真夜中のお客のもてなし方


 真夜中、何やら虫の音が聞こえてきます。あの、蚊の襲来を告げるあの羽音です。


 そんな彼等は真夜中のお宅訪問でしょうか。私の耳元までやってきて律儀にも挨拶をしてくるわけです。

 しかし私は寝ようと思っているところにまでやってきて、真夜中に騒がれてはたまりません。

 去年はお帰りいただくか、永遠の眠りにつくまでは一緒に起きていましたが、今年はそんなことをしている暇はありません。せめてとばかりに、アースノーマットを焚いてもてなすことしかできません。ぶしつけではあるものの私はそうしたのち、ちょっかいは出されないようにと薄い毛布にもぐりこんで夜を明かしました。

 きっと真夜中のお客も私が起きたころには寝ていることでしょう。


 ともかく、本当に夏頃になって、一番嫌なのは蚊の襲来にほかなりません。油断しているとすぐに体の何処か痒くなっているわけですから、たまったものじゃありません。しかもう既に現れているとなると、いったいこの夏はどれだけのおもてなしをしないといけないのか見当もつきません。困ったことです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る