第二章

第40話 やっぱり動物は食べ物に限るわ

 石動はその後、いろいろと余罪が出てきて初等少年院送りになるらしい。

 ちょっと可哀そうな気もするけど、全部自業自得よ。

 それはいいのだけど、あれからリアルの様子がおかしい。

 学校に連れて行くと、いつも糸魚川君を威嚇するのよね。

 ヤキモチにしても度が過ぎているような気がするし。

 理由を聞いても『何となく気に入らない』としか言わない。

 何が気に入らないのかな?

 今だって、あたしが出かけようとして準備していると、糸魚川君とデートに行くのかと疑っている。


「だからあ、これがデートに着ていく服に見えるの?」

「にゃん。人間のおしゃれ感覚なんて猫にわからにゃい」

「黒い服でデートに行くわけないでしょ」


 いや、これはゴスロリ愛好者をデスってるわけじゃなくて、今あたしの着ている服が喪服だからであって……


「黒い服でデートしちゃいけないなら、俺は一生デートできない」

「いや、猫はいいのよ」


 ていうか、あんたは服じゃないでしょ。

 ちなみに今日は真君のお母さんに呼ばれている。真君が大事にしていた物を形見分けにもらってほしいというのだ。

 いったいなんだろ?


「じゃあどうして、俺を連れて行かない?」

「あのねえ、あたしは法事にいくのよ。浮かれ気分で猫を連れていけないの」


 リアルは押し黙った。

 困ったなあ。このまま機嫌を悪くして『じゃあ俺、ここを出て行く』なんて言い出したらどうしよう。


「ねえ、リアル。帰りにおいしい猫缶買ってきてあげるから、今日はおとなしく留守番しててくれないかな」

「にゃ!! 猫缶!! カリカリじゃなくて猫缶」

「それとリアルの大好きなマグロブシも買ってきてあげる」

「にゃにゃ!! マグロブシ!! わかった。おとなしく待ってる」


 やっぱり動物は食べ物に限るわ。 

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