1章4節
1章4節1項(25枚目) 西の大陸を牛耳る人類
人種が西の大陸に寄りつかない理由。こぞって東の大陸に押し寄せる事態になっているのか。
単純に不便と言う理由で片付かない。
確かに東の大陸に比べれば、西の大陸は自然の恵みを取り戻せていない。広さは東の大陸と差し支えないほどであっても、
しかし発展が望めないわけではない。
地域を選定し、資源を集中させれば、その可能性は十分にある。全体の豊かさは東の大陸よりも劣るものの、限られた地域に焦点を当てれば、
何も東の大陸を真似る必要はない。土地柄それぞれの条件下に基づき、住みよい場所にしていけばいい。
全てが同じと言うわけにはいかないのであれば、特色に応じた措置を施す他あるまい。
外から見て、
東の大陸を
その意味で
その点を踏まえれば、発展に繋げる開拓は困難極まるものであろう。
しかし挑戦する価値がないわけではない。
東の大陸では見られない独自の領域を築き上げる野心を持ち合わせているのであれば、
大それたものでなくとも、自己実現を果たしたいのであれば、東の大陸から離れるのも選択の1つであろう。
どのような形であれ、己が望むのであれば、手を緩めず、事を進めるべきであろう。手にできなかったときに悔しさを抱かないためにも。
不便を解消するのも、自我を確立させるのも、全ては工夫次第。行動を起こす前から悲観することではない。
一時期、
それでも誰も近寄ろうとはしない。
並大抵では解決できない、どうしようもない大きな問題が立ちはだかっているから、西の大陸に渡ろうとしない。
人間に似通った人類、
その種族は
自身が特殊な仮面のような存在であるため、わざわざ被らずとも、その性質を発揮できる。内に宿った性質を使うことでその体現を可能にしている。
もちろん、自身に相応しい仮面を被れば、その性質も扱える。より強大な存在に
この種族は特殊な仮面がばら撒かれた後に誕生した生命体である。
外見は己の意思で変えられるため、人種に近しい姿で過ごす者もいれば、その姿からかけ離れた姿で過ごす者もいる。内に宿る性質に適した本来の姿はあるものの、調整できる。
内に宿る性質の影響により、体の構造を完全に人種に寄せることは難しいものの、似せることはできる。変異点を目立たせなければ、十分に通用する。紛らわせられる範囲に収まっていれば、人種の枠組みで暮らしていける。本来の姿から遠のく分、消耗が早まるものの、やっていけないことではない。
しかし内に宿る性質を発揮するのであれば、本来の姿に戻るのが好ましい。
調整を間違えれば、命を落とす。
体の構造上、内に宿る性質に耐え切れない場合もある。生存を前提にしているのであれば、元の姿で発揮するのが最善である。
体質さえ手にできていれば、内に宿る性質は扱えるため、必ずしも変態する必要はない。
けれど真価を発揮させる場合、その固執は叶わない。
どうしても人種として
このように外面はある程度、制御できるものの、大きさはそこまで融通が効かない。元の体格を基準に変態しているため、極端に大きくも小さくもならない。せいぜい一回り・二回りほどが限界。巨大にも
その辺、
形態変化の事情はさほど変わらない。仮面を被らなければ、その制御が叶わない点を除けば、違わない。人種から脱せられない生命体はそのきっかけがなければ、
扱える性質も似たようなものの、人種の場合、仮面を被らなければ、扱えない。内に宿していないため、当然と言えば、当然である。その点も
その2つの差が人種にとっては命取りである。
しかしそれは人種がその状態に持ち込めればの話である。
準備が整う前に
逆の立場でも同じようなことが言えるものの、人種の方がより不利である。どこかしこにある仮面を表に引きずり出すことを考えると時間がかかる。いきなり変態に持ち込める
常に身構えていれば、心も体も休まる暇もない。人種は
その上、
人種を
礼節を払う価値がない。歩み寄り、意見を汲む必要はない。劣る者と
悪気もなく、
大切に扱うとしても、労働として、機能として、はたまた観賞としてであり、決して、相容れることはない。相手の
多くの
だから人種は西の大陸に積極的に渡ろうとしない。
尊厳は奪われ、なす術もなく、扱き使われる目に
身に危険が迫る生命体の存在を認知しているから近寄らない。実物を目にする機会は
西の大陸に渡らせないように
西の大陸に近い
このように
見てくれと持ちうる代物、そして生み出される結果は似たようなものであっても、
全員が全員、
しかし
人々に悪影響を及ぼす存在を対象に手は出しても、等しく全員に対して、ちょっかいを出しているわけではない。秩序から外れた者のみに絞り、行動している。
良き隣人であることを世に広めるためにも
その成果が認められているから
人々は見限っていないから、
それを基に検討した結果、人種は命を
