《4》本当の目的
とりあえずリルはリュウキを弄るのはこれくらいにして話を戻すことにした。
「それにしても、祭器追跡隊にまさか<
「……偶然なわけあるか」
やや間をおいてリュウキが言った。
「へ?」
「ついでに教えておいてやる。俺たちが追っているのは<
三年前、復活した<
その時用いられた神具は<
保管場所はもちろん公にされていないが、そのうちの一つが聖域にあったのだ。
「神だの神具だの話が突飛しすぎてるんだけど……」
リュウキの話を聞いてリルは唖然としていた。
「そもそも神って別の世界に旅立ったんじゃなかったの?」
「伝承の上では、な。俺も神たちの事情までは知らん。ともかくこの世界に残っていた神がいたようだな」
「その神様が私たちに協力してくださったんです」
「そ、そうだったんだ」
ラナイの言葉に頷きながらもリルは半信半疑といった感じだ。
「神については余談だ。とりあえず<
そこまで言って、リュウキはある人物に視線を移す。
「お前、<
「……え!?」
「……え?」
リルとラナイは驚いて振り返った。オウルも興味ありげに見る。
当の本人は特に動じる様子もなくリュウキを見返した。
「……なぜそう思う?」
「ソーラス遺跡で隠されていた魔植物を見えるようにしただろ。あの遺跡、あとで調べてみたが<
「<
キサラは淡々とした口調で言った。
「私は頼まれたことをやっている」
「え、じゃあレトイを復活させたことも?」
「ああ」
リルの問いにキサラは静かに頷く。レトイは瞳をしばたたかせた。
「あの神から何か聞いてるのか?」
リュウキは神妙な様子でたずねる。
「封印は永久的なものではない。いずれ解かれると」
「……なんだと?」
キサラの口から告げられた不穏な言葉にリュウキは眉を寄せた。
「その対処のために私は動いている」
「解かれるってどういうこと? 誰かが解いちゃうってこと?」
「そこまでは聞いていない」
リルが訝しげに問いかけるとキサラは首を振ってそう答えた。謎の予言じみた言葉にリルたちは押し黙る。
「ふむ……確かに<聖域の書>は事実、こうして盗まれているわけだし、危険にはなっているのかもしれないね」
オウルは腕を組んで考えた。
「しかもそのせいか、封印が弱まってきて人語を話す<虚獣>が出てきたりしてる」
「レトイは? なんで復活させたのかな?」
首を傾げながらリルがたずねるが、キサラは何も言わない。聞いていないのか、言えないのか……
「<
「そうねぇ……そういえば、レトイは何で<
ラナイの考えにリルは頷き、それから思いついたようにレトイを見た。
<
『……そんな大層なことではない。もっと個人的な理由だ』
レトイはふっと笑ったかと思うと不意に目を細めた。
対立してる割には、その眼に宿るのは怒りや憎しみではない。
むしろレトイの目は穏やかで、哀愁すら見えた。
『悪いがこれ以上は言うつもりはない。お前たちには借りがあるから協力すると約束しよう』
「んーそっか。まあそれぞれ事情があるわよね。とりあえずよろしくということで」
そう言ってリルは軽く微笑んだ。ラナイやオウルもよろしくと声をかける。
リュウキはレトイを見ただけで何も言わない。特に反対はしないようだ。
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