カンプピストーレと繰術 その7
≪繰(そう)術≫
と言って、主に身体能力を強化するものだ。
上手く使いこなせる様になると、自分の身体だけではなく、周りの物質にも干渉し、自在に操れる様になる。まるで魔法を使っているかの様にだ。
私は、自分が魔法が使えない代わりとして、この力を磨き続けている。
先程、大男を蹴り飛ばしたのは正にこれで、この操術を学びはじめてからは、私の治癒力はさらに向上した。
ちなみに、繰術を使うと身体中が一時的に淡く発光するらしい。老師も操術を使っているときは発光している。何故かは私も理由を知らない。
「特殊体質なのか、それとも、これも魔法というやつか?おいおい、地球(ここ)ってば、すごい世界になっちまったんだな」
颯輝が一人で勝手に考察し、呟き始めた。
いやいや、そんなことよりも更に不可解な現象を私はこの目で見たわよ?早くそっちを言及せねば。
「そんなことより、あんた!さっき相手の魔法を打ち消したでしょ!あれは一体何なの?教えなさいよ」
聞かれた颯輝はキョトンとしている。
「俺が?馬鹿な事いうなよ、俺はごく普通の人間だぞ?そんな力持ってる訳がねえって。……いや?待てよ?ははーん。もしかして、あれか!小説やアニメでよく有るやつだ!異能の力を打ち消す力とかいうやつ!俺、もしかして手にここに来て目覚めちゃった?」
どうやら自覚が無いようだ。
それどころか、顎を手でさすりながら、今度は意味の分からない単語を、ごちゃごちゃと並べ始めた。
うーん、何語かしら?
「えーと……ムー?言語解読の魔法切れかかっているみたいだわ」
「えー!?そんなー!まだまだ魔法効果は有効だよ〜」
ムーが、膨れてしまった。
えー。ということは、あれだ。颯輝の造語か。
「あれ?でも、異能の力を全て打ち消すとなると、ムーの魔法も無効になってしまう訳だよな?これじゃ、つじつまが合わないなぁ……」
颯輝は、未だ独り言の真っ最中ったが、今度はムーが、そんなの関係なしにと、颯輝に話し掛けた。
「ところでさ。お兄さんがさっきやっていたのって、剣術でしょう?とってもカッコよかったよ!……良かったら、ボクにも少し教えてくれないかなー?」
上目遣いで、お願い事をしている。
ちょっと照れている所が、かわいい。
それにしても、ムーが、他人に教えを乞うなんて珍しいこともあったものだ。うんうん。
……は!今なんて?!学ぶ?そんなヤツから剣技を学びたいって言った?!
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