお話しが入ったら直ぐに気が付けるね!」

「だねっ!」


 お嫁さんがガチで勝ちに来てる。どれだけ縛りたいんだ……。


「まぁ良いや。二人はそもそもさ、スキルってなんだか分かる? スキルがどんな物だって思ってる?」


 さてさて、私はノノン先生をしながら、頑張って二人を騙すぞー。

 このスキル使うの久しぶりだなぁ。上手く騙せるかなぁ。

 ぶっちゃけ詐欺スキルを上手く使うためには、結局はガチで詐欺の技術とか知識が必要なんだよね。これ補助スキルだからなぁ。

 ああ懐かしい感覚がする。私の体にお嫁さん二人からの、仄かな疑心が伝わってくる。嘘を絶対に暴いてやるって強い疑心だ。

 コレさ、初めて経験した時は怖かったんだよね。

 人の疑心がフィーリングで分かっちゃうって、現実だったら普通に結構な恐怖体験だからね? 精神を病む案件だからね?


「はいノンちゃんせんせー! わかりません!」

「えへへ、タユも分かんないっ。ふわっと、何となくしか分からないよねっ」

「元気かつ正直で大変よろしい。さて、スキルって言うのはね、まぁなんて言うかなぁ。変な言い方をすると、『本当の魔法』って奴かな?」


 少しずーつ、仕込んでいこう。

 ふふふ。待っててくださいねー? ヨシヨシしてあげますからねー?


「…………本当の、魔法っ?」

「ノンちゃん、スキルって別に、魔力、というかMPは使わないよね?」

「そうだね。でも、ルルちゃんは、前に魔力のお勉強したでしょ? 魔力って本当は、魔法の為にあるんじゃなくて、人が最初から持ってる体の機能だってお話し」

「あ、うん。覚えてる」

「タユも、それはレーニャさんに聞いたことがあるなっ。元はノノちゃんのお話しだったんだねっ?」


 スキルで二人の疑心と、興味の矛先を確認しながら会話をする。少しずつ寄せて行こう。慌ててちゃ大物は釣れないからね。

 ブランクは有るけど自信もまぁまぁあるし、少しずつ、少しずつ。

 正直、私の練度って超高い訳じゃ無いけど、低くも無いんだよね。スキル的にも技術的にも。

 積極的に練度上げてる時はそこそこ使い込んだし、感覚さえ思い出せれば二人を騙すくらいは多分、問題無く出来るはずなんだ。

 流石に必勝とは言わないよ。ブランクもあるし、即席だしなぁ。

 一応は精神干渉も多少入るし、まぁ、うん。失敗はしないよね?

 て言うかここで普通に負けたら凄い恥ずかしいよ。ちょっと本気出そうかな。

 でもなぁ、どうせならぁ、スタイリッシュに決めたいなぁ。

 うん、よし。後ちょっとで仕込みも全部終わるし、そろそろ追い込み始めようか。

 行け行けごーごー! 頑張れ私ー!


「スキルって言うのは極論、魔力が体に新しく刻み込んだ能力の総称なんだよ。例えばこの勝負に使われてる詐欺スキルで言えばね、自分の体に宿った魔力が、目の前の相手が何をどう感じているのか、何を好んで何を嫌って、何を信じて何を疑うのかを読み取り、そこから導き出した『情報を信じさせる為の行動を』教えてくれる力なんだね。そして同時に、自分の体からも相手に嘘を信じ込ませ易くなる精神干渉も送り出して、詐欺の補助もしてくれる。しかも、魔力消費は特に無し」

「…………精神干渉とか怖っ。え、ズルくない? ノンちゃんも今、あたし達に使ってる?」

「もちろん多少は使うよ? でもまぁ、言うて精神干渉の効果は本当に補助程度だよ。相当にスキルの練度が高い人が、よっぽど自分とステータス差がある相手を狙って、それでやっとリスク込みで無茶な嘘を通せる可能性が少しある程度だよ。当然、その場合だって嘘がかなり上手くないと失敗する。問答無用で嘘を通される心配は無いよ。これが嘘だったら今回の勝負、私の負けでいいよ」