腕に覚えのある者や
わざわざ痛めつけられたく、近づく者はいない。余程の理由を持ち合わせない限り、ありえないと言っていい。
このように人種が警戒するくらいに西の大陸では浸透している。日常の出来事へと化している。
人種を
かつては
形はどうあれ、人類の王者と意味する国、
全員が全員、己に自信を持っているわけでもなく、また独善的でなくとも、逆らうつもりはない。
生きていくのに不安を覚えれば、強大な存在に縋るのは道理である。
誰もが強いわけではない。人種と同様、個体差がある。生命体が持ちうる器量を超越したものを内に宿していたとしても、必ずしも強さに結びつくわけではない。
種類、強度、そして制御次第で振れ幅は変わる。心意気で伸び縮みすることもあるが、それは土台次第である。
仮に腕に覚えがあったとしても、どうにもならないことがある。
環境に抗えるとは限らない。西の大陸で
その点は
内に宿る性質の保持、形態変化する手順の保持、そしてその変化を実践することの保持。
扱うことだけにエネルギーを使うわけではない。維持にも使われる。
仮面に肩代わりさせられる
時には発散しなければ、圧し潰される。蓄積も限界があるため、必要な過程である。肉体が侵食され、決壊に至れば、死に繋がるため、避けることはできない。この先も生き抜くことを考えれば、
逆に言えば、先に挙げた3つの保持ができていれば、死に至らない。肉体に影響を与えているから、欠損しなければ、命は保障される。健康体とは限らないが、生き永らえる。
何はともあれ、
そのような事情を踏まえると栄える場所に群がるのは当然と言える。忠義を持ち合わせていなくとも、よりよい暮らしを考えるならば、活動への協力も吝かではないと言える。
東の大陸より資源が富んでいない西の大陸で生きていくならば、それは死活問題である。
わざわざ人種と同じ扱い、冷遇されてまで、水を差したくはない。譲れない信条を旗印にしているわけでもないから国の言い分を受け入れている。
そもそも
生まれも育ちもその国であれば、仕方がない部分はあるものの、その場合、離反すればいい話である。受け入れがたい思想であれば、抜ければいい話である。
もしくは国を変えようと行動を起こせばいい。
しかし国は許さない。
途中で離反する者と思想の変革者には
命の危険があるため、逆らおうとする者はそうそういない。余程の度胸と力量がなければ、行動することもない。
それに
西の大陸で資源が富んだ場所など、
そこでの縄張り争いで
奪取してでも居座りたいのであれば、敵対者を排除する他ない。将来、自身がそのような目に
過度な干渉を嫌うのであれば、未開とされる場所に向かえばいい。同族といがみ合いたくなければ、その望みは叶い、そこにある資源も独占できる可能性もある。
大陸以外にも世界には島が点在する。そこに辿り着ければ、その可能性は拾える。
しかし
腹を満たす量の資源があるのか不明な場所に飛び込むのは危険である。大きな賭けであり、動くに値する情報がなければ、難しい。死地に向かうようなものであるから、易々と取れる行動ではない。
西も嫌、島も嫌なら、東に渡ればいい話だが、それも簡単にはいかない。
共存が難しいだけではない。お互いの都合を理解し、容認することは果てしない道のりであるが、先に解決しなければならない問題がある。
唯一、西と東の大陸を結ぶ、陸続きになっているところで日夜戦いが巻き起こっている。そこを通過しなければ、東の大陸に踏み入ることはできない。西の大陸からの侵入者を阻む、
ただ単に東の大陸に渡るだけなら、何も陸から行かなくとも、空や海から行けばいい話である。内に宿す性質にはそれを可能とするものもあり、決してできないわけではない。
全ての空や海に目を光らせているわけではないから、待ち構える軍勢とぶつからないように
踏み入れられるところ、全てに防衛網を
また
そのことを踏まえれば、ずっと楽と言える。試す価値はある。
しかし渡るだけが目的ではない。
個人はともかく、
育みはしているものの、大食漢である種族を満足させる量は提供できていない。どうしても行き届かないところは出てしまう。
それを補うために遠征している。
あわよくば、人種の
現状、企みの全ては上手くいっていない。前者は少なからずとも何とか確保できているものの、進行は人種の統治組織に阻まれている。踏み入ることはできても、支配までには及んでいない。
しかし
人種にとっての外敵を排除する方法、
手強いと言う理由だけでなく、補給が容易でないから西の大陸に踏み入ろうとしない。みすぼらしい場所で物資を
全世界の支配者として今も
現実逃避したところでも問題は残る。解決したいのであれば、向き合う他、どうしようもない。
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