第15話 四人の思い出
総左衛門は加賀藩江戸屋敷の御小姓組組頭であったが、嫡子龍一郎の世話役であり龍一郎に最初に説得された。
庄左衛門はまずは総左衛門に藩の実情を諭され最後に龍一郎に会い決意した。
他の勘定方も同様にまずは総左衛門、庄右衛門に諭され龍一郎の熱意に負け組する様になった。
だが、長い歳月四人は任に当たる処は加賀、江戸と違えど力を会わせ龍一郎の支度が整うまで苦楽を供にしていたのだ自然連帯意識も並大抵では無かった。
龍一郎から江戸への帰着が近いとの知らせを受けた江戸の主人たちは急遽加賀に急使を送り二人の元勘定方を呼び寄せ龍一郎が江戸に戻ったおりに何一つ落ち度の無い様に準備万端を整え待っていた。
その間、加賀の其々の店は江戸の番頭を加賀に赴かせ加賀の番頭との協力を頼んであった。
幸いにも江戸の番頭も加賀の番頭も龍一郎の見立て通り忠義心に厚く仕事一筋の男たちで商いに支障のでる事は何ひとつなかった。
こうして、龍一郎の装着を今か今かと待ち望む日々が続いていたのである。
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