「ほんとにござるかー?」

「んふっ、ごさるござる……。まって笑っちゃうからっ」

「ふふ。……でも、ノノちゃんは何でも上手だから、やっぱりちょっと怖いねっ? ドキドキしちゃう」

「あ、ちなみにジワルドだとやっぱり、プレイヤーとNPCって言う差がどうしても存在するから、その双方に同じだけの効果は望めなかったね。本体がリアルに存在するプレイヤーには、詐欺スキル通すのが難しかったし、精神干渉の効果だって余計に低くなるし」


 これは嘘じゃない。精神干渉が補助効果なのは本当の話しだし、無茶な嘘を信じさせる難易度の話しも本当。その後の話しも全部本当。

 精神干渉の仕様としては、使う側のINTが高いと効果が高まり、相手のMINが高いと効果が下がる。スキルの種類によっては別のステータスも影響したりもする。演技とか詐欺ならDEXも参照される。でも基本はやっぱり補助効果だ。

 まぁ、私ってINTもDEXもかなり高い数値だから、その分精神干渉の効果は他より多少強いのは事実だ。そう、私って実は、詐欺スキルとは相性が良いんだよね。

 んふふー。どうなるかなぁー?


「じゃぁ、リワルドだったら全員に、同じように通じるの?」

「今の今まで忘れてたスキルだから試した事ないけど、そうだと思うよ? 散々安心させといてアレだけど、本職の詐欺師が使うとメチャクチャ怖いスキルだから、二人とも気を付けてね? まぁその時は二人にマトかけたクソに私が地獄を見せるけどさ」

「…………ねぇノンちゃん。ぶっちゃけさ、どのくらい騙せるの? どのくらいを警戒すれば良いの?」

「ふふっ、それを教えたら私が不利になっちゃうじゃん。でもまぁ、そうだねぇ……」


 て言うか、今まさにそれを教えるための勝負なのでは?

 良いけどさ。私はそんなまっすぐなルルちゃんが大好きなんだし。


「じゃぁ、ジワルドでの実話でも一つ話そうか。詐欺スキルの練度を限界まで上げたとある暗殺者の話しなんだけど、その暗殺者がね、初めて会った初心者プレイヤーを狙って、こんな嘘を付いたんだ。『知ってるかい? 君の足元にある石ころって、実は石じゃなくて、知る人ぞ知る高価な薬の材料でね? 味も良いし、それを食べればとあるスキルが手に入るよ』って。で、騙されたその哀れなプレイヤーは、足元にあった石にしか見えないその毒物を一口で食べて、見事に死んじゃいましたとさ。ちゃんちゃん」

「ぇぇえっ、うわぁ…………、こ、怖いお話だねぇ」


 そうだよねぇ。怖い話しだよねぇ。

 でもこれ、三重の意味で身近な話しだからね。タユちゃん、気を付けてね。

 さーてさて、これで最後の仕込みは終わりかな。あとは釣果を待つばかり。

 二人は気が--…………


「--ノンちゃん、止めて」


 ………………おっ、おや? おやおやおや? 


「……ねぇノンちゃん。嘘の条件って、正確には食べ物じゃなくて『美味しい物』だっけ。じゃぁさ、本当は食べれない物でも、『味が良かった』なら、条件に入る? それが、毒でもさ」


 お、おお、お気付きに、なられましたか?

 あちゃー、気が付いちゃったかぁ。そっか、そうだよねぇ……。


「…………ん。入るよ?」

「ふふ、にゅふふぅ、……ノンちゃん今、ちょっと返事に間があったよね! よしこれは勝った! 今のが嘘だぁ!」


 さて、うん。少し粘ろうか。まだだ、まだ遊べるドン!


「……今のって、言うと? どれ? どれの事? ちゃんと詳しくどうぞー? ノノたんわかーんなーいー!」


 そうそう。ちゃんと、詳しく教えてくれないとね。

 じゃないと、極論「ここからここまでのお話しに嘘があった」って広範囲を指定されたら狡いからね。


「もうノンちゃん、カウント止める約束なんだから、粘らないでよ!」

「いやいや、粘ってないよ。当然の主張じゃない?」

「もうもう! ノンちゃん、往生際が悪いよ! あたしもう、ノンちゃんの作戦全部気が付いちゃったんだからね!」

「ほ、ほーん? 私の作戦? せっかくだし、ちゃんと全部聞こうかな? ほら、カウント止まるし? 問題ないよね?」

「むぅ、諦めの悪いノンちゃんだなぁ」

「いやいやいや、良く考えてよルルちゃん。この勝負は詐欺スキルがどんな物なのかを知るための遊びだよ? だったら、私の作戦ってのも、ちゃんと確認するべきじゃない? だってそれは、詐欺スキルを利用した何かなはずじゃん? 今はそのお勉強の時間なんだからさ?」

「…………む、確かに」


 さ、さて。では語って頂きましょうかねぇ?

