父のこと

今まで母の話はよく書いてきましたが、父の話をあまり書いてこなかったので、まとまった話として書いてみます。


台風対策の時の話(https://kakuyomu.jp/works/1177354054895092612/episodes/1177354054921504970)や、運転免許返納したら怒られた話(https://kakuyomu.jp/works/1177354054895092612/episodes/1177354054921971865)などの断片的なエピソードだけ読まれると、父が不愛想で怒りっぽい人に思われかねない、と思います。

ついでにもう一つ付け加えると、父は「異なる人」に対しては不寛容な人だと思います。以前テレビでゲイの人を見て、父は「ゲイって……」とあざけるように言っていました。そのさりげなくも差別のニュアンスが感じられる一言を、自分は忘れられません。


一方で父は、テレビを見て面白ければ「うはははは!」と大声で笑ったり、親戚と一緒に集まってる時は小さい子と笑顔で触れ合ったりして、一見大らかな人に見えることもあります。

だから、今まで32年ちょっと共に過ごした父のことを改めて考えても、その一貫した人物像が実はよく見えていませんでした。


そして最近ふと思ったのが、父は結局、大きな子供なのではないかということです。

自分の感情を素直に出すから、上に書いたように楽しいことで素直に笑えたり、(子供をかわいく感じられるから)子供と楽しく触れ合ったりできる。

その代わり他人の感情や思考や自己決定への理解に欠けるし、そうするための能力を育ててこなかったから、子供の心を抑圧したり、ときには嫁ともしょうもない口論をしたりする(https://kakuyomu.jp/works/1177354054895092612/episodes/1177354054918887052)、悪い意味で子供っぽいままの人である、と。


父のように、精神的に子供のまま社会人に、そして親になってしまった人が当たり前なのではないか。むしろ、たかが親に「立派な大人」であることを求めるのは求めすぎではないのか。そういう疑問を持つことも、自分にはあります。

しかしそれはきっと、自分の異常な家庭を基準にした、異常な感覚です。

だから、それが異常であることを忘れないためにも、自分は今できる範囲でも両親から距離を置くことにしています。


(家庭以外でも、例えば会社など)苦しい環境にいるかたにとって、「自分が今いる場所は異常なんじゃ?」と気づくきっかけに、この記事がなれば幸いです。

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