友情のダブルキック!
『何が起こったんだ?』
空を見上げ、コウガはマルチアイを望遠モードに。
ブレスを浴びたらしき大きな隕石が、粉々になっていた。
まだ、宇宙空間内でくすぶっている。
「星が、一つ散りました!」
『なんてパワーだ!』
エスパーダは『心配ない』と告げる。ノーマンの声で。
『この要塞内部を走りながら、弱点らしきものはラーニング済みだ』
どうやら、ノーマンには相手の弱点を探る能力が備わったらしい。
『イクス、【レーザー・スラッシュ】だ」
「承知しましたわ!」
王家の紋章が刻まれたバックルを、外す。
エスパーダは軍刀から刃を取り、柄だけの状態にした。
バックルと柄を合体させて、刃のない剣を作り出す。
「照射!」
剣を胸の前で構えると、エスパーダの剣から青白いレーザーの刃が射出された。
「エスパーダの新しい剣?」
「これは、バックルではありませんでした」
柄と融合させることにより、このような形状になるらしい。
『圧縮!』
空へ伸びっぱなしだった剣先が、ノーマンの合図によって縮んでいく。最終的に、一メートルほどのサイズへと変わった。
「ワタクシがやつを体内から切り裂きます。コウガ、あなたが中心部を!」
『了解だ!』
「では、アロガントの女王。反撃させていただきますわ!」
ワイバーンを突撃させたエスパーダが、レーザー剣を振り回す。
『死にぞこないがぁ!』
クイラス要塞が、各砲門を展開した。魔法の矢が、無数に発射される。
マジックミサイルの雨が、エスパーダとコウガを襲う。
『ギャハハハ! 近づくことさえできまい!』
確かに攻めづらい。
いくらシャイニングフォームといえど、敵が大きすぎる。
全力でキックを見舞ったとして、動力の部分へは届かない。
『コウガ、お届けものだ!』
下にいるアテムから、通信が入った。
はるか下方向から放たれたのは、先程倒したカメ怪人の甲羅だ。
倒してしまっても、外側だけ残ったらしい。
『これなら、マジックミサイルを防げる!』
甲羅を盾代わりに、コウガは突撃した。
『エスパーダ、オレが囮になる。お前は取り付け!』
甲羅を側面に構え、コウガはマジックミサイルの前に立つ。エスパーダをかばいつつ、コウガは攻撃をすべて引き受けた。
『わあああああ!』
猛攻に耐えながら、バイクで進み続ける。
要塞まで、後少し。
「今ですわ!」
『行ってくれ!』
あとは、エスパーダに任せる。
『甲羅がひび割れ始めた!』
「砲身を銃で破壊しましょう!」
『よし。フィーンド・バスターッ!』
最ももろい部分だけを狙って、銃で砲身を壊す。
『こっちも上陸してしまえ! トゥア!』
要塞の上部に、コウガはバイクを着陸させた。移動しながら、マジックミサイルの砲身に弾丸を撃ち込む。
あろうことか、マジックミサイル自体が反転し、砲身を貫いていた。
『モニターを焼かれた! どこへ行ったんだい⁉』
エスパーダがカメラ部分を焼き切ったせいで、コウガの位置を掴めないらしい。
『同士討ちを始めたぞ!』
「こちらが見えてないようですね」
『チャンスだ! メガ・フィーンドバスターッ!』
銃をロングライフルへと変形させ、一気に砲門を蹴散らす。
『なめるなよ小娘がぁ!』
砲門が触手状になって、コウガに照準を合わせてくる。
ライフルで撃ち落としていくが、キリがない。
「反対側にも!」
コウガの背面にも、無数の触手砲台が。
銃撃が間に合わない。甲羅で受ける。
『ぐおおお!』
甲羅が破壊された。
バイクごと、コウガが転倒する。
無防備になったところに、触手砲台が群れをなしてコウガを取り囲む。
「甘いですわ! 【レーザー・スラッシュ】!」
バクン! と、傷口が大きく開いた。
開いた傷口から、エスパーダがワイバーンと共に現れる。
『ああ、助かった!』
サムズアップで、コウガが答えた。
「敵の中心部がわかりましたわ!」
コウガを先導しながら、エスパーダがバイクで要塞の背を駆け抜ける。
「ここですわ!」
要塞の中心地へ。
そこは、一際頑丈そうな障壁に守られていた。
レーザーの衝撃波を無数に作り出し、エスパーダは要塞の装甲へと浴びせ続けた。
『メガ・フィーンドバスター!』
コウガも、エスパーダが作った傷口に、光線銃を叩き込む。
『バカな⁉』
ようやく、強固な装甲が剥がれた。
中には、無数の管が突き刺さったコブラ大怪人が。
同時に、クイラス要塞が輪切りにされた。内臓がむき出しになる。
「今ですわ、コウガ!」
エスパーダが、ワイバーンのシート上に立ち上がった。
『よし。
コウガも、バイクのシートに立つ。足の装甲に、すべての魔力を込めた。
『トゥア!』
「ハッ!」
コウガとエスパーダが、同時に跳躍する。
『トドメだ。コウガ・シャイニングキーック!』
「ローデス・スマッシュ!」
エスパーダもコウガと同様に、足刀蹴りの体勢をとった。
「コウガ!」
「エスパーダ!」
コデロと、イクスの声が揃う。
「ダブルキック!」
二発の蹴りを、コブラ大怪人がまともに浴びる。
破壊エネルギーが、大怪人を通してクイラス要塞にまで行き渡った。
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