第11話 主人交替

店も開業から二年が過ぎ、加賀金沢の主人二人が相次いで江戸に戻りそれぞれの店に落ち着き、江戸の主人代理をしていた元勘定方の二人との引継ぎを済ませ代行をしていた二人は加賀へ帰った。

これからが本腰を入れた商い始まりである。

これまでは龍一郎の計らいに従って来た、ここからが四名の手腕の見せ所となる。

今では何故二年の住み替えが命ぜられたかは解ったが当初は解らなかった。

そのままの在所で商いをしていたならば必ずや旧知の者に会い「武士を捨ておって・・・」「恥を知れ・・」など罵倒中傷を浴びせられ、金子に窮した者たちからは借財の頼み、脅し、賂(マイナイ=賄賂(ワイロ))の求めがあったに違いなかった。    

今更ながら龍一郎の思慮深さを思い知らされた皆であった。

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