記憶はどうあがいても風化する。それでも
大災害の記念日などが来ると、
「記憶を風化させないために~」
というお決まりのフレーズが、よくメディアを通して聞こえてきます。
しかし残念ながら、少なくとも個々人の頭の中にある記憶は、どうあがいても風化してしまいます。
自分も、たった2週間前まで確定申告の準備をしていた間、
「申告間違えたら、追加の課税喰らってすっからかんになるかもしれない……!」
「早く申告を終わらせないと、賞の締切までに小説投稿できなかったり実家脱出のチャンスを逃したりして、人生詰む……!」
という戦々恐々とした思いを抱えながら、夜によく眠れないほどの緊張の日々を過ごしていました。
しかし、先月末には無事申告を終えられたので、
「早めに申告できてよかった~。よゆーよゆー」
という感じで、今はけろっとしています(もっとも今は、「賞の締め切りまでに小説を投稿しなきゃ!」「実家脱出も早くしなきゃ!」という別の焦りを持ってますが……)。
もちろん、例えば10年前の震災の当事者が受けたストレスは、確定申告によるものを格段に上回るはずです。だから、今でも当時のことをリアルタイムのように思い出して苦しまれているかたもいるはずだ、とは理解しています。
しかし、少なくとも当事者でない人たちにとって、どんな大惨事の記憶も、時間が経てばリアルタイムよりは色あせてしまう。そういう現実が、どうしてもあると考えています。
そういう「記憶は風化してしまう」という現実を踏まえた上で大切なことは、
・個々人の頭の中の「記憶」にばかり依存せず、大惨事やそれに対する対応の成功・失敗の「記録」に基づいて、同様の事態で身を守るための検証や訓練や環境整備を普段からしておくこと
・普段の生活では、「今を楽しむ」ために、大惨事を忘れていてもいいということ
だと、自分は考えます。
特に後者はここ10年、あの震災の前よりは心掛けてきました。
しかし前者について言えば、自分自身、普段から十分に備えをしているわけではありません。だから、この機に少しでも備えを見直したほうがいい、と考えています。
この先も、いつどこでどんな大惨事が起こるか分かりません。そんな時でも、読者様が無事に生き延びてくださることを願っています。
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