 私の可愛い可愛いお嫁さんは、私を縛り上げるためにどんな嘘と、どんな作戦に気が付いたのかな。

 べ、別に粘ってる訳じゃ無いよ? ちょっと驚いてるだけだから。


「分かった。じゃぁノンちゃんに、実はあたしが頭良いって事を教えてあげるね!」

「ど、どうかなぁー? 本当にそれは正解なのかなぁ? ルルちゃん、本当に自信あるの?」

「ふーんだ、惑わそうとしたって無駄だからね! あたしとタユ先生は今日から二ヶ月、ノンちゃんを縛って楽しむんだから」

「おい待てや。地味に期間を倍にするんじゃありません! ……あ、でも本当に縛る時は、その時はどうか、お手柔らかにっ」

「任せて! 頑張って気持ち良くしてあげるからね!」


 あ、伝わってないなコレ。縄の縛り方とかの話しよ?

 うん、素人に好き勝手縛られたら、下手したら首にかかって死んじゃうかも知れないからね。凄く危ない。まぁその時はリスポーンするけどさ。


「まず、ノンちゃんは最初、嘘の条件を『美味しい物』にしたよね。でも、なんで単純に『食べ物』じゃ無かったの? 話しに出しやすい方が詐欺っぱいって言ったのノンちゃんなのに、なんでちょっと面倒な条件にしたの? 食べ物って緩い条件の方が、話題にし易いよね?」

「な、なんでかなぁ?」

「それなのに、条件を決めたすぐ後には、さり気なく何回も、食べ物の話しを押してきたよね? しかも必ずノンちゃんはこう言ったよ。『食べ物とか』。『料理とか』。『食材とか』って。ノンちゃんは絶対に『とか』って付けてたよ」


 …………まじか。まじかぁ。


「これってつまりさ、本来は食べ物扱いは出来ないけど、味だけは美味し物で嘘を付くための準備と誘導だよね? あたしたちが食べ物に拘るように会話を誘導して、それでノンちゃんが勝った後に、答え合わせの時に、あたしとタユ先生が『食べ物ってノンちゃんも言ってたのにー』って文句を言いずらいようにさ。『ちゃんと食べ物って言ったよ?』って言えるように。『食べ物だけなんて言ってないよ?』って言えるように。だからノンちゃんは、『とか』って言い回しに拘ったんだよ! そうでしょ!」


 …………ぉぉおお、マジですかぁ。

 うわぁ、仕込みに気が付かれてるぅ。

 いや、うん。正直ちょっと、ルルちゃんを舐めてたかな?

 その言い回しに付いては、完全にルルちゃんの言い分の通りなんだよね。

 結構小さな仕込みのつもりだったけど、しっかり見付かってしまったね。まじかぁ。

 ふふ、しかし、しかしだよ。まだ、まだゲームは終わってないよ。


「ふんふん。それで? それでそれで?」

「……まだ観念しないの」

「私まだ負けてないもーん。ぷっぷっぷー」

「うわ、イラッとする顔してる。でもノンちゃん可愛い好き」

「私もルルちゃんすーき!」

「だけど手加減しないからね! あたしとタユ先生の勝ち!」


 羨ましそうにしてるタユちゃんの前で愛を確かめあった私とルルちゃんは、推理ごっこの続きを再開する。

 タユちゃんは、今はルルちゃんの推理パートなので、大人しくしてる方針らしい。


「他にもまだあるよ! ノンちゃんの作戦! 全部暴いたからね!」

「ほう、ならば聞かせて貰うおじゃないか。その暴かれた作戦とやらを…………!」

「……えと、ノンちゃん、それ誰かの真似なの?」

「いや、なんか黒幕っぽい人の演技。即席なので名前は特にないよ」

「そっか」

「そうなんだ」


 ふっふっふっ、粘るぜぇ。私は粘るぜぇ?

 すぐに終わっちゃったらつまらないもんね! まだ粘るよ! 楽しむ為に!


「そもそも、『美味しい物』の話しで嘘をつくから、それを当てろって勝負なの、ここからもう罠だよね!」

「ほう? つまり、何が言いたいだ?」

「あ、まだそれ続けるんだね」


 黒幕ムーヴちょっと楽しいんだもん。


「とにかく、わたしとタユ先生は、美味しい物の嘘を探さなきゃいけないから、ノンちゃんは美味しい物の嘘は慎重にやらないといけない。これは間違いないよね。でも、この決まりがもう罠だったんだよ。だって、ノンちゃんは美味しい物の嘘以外は使わないなんて、一言も言ってないもん!」


 …………お気付きに、なられましたか。


「しかもノンちゃんは、シレっとこうも言ったよね。『私の勝利条件は「明確な嘘」で騙す事だから、二人が嘘だと判断出来ない嘘で騙しても、私の負け 』って。これがもう酷い詐欺だよ! この言い方だと、好き勝手に適当な嘘が言えないように聞こえる。でも、ノンちゃんが言ってるのは『明確な嘘』に対してだけ! そして明確な嘘にしなきゃいけないのは、勝敗に関わる美味しい物の嘘だけ! つまりノンちゃんは、美味しい物以外の嘘だったら完全にノーリスク! 何回でも適当な嘘が付き放題! もう勝負のルールから既に詐欺!」


 おほぉ、まさにその通りぃー!


「さーらーにー! あたしとタユ先生が嘘だと指摘出来るのは、美味しい物の嘘だけ! 他の嘘に使っても勝利条件じゃ無いから、ただ解答権を無駄打ちして勝てなくなる! どれだけ嘘まみれの話しをされても、あたしとタユ先生は、美味しい物の嘘にしか指摘が出来ない!」


 うんうん。それも、間違いなく、大、正、解!


「ここまで好き放題やっておきながらさ、さっきのシレッと発言で公平そうな顔で、ノンちゃんはまた罠を張ったね! ノンちゃんは確かに言った! ここまでたくさんの罠を張ってから、確かに言ったよね! 『ジワルドでの実話』だって!」


 ふっふぅー! いやぁもう、なんか私もテンションおかしくなって来たよ。

 いやぁ、拾ったねぇルルちゃん。私が仕掛けるだけ仕掛けまくった仕込みを、見事に全部拾ったねぇ?

 あの短時間でここまでばら撒くの、どれだけ大変だったと思ってるのさ。気軽に拾ってくれちゃってまぁ。


「美味しい物以外の言葉は真実だってフリをしながら、この話しは実話だよって、お話しに混ぜ込んだよね。あたしもタユ先生も、それが嘘でも指摘出来ないルールで! つまりそれが答え! ノンちゃんが真実だと主張したそこに嘘がある!」

「…………ふ、ふん! つまり、何が言いたいんだねッ!?」

「あ、本当にそれ最後までやるんだね」

「やるともさ!」

「じゃぁ行くよ! この勝負の答えは、ノンちゃんのついた『美味しい物の嘘』は! 騙されて美味しい毒を食べて死んだ初心者さんのお話しだぁー! 」

「な、なにぃぃいいいいいいッッッ…………!?」

「あ、細かくどんな風に嘘だったのかとか、そんな話しは持ち出さないでね? それは流石に、あたしずるいと思うし。要は騙されなければ勝ちなんでしょ?」


 ぐ、ぐはぁー! や、やーらーれーたー……!


「と言うか、そもそも初対面の人に石食べろって言われても、食べないよ普通! ノンちゃん詰めが甘い!」

「いや、それでも食べさせるから詐欺スキルって話しじゃん? 甘くないよ私の爪は。きっと辛味が効いてるよ」

「爪の話しじゃないよ! 詰めの話し! あと、そんな事が出来る凄いスキルだったら、そもそもあたし、こんな推理出来てなかったでしょ? つまりそう言う事じゃないの?」


 はぁ、もう終わりか。楽しかったのに、少し寂しいな。

 でももう、粘れないしなぁ。仕掛けは残らず回収されちゃったし、もう粘る為の材料が無い。

 ルルちゃんの言う通り、毒殺された初心者の話しの、何がどう嘘だったのかまで、証拠を集めたりも出来ない口頭のお遊びでグチグチ掘り返すのは、流石に泥臭すぎるしね。


「さて、ノンちゃん。申し開きは、有りますか?」


 ルルちゃんからの、勝利宣言を受ける私。

 静かに見ているタユちゃんも、流石に勝利を確信している様子で、きっと頭の中では、私を既に縛り上げているのだろう。


「………………ふぅ、わかった。うん、観念したよ。じゃぁ、正式に宣言するね」

「うん!」

「えへへぇ、タユっ、何もしてないけどっ……」

「タユ先生、漁夫の利も勝利の利って、ぺぺくん言ってたから大丈夫だよ!」 











 はぁ、自信あったんだけどなぁ………………。











「ざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんねぇぇぇぇえええええんでしたぁぁぁぁぁぁああああッッッッ……! 初心者毒殺詐欺は本当にあったお話しでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえすッッッ! ぷっぷっぷぅぅぅう〜〜〜〜〜〜!」


 ま、だから抱いた自信の通りに勝ちに行きますかねぇ?


「……は、はぁぁあっ? う、うそだー! 絶対ここがノンちゃんの嘘の話しだよぉ!」

「…………え、えっ? えと、シルちゃんの勝ちじゃ、なかったのっ?」

「勝ちどころか解答権無くなったのでルルちゃんは一時退場でぇぇえす! ぷっぷっぷ〜! ドヤ顔で勝利宣言するルルちゃん可愛いいいいい!!」


 いやぁ、気持ちよかったよねぇ! 仕掛けたを全部食べてくれるなんて!

 ルルちゃん、知らなかったの? 私って釣り人なんだよっ? うひひっ。


「なんでぇぇえッッ……!? えッ、嘘だ嘘だ!  本当に初対面の人に、石にしか見えない毒を食べさせられた人が居るのっ!? 嘘だよ絶対嘘だよ!」

「嘘じゃありませぇぇぇん! 全部バッチリ実話でぇぇす! と言うか私はまだ勝負が始まってから何一つ嘘なんかついてませぇぇえんッ!」

「ほ、本当に石にしか見えない物を騙されて食べた人がいるのっ!? う、嘘だよ嘘だよ! て言うかっ、うわぁぁノンちゃん何その顔ムカつくぅぅぅ! でも可愛いぃぃい……!」

「ぷっぷっぷっぷっぷ〜〜〜! ドヤ顔で申し開き有りますかぁとか聞く私のお嫁さん超可愛いぃぃい! ルルちゃんこそあのドヤ顔に何か申し開き有りますかぁぁ〜?? ねぇねぇ、申し開きはあるんですかぁ〜??」

「ぐぅぅぅうッッッ……!? ぬぅぅう凄い悔しいのに顔可愛くて怒れないのずるィィいいいっ……! でもムカつくぅぅう!」


 どれだけ煽っても可愛いって言ってくれるの超嬉しいんだけど。

 ルルちゃんしゅきぃぃいいい!!

 しかし、んっふっふ。居るんだよなぁ、石にしか見えない毒キノコ食べたアホがさぁ。騙されて食べたアホな人がさぁ。

 本当に、本当に居たんだよなぁ。凄い身近に。

 莫迦だよねソイツ。ふふ。笑って良いよ。私が許可する。盛大に指さして煽るが良いさ。

 ああしかし、惜しいねルルちゃん。惜しかった。そしてごめんね。

 これでもう、チェックメイトだよ。

 覚えて置いてね二人とも、


「はい、では証拠をご覧ください! ポーチから取り出しましたコチラ! これは初心者だった頃の私が騙されて食べさせられた、石ころにしか見えない超猛毒の毒キノコ! 私の歯型まで付いた当時の実物でございまぁぁぁぁぁあすッ!」

「「ッッッッッッ……!?!?」」


 はいはーい! 私がそのお莫迦さんでぇーす! ぷっぷっぷ〜!

 超ガチの実話でーす! 騙されて毒キノコ食べましたぁー!


「まさかのノンちゃんがその被害者さんだったのッッ……!?」

「て言うかノノちゃんッ!? 何でそんな物をポーチに入れてるのッ!?」


 いぇーい、おっぱっぴー! ふっふぅ〜!

 はーい私が初対面の人に石にしか見えないトリュフ型のキノコ食わされたアホでぇーす! いぇーい!

 私はテンションを上げて「ふっふぅ〜!」とか言いながら、綺麗な歯型が残って食い千切られてる、食べかけの灰色トリュフみたいなキノコをテーブルにドーン!

 へいへーい! 結構硬いキノコなので、ドーンってしてもこれで潰れたりはしないんだぜ! 大事な物証なのでね。潰しはしないよいぇーい!

 ゴミみたいな価格で買える癖に、カンストプレイヤーすら殺しうる致死毒様がよォ!

 しかもその癖モンスターには何故か最初から耐性があって使えないし、毒を空気に晒すと無毒化しちゃうから武器に塗布も無理だし、トリュフの見た目に相応しい高貴な香りがガンガンに立つ上にクソ美味すぎてバレるから食事にも混ぜにくい。

 ただ毒性が強いだけでそのままだと使い道が一切ないはずのゴミ毒がよォ!

 マジで「そのまま食べさせる」以外に毒としての使い道が一切ない生ゴミなのに、まさにその利用法で殺された私は何なんですかねぇっ!?

 ふっふぅ〜! 私ってば生ゴミ以下ぁあ〜!(狂乱)


「はっはぁッ! ルルちゃん見てよこれ! この綺麗な私の歯型をさぁ! キノコてめぇマジでぶっ殺すぞコノヤロウ! あの怨み忘れてねぇからな菌類ゴルァッ!?」


 ほんと、凄いよねぇ。当時の私はなんで道端の石にしか見えない毒キノコなんて食べたんだろうか。二重の意味でびっくりだよね。


「ほ、本当の本当にあった話しだったのッ!? ノンちゃんって、ジワルドだとそんなにお莫迦さんなのッ!? て言うかもう、自分で出して自分で怒らないでよ! テンションに付いて行けないよ! ツッコミが追い付かないよ!」


 私だって自分のテンションと自分の当時のアホさに、ツッコミが追い付かないぜ☆

 このキノコさぁ、本当に味は最高なんだよ。香りも良いし。でもその後に来る毒の症状がヤバ過ぎてさぁ、ついさっきの出来事みたいに思い出せるよ。ほぼ即死する癖に苦しみがヤバい。


「コレさ、本当に味だけはマジで美味しんだよ。安全性を度外視した時、世界で一番美味い食べ物は毒キノコっていわれてるけど、多分ガチだと思う」

「そんな情報は別に要らなかったよあたしッ!?」

「そして何を隠そう、このキノコを当時の私に食わせた張本人はオブさんなんだよね。後で本人に確認しても良いよ」

「オブさんも何やってるのッッッッッ……!?!?!?」

「それよりほらほら、ルルちゃんタユちゃんも見て見て、この私が齧った見事な歯型! ほら見比べて見て、私の歯と完全な一致! いやぁ、食べかけ毒キノコを保管出来ちゃうポーチって、便利だよねぇ?」

「ノンちゃんダメでしょ猛毒なんでしょそれッ!? なんで口に入れようとするのっ!? 危ないでしょ! ペってしなさい!」

「ちゃんと即効性の猛毒だよ! 齧ったら今の私でもほぼ即死! でも毒性が空気に触れた先から無毒化するけどね! 齧ってある断面だけは無毒だよ!」


 

 こんな感じで、ハイテンションにワイワイしながら、一人が解答権を失ったせいで、余計に慎重になったタユちゃんを相手に、私は雑談を続けるのだった。


 さーて、バーラ? それとも他のワールドエレメントの誰か? もしくはって複数形かな?


 とにかく、今見ているソコのです。


 今も私達をモニターしてるよね? テスターであるルルちゃんや、そのお嫁さんの私たちを、今も覗き見してるよね?


 ふふふ、ねぇねぇバーラ、もし見ていたら、って言うか十中八九見てるんだろうけどさ、とにかく見ている誰かが居たのなら、


 ? お仲間さんにネタバレでドヤるとか恥ずかしいからね?


 ? ノノンお母さんとの約束だぞ?


 。お願いだよ?


 ふふ、じゃぁみんな? 正解と答え合わせは、CMのあと! 


 …………なーんてね? ばいばーい!